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品川リフラ Research Memo(8):5次中計では、国内鉄鋼需要の漸減下でも過去最高益を目指す(2)

2021/7/27 15:08 FISCO
*15:08JST 品川リフラ Research Memo(8):5次中計では、国内鉄鋼需要の漸減下でも過去最高益を目指す(2) ■中長期の成長戦略 2. 重点施策 品川リフラクトリーズ<5351>は、重点施策として、国内における拡販と競争力強化、海外ビジネスの強化・拡大、新規ビジネスの探索、設備投資計画を挙げた。 (1) 国内における拡販と競争力強化 これまでの生産基盤強化で得られた競争力を伸長させるうえに、顧客の様々なニーズに即した新商品を提供する。 a) 耐火物・断熱材の一体販売の強化 現中期経営計画の3ヶ年において、不定形耐火物の売上高を鉄鋼向けでは25%、鉄鋼以外の業種向けでは45%の伸長を目指す。機械メーカーなどには、耐火物の不定形化に重点を置いた誘導炉、電気炉、取鍋、機能材などを伸ばす。高炉、電炉、セメントの既存顧客向けは、さらなるシェアアップとCO2排出量の削減に資する製品の製造設備用の耐火物の拡販を図る。不定形耐火物は、定形耐火物の製造工程にあるプレス・焼成・乾燥におけるエネルギー消費が不要なため省エネとなる。カーボンニュートラルを目指す企業は、取引先のCO2排出量も勘案する方向にある。省エネ等の材料・設計の提案、同社グループ企業間の連携強化による耐火物と断熱材の一体販売を進める。 さらに、グループ企業の技術を融合した高付加価値品を開発・投入する。不定形耐火物の汎用キャスタブルは曲げ強度が強く、イソライト工業(株)のセラミックファイバーは断熱性能に優れる。セラミックファイバーの含有量を増やし、従来品より断熱性、耐熱性、耐食性、強度に優れた新しい複合材料を開発し、多用途への展開を行う。耐火物の使用ユーザーにとって現場における高温管理は重要であり、断熱性能に優れ、熱ロスを防ぎ、省エネに寄与する製品へのニーズは強い。 b) 設計から施工までの一貫サービス 顧客の窯炉操業サイクルである設計・築炉・補修・解体に対し、グループ一体となった一貫サービスを提供する。材料開発から始まり、配材を考慮した炉体設計、材工一体販売、施工機械・技術の提供など同社グループの強みを生かした拡販を行う。 c) 新商品開発のスピードアップ − 産学連携を含めた研究機能の強化 大学の流体力学研究室との共同研究などにより、新製品の開発スピードアップを図っていく。浸漬ノズルの形状は、鋼の連続鋳造において鋼品質と操業の安定性に大きく影響する。レベルアップした数値流体力学計算により設計される新しいノズル構造は、鋳型内での溶鋼流動を改善し、鋳片欠陥率低減に寄与する。 d) 環境負荷軽減に資するコストダウンの推進 使用済み耐火物の再利用(=リサイクル原料の活用)は、鉱山から採掘される原料を使用するより環境負荷が軽減されるうえ、コストダウンにも寄与する。 e) 競争力強化のための生産体制の最適化 − 生産性が飛躍的に向上へ 西日本地区における不定形耐火物の生産を集約して生産性を飛躍的に向上させる。2009年の合併後に最適生産体制構築の一環として、赤穂製造部第2の定形耐火物を主力の岡山製造部に移管しており、遊休建屋がある。これを利用して赤穂第2に新ラインを建設し、赤穂第1の不定形耐火物(粘土質・大ロット)と子会社の帝国窯業(株)の不定形耐火物(粘土質・小ロット)を集約する。空きができる赤穂第1に、日生製造部の塩基性不定形耐火物を移管する。赤穂製造部は兵庫県西の赤穂市、帝国窯業と日生製造部は岡山県東の備前市にあり場所的に近い。 赤穂製造部第2の新プラントの生産性向上は、立体倉庫のフル活用、秤量設備の高速化、ミキサーの大容量化により実現する。不定形耐火物の製造工程は、原料を秤量設備に投入、秤量後に異なる成分をミキサーで混練し、梱包設備で製品として梱包する。これらの工程間で、立体倉庫が利用される。従来は各工程に人が介在したが、新プラントでは各設備への搬送・供給を高速自動化し、仕掛品の一時保管による工程間ロスを削減する。秤量設備も高速化して計量時間を短縮する。ミキサーは、大容量化によりバッチ数を低減する。新プラントは、2022年3月期上期に着工、2024年3月期下期の稼働開始を予定している。 (2) 海外ビジネスの強化・拡大 海外売上高は、2021年3月期の161億円(海外売上高比率16.1%)から3ヶ年で220億円(同19.1%)へ拡大することを目指す。(一社)日本鉄鋼連盟は、新興国の経済成長に伴い、世界の鉄鋼需要は2018年の18億トンから2050年に27億トンへ増加すると予測している。経済成長とともにインフラ投資の増加が見込めることから、同社は東南アジアで鉄鋼はもとより、セメント、ガラス、非鉄分野での拡大を目指す。同社は海外において製造拠点を8拠点、販売拠点を5拠点運営しているが、第4次中期経営計画では、駐在員の増強など現地サービスの拡充や地域ごとに有力提携先を選定して、中国、東南アジア、インド、北南米、豪州で事業を展開してきた。今後は中国、米国、インドにおいて、さらに新規の現地生産を推進し、商品競争力の強化と拡販を行う。JFEスチールの海外事業との連携を高める。また、グループ企業のイソライト工業が販売拠点を有していない豪州及びインドネシアで同社の現地子会社製品とのセット販売や、米国での販売提携先の販売網を活用したイソライト工業の生体溶解性製品を主とした断熱材の販売活動を開始する。 (3) 新規ビジネスの探索 将来のさらなる成長と経営の安定化に向けて、耐火物以外の新領域への取り組みを本格化する。取り組み事例としては、鉱物「アロフェン」を活用したクリーニング用溶剤の清浄用吸着剤、工業用乾燥剤、吸着剤、脱臭剤などを、製薬、健康食品、医療・介護分野などの用途に拡大する。ファインセラミックスは、半導体・液晶製造装置、ポンプ、特殊鋼メーカー用部品として用いられているが、今後、鉄鋼・非鉄向け大型金属部品の代替材料ニーズへの対応を拡大する。 (4) その他 2021年6月に新社長として藤原 弘之(ふじわら ひろゆき)氏が就任した。2018年6月から3年間、経営の舵取りをした岡 弘(おかひろむ)氏は、JFEスチール時代に代表取締役副社長を務め、製造現場への造詣が深かった。藤原新社長は、JFE時代に主に人事、総務及び企画を担当してきた。現中期経営計画で、国内不定形耐火物の製造拠点の再編など道筋が示されており、新社長には世界的な販売戦略面での期待がかかる。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健) 《AS》
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時価総額 78,547百万円
大手耐火物メーカー。1875年創業。鉄鋼業界向けに強み。JFEスチールの持分法適用会社。東京駅外壁の赤レンガなどで納入実績。セラミックス事業等も。海外事業の拡大等に注力。27.3期売上1800億円目指す。 記:2024/06/15