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窪田製薬HD Research Memo(1):2022年12月期は複数のパイプラインで次のステージに移行する見通し

2021/12/17 15:11 FISCO
*15:11JST 窪田製薬HD Research Memo(1):2022年12月期は複数のパイプラインで次のステージに移行する見通し ■要約 窪田製薬ホールディングス<4596>は革新的な眼疾患治療薬及び医療デバイスの開発を進める米クボタビジョン・インクを子会社に持つ持株会社である。現在は、近視の進行を抑制または改善させる効果が期待されるウェアラブル近視デバイス「クボタメガネ」と、スターガルト病※を適応対象とした治療薬候補品の開発を主に進めている。また、加齢黄斑変性等の網膜疾患患者向け遠隔眼科医療用モニタリングデバイス「PBOS(Patient Based Ophthalmology Suite)」についても、パートナー候補企業と協議を進め、商業化に向けた開発を進めていく方針となっている。 ※スターガルト病:遺伝性の若年性黄斑変性で、症状の進行とともに視力の低下や色覚障害を引き起こし、有効な治療法がいまだ確立されていない稀少疾患。患者数は欧米、日本で合計15万人弱と少ない。 1. クボタメガネの開発状況 「クボタメガネ」は網膜に人工的な光刺激を能動的に与える独自技術(アクティブスティミュレーション技術※1)により、自然光を受動的に用いる他社先行品よりも眼軸長※2を効果的に短縮することが可能で、近視の進行抑制に高い効果が期待できるデバイスとして注目されている。2021年内に台湾で近視矯正メガネとしてテスト販売を開始する予定であったが、新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)の影響で売上計上時期は2022年12月期上期にずれ込むものと予想される。その後は医療用デバイスとしてグローバル販売していくため、2022年後半に治験を開始し2024年後半に欧州での医療機器認証(CEマーク)取得を目指している。CEマーク適用国は欧州以外でも多く、2025年以降に医療用デバイスとして普及拡大していくものと期待される。世界の近視人口は年々増加しており、同社は潜在的な市場規模として2030年までに全世界で最大1兆3千億円の市場の可能性を有していると見ており、今後の動向が注目される。 ※1 アクティブスティミュレーション技術:ナノテクノロジーを用いて網膜に能動的に人工的な光刺激を与えて近視の進行抑制、治療を目指す同社独自の技術。特許も申請中となっている。 ※2 角膜から網膜までの長さ。成人の場合、平均約24mmで、1~2mmでも長くなると、ピントが網膜より手前で合ってしまうため、遠くが見えにくくなる(=近視)。 2. 開発パイプラインの状況 そのほかの主要開発パイプラインのうち、スターガルト病治療薬候補の「エミクススタト塩酸塩」については、第3相臨床試験結果のデータベースロックが2022年12月期第3四半期頃に完了する見込みで、そのデータ次第で販売承認申請を行う予定となっている。また、大手製薬企業など10社以上と協議中の販売パートナー契約についても進展するものと思われる。一方「PBOS」については、国内で小規模の性能確認治験を行うことを模索しており、客観的なエビデンスをもってパートナー候補先企業と協議を進め、米国での共同開発や商業化を目指していくことにしている。遠隔眼科医療用モニタリングデバイスはコロナ禍により重要性が一層増しており、今後の進展が期待される。そのほか、NASAの宇宙飛行士向けモニタリングデバイスの開発プロジェクトは国家予算の関係で中断している状況だが、現在も積極的な協議が続けられており、2022年には新たな開発プロジェクトで契約が進む可能性がある。 3. 業績動向 2021年12月期第3四半期累計(2021年1~9月)の連結業績は事業収益がなく、営業損失で1,908百万円(前年同期は1,916百万円)とおおむね計画どおりの進捗となった。研究開発費、一般管理費ともにほぼ前年同期並みの水準で推移した。2021年12月期通期も「クボタメガネ」の販売が2022年12月期にずれ込むものと予想され、事業収益は計上されない可能性が高いが、関連費用等の支出も抑えられることから、営業損失は当初計画の2,900百万円(前期は2,484百万円の損失)をやや下回る可能性がある。なお、2021年12月期第3四半期末の手元資金は4,960百万円となっており、当面の事業活動を行うための資金は確保されている。2021年12月期は全体的に事業の進捗が停滞した印象があったが、2022年12月期はスターガルト病の治験結果が明らかとなるほか、その他開発パイプラインも次のステージに進む可能性があり、これらの動向に注目したい。 ■Key Points ・ウェアラブルデバイスから得られる医療データを収集・活用し、新薬開発につなげていくエコシステムの構築により、眼科領域のビッグデータカンパニーを目指す ・「クボタメガネ」は台湾でテスト販売を行い、2022年後半からグローバル治験を開始予定 ・「PBOS」は国内で実施する第三者機関の性能確認試験データをもって、パートナー契約交渉に臨む ・スターガルト病を適応症とした第3相臨床試験は2022年12月期第3四半期以降に試験結果のデータベースロックが完了する見込み (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《NB》
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時価総額 3,540百万円
眼科領域特化のバイオベンチャー。エミクススタト塩酸塩がコア開発品。ウェアラブル近視デバイス「クボタグラス」等も。クボタグラスは増収。エミクススタト塩酸塩等の研究開発費用は減少。23.12期通期は損益改善。 記:2024/04/15