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安田倉庫 Research Memo(7):「長期ビジョン2030」達成に向け、様々なプロジェクトを着実に進行

2021/12/20 15:17 FISCO
*15:17JST 安田倉庫 Research Memo(7):「長期ビジョン2030」達成に向け、様々なプロジェクトを着実に進行 ■長期ビジョン 2.「長期ビジョン2030」の進捗 (1) メディカル物流 安田倉庫<9324>はメディカル物流サービスのキャパシティ向上に向け、積極的に投資を行っている。2020年6月、東京都江東区東雲にメディカル物流サービスの新拠点として、敷地面積3,286坪、地上4階建て、延床面積6,682坪の「東雲営業所(東京メディカルロジスティクスセンター)」を開設したほか、2021年1月には、同拠点からほど近い東京都江東区辰巳に、敷地面積約1,600坪、地上7階建て、延床面積約5,400坪の「東雲営業所 辰巳倉庫(東京メディカルロジスティクスセンターII)」を開設した。これらの2施設を一体的に運営することで、メディカル物流サービスの成長に弾みがかかることが期待される。 メディカル物流サービスに定評のある同社の高付加価値サービスに対するニーズが強いことから、都心にメディカル物流向け倉庫を増強するため、2021年9月に東京都大田区昭和島の土地(1,272坪)を取得した。東雲営業所 辰巳倉庫と同様に、医療機器に関わる全ての業務が担えるメディカルロジスティクスセンターとして、2023年に「(仮称)羽田営業所(羽田メディカルロジスティクスセンター)」開設を予定している。取得用地は東京モノレール昭和島駅に隣接し、首都高速道路羽田線平和島ICと空港西ICの至近に位置し、東雲周辺の2施設と同様に東京港や羽田空港へのアクセスに優れ、メディカル物流に最適な立地となっている。また、同社の大井地区・平和島地区の物流拠点にも至近のため、拠点間連携によるスケールメリットを生かした運営も可能となる。 (2) IT機器物流サービスの拡充 IT機器物流サービスの更なる事業拡大に向けて、2021年3月に「リテールテックJAPAN 2021」に初出展し、PCのライフサイクルマネジメントや各種IT機器のキッティング実績を紹介した。なかでも、PCのライフサイクルマネジメントはリモートワークが推進されていることもあり順調なようで、本格的にサービス展開を開始している。このほか、文部科学省による「GIGAスクール構想※」の実現に向けた整備事業を受託し、首都圏を中心に各地でサービスを提供した。 ※「GIGAスクール構想」のGIGAとはGlobal and Innovation Gateway for Allの略。児童・生徒へ1人1台のPCまたはタブレットを配布し、全国の学校に高速大容量の通信ネットワークを整備するプロジェクト。 (3) 自動化への取り組み 物流業界では、労働人口の減少やEC市場の拡大による荷量の急増などの課題に直面している。同社では、これらの課題克服と更なる事業拡大を図るため、ピースソーター(自動仕分け)システムやスタッカークレーン(自動倉庫)を導入するなど、物流現場の自動化の取り組みを推進し、単純作業の省人化と人の手によるきめ細かなサービスとの両立を図っている。 (4) 物流におけるDX推進 同社は物流事業に関するDX推進を主業務とする「DX事業推進室」を新設した。同社の物流サービスやビジネスモデルの変革・進化を促進することを目的としており、最先端テクノロジー・デジタル技術の活用に向けた検討や実証実験を実施し、効果の見込める技術やシステムについては随時導入を進めている。一例を挙げると、RPA(Robotic Process Automation)活用によるPC上の定型作業自動化、クラウド型配送案件管理システム導入による配車業務の省力化、AI画像解析技術を用いた検品業務自動化・省力化に向けた顧客への提案活動などがある。このほか、電子(RFID)タグ読取時の位置情報特定において特許技術を持つRFルーカス(株)への出資により、ドライバーをはじめとする人手不足やEC市場拡大による荷量急増への対応など、物流業界の諸課題の解決につながると期待されている。 (5) 南信貨物自動車のグループ会社化 2021年11月に南信貨物自動車(株)を子会社化した。南信貨物自動車(株)は長野県全域に拠点を展開し、甲信地区から関東・中京地区までを結ぶネットワークを有している。また、大型車輌から小型車輌、冷蔵・冷凍車輌など300台を超える豊富な車輛と、一時保管・荷役・流通加工作業のノウハウにより、顧客のニーズに最適な物流サービスを提供し、安定した業績を維持している。子会社化によって南信貨物自動車の持つネットワークやサービスノウハウの共有によるシナジー増大を図ることで、同社の輸配送ネットワークとサービスメニューの更なる拡充を見込んでいる。 (6) ESGの取り組み 「長期ビジョン2030」を達成するためには、グローバルにわたり合えるグループ経営インフラを確立する必要がある。そのため同社は、ESG(Environment、Social、Governance)経営に軸足を置き、コンプライアンス体制や財務基盤の構築を進めている。 a) E(Environment) 温室効果ガスの削減に取り組んでおり、神奈川県から福岡県までの在庫移動に際して、海上輸送を利用することでCO2の削減に貢献したとして、エコシップマーク優良事業者として認定されたほか、倉庫内照明のLED化やエネルギー高効率設備への更新の成果として、直近5期の二酸化炭素排出量削減などが評価され、2020年度東京都地球温暖化対策報告書制度において、特に優良な事業者として「地球温暖化対策優良事業者」Sランクの評価を獲得した。 b) S(Social) 本社が所在する周辺や公園の清掃活動を継続して行っているほか、震災などの大規模災害発生時に緊急支援物資を保管し、避難所等へ送り出すための拠点として行政が定める「民間物資拠点(災害時の緊急支援物資保管拠点)」として、同社の11拠点が指定されている。また、ホワイト物流推進運動への参加により、トラック運転手不足が深刻になっている現状に対し、物流の改善提案やモーダルシフトなどの取り組みによる効率的なサプライチェーンによって持続可能な物流の実現を目指している。 c) G(Governance) 2020年2月には、取締役の指名・報酬に係る取締役会の機能の独立性・客観性と説明責任を強化し、コーポレートガバナンスの更なる充実を図るため、指名・報酬諮問委員会を設置した。また同年6月には、経営の効率化と意思決定の迅速化を図ることを目的に執行役員制度を導入し、経営の意思決定及び監督機能と業務執行機能を明確化した。合わせて、取締役及び取締役を兼務しない執行役員の報酬と同社の業績及び株式価値との連動性をより明確にし、役員が株価上昇によるメリットのみならず、株価下落リスクまでも株主と共有することで、中長期的な業績の向上と企業価値の増大に貢献する意識を高めることを目的に、株式報酬制度「株式給付信託(BBT(Board Benefit Trust))」も導入している。そのほか2021年6月の株主総会では、社外取締役を1名増員した。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) 《NB》
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1919年創立の総合物流企業。首都圏地盤。倉庫業、運送事業・利用運送事業、通関業・港湾運送事業等を展開。好立地にある物流拠点、所有不動産が強み。物流事業では倉庫・輸配送ネットワークの拡充などを図る。 記:2024/10/07