マーケット
11/22 15:15
38,283.85
+257.68
44,296.51
+888.04
暗号資産
FISCO BTC Index
11/23 9:25:39
15,282,073
フィスコポイント
保有フィスコポイント数
  
今月フィスコポイント数
  

極東貿易 Research Memo(3):経営危機をバネに、経営舵取りと企業構造を大きく転換(2)

2021/8/2 16:03 FISCO
*16:03JST 極東貿易 Research Memo(3):経営危機をバネに、経営舵取りと企業構造を大きく転換(2) ■会社概要 2. 事業概要 大手商社に比べると企業体力で劣る中堅商社は、得意分野に絞り込み「専門商社」として事業展開するケースが一般的である。極東貿易<8093>は会社設立70年の歴史のなかで、基幹産業からインフラ、そして、炭素繊維やメタンハイドレート等先端分野まで幅広い業種を対象としてきた。 事業ポートフォリオの観点から見ても、同社の事業構造は景気に左右されにくい収益構造である。高い成長性は見込めないが安定受注・収益に寄与する重電、鉄鋼、化学プラント向け基幹産業事業、特定車種に採用が決まれば、3~5年間安定的に受注できる自動車関連事業(樹脂・塗料等)等を事業展開しており、個々の事業での需給変動や価格変動等各種ビジネスリスクを吸収して事業の好不調を補い合える、安定的かつバランスの取れた事業運営となっている。またエネルギー市場関連ビジネスに関しては、昨今のESG動向に鑑み火力発電所向け計装システム事業を縮小し、今後は成長分野である地震計事業へシフトする意図が伺える。 多種多彩な事業のなかでも、重電設備事業(2021年3月期売上高17,320百万円、売上総利益1,160百万円、売上総利益率6.7%)、ねじ関連事業(同12,142百万円、同2,444百万円、同20.1%)、自動車分野を中心とした樹脂・塗料事業(同9,617百万円、同1,360百万円、同14.1%)は百億円ビジネスの“中核事業”として、安定事業基盤を支えている。 地域的には、世界各国へ現地法人や支店を14拠点配置している。また、2016年3月期に同社の子会社となったヱトーの現地法人、駐在員出張所11拠点を合わせると24拠点のグローバルネットワークとなり、世界各地に散らばるサプライヤー及びカスタマーに適時的確に質の高いビジネス情報を提供できるようになった。 3. 特長と強み (1) 理系出身の営業職・技術営業職は7割以上を占める 通常、商社の営業現場では文系出身者が多く、理系出身者はせいぜい2~3割程度であるが、同社では営業マンの7割以上は大学の理系出身者が占める。同社は人事政策上、理系出身者の採用を重視してきた。その背景には、技術営業から始まり導入・据付、そして、運用・保守までエンジニアリング全般を、同社営業マンが仕入れ先の海外メーカーにあまり頼らず、顧客に対して自主的に技術サポートできるようしてきたためである。具体的には、同社の営業マンが自ら簡単な機械設計(設計図)を行い技術提案したり、顧客からの技術的問合せにクイックレスポンスで応えたり、また納入した装置が一時停止や故障した際にはある程度のレベルまで点検・保守等のフォローができるようになっている。顧客へ納入した装置が原因不明の停止や故障になる度に海外メーカーに問い合わせていたのでは時間がかかることから、同社の営業マンは顧客から絶大なる信頼を得ているようである。さらに、同社では点検・保守メンテナンスを適時的確に対応すべく、保守・メンテナンスの専門子会社(日本システム工業(株))を設立して運用している。 また、同社には資源掘削関連部門があり、大学の地質工学や自然エネルギー資源の研究をしてきた学生を積極的に採用している。同関連部門の担当者は海外の採掘メーカーの技術者とともに海洋資源探査船に約3ヶ月間乗り込み、採掘装置の動作試験や立会試験まで関わっている。 (2) 顧客に大手一流企業が多く、信頼関係とロイヤリティを得ている 同社は沿革でも見たように、日本の基幹産業(建設、鉱山、製鉄所、化学プラント、電力、繊維、エレクトロニクス、自動車部品等)に深く関わってきたため大手一流企業との取引が多く、大手製鉄メーカー等では創業以来の取引が継続しており、信頼関係とロイヤリティを得ている。一方、欧米、アジア等海外市場でも米国自動車Big3や独自動車メーカーとも取引がある。これは同業技術商社と比較しても優良な顧客構造になっている。その根拠として、中堅商社の課題である「貸し倒れ」が、同社ではほとんど発生していないことが挙げられる。 また、国内主力製鉄所にはすべて出張所(室蘭、君津、千葉、知多、広畑、水島、広島、小倉、大分)を配置して、大手商社では届かない、“痒いところに手が届く”営業サービスで差別化を図ってきた。製鋼の特定プロセス分野の装置を含めたプロセスソリューションの役割を同社が担っていると言える。 (3) 「誠実さ」と「粘り強さ」で取引先から高い評価 大手一流企業から厚い信頼を得ている背景には、誠実で“くそ”がつくほどの真面目さが挙げられる。顧客との交渉シーンでも顧客から「この価格でお宅は商売になるの」と言われることもあるようだ。また、“粘り強い”人が多いとも言われる。そのため、新商材・新規事業も途中で大きな壁にぶつかってもなかなか諦めない。その好例が「軽量ケーブル」である。12年程前に航空電子営業部門が海外で見つけてきて、現在話題の国内小型航空機向けに粘り強く提案とフォローを繰り返してきた。同時に7年前からラグジュアリーカー用軽量ケーブル向けに提案営業を繰り返し、2016年にやっと採用までこぎ着けた。そのような営業人材が多いことが技術商社にとって最大の強みである。これは、やはり理系出身者が多いということと関連があると言えるのではないだろうか。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司) 《EY》
関連銘柄 1件
8093 東証プライム
1,604
11/22 15:30
+12(0.75%)
時価総額 20,839百万円
機械商社。鉄鋼や自動車等の関連機械装置、電気機械設備、資源開発機器等の産業設備に加え、樹脂や塗料、複合材料の産業素材、機械部品も扱う。プラント向け重電事業が堅調。ねじ関連も売上伸長。M&Aを進める。 記:2024/11/04