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澁澤倉庫 Research Memo(7):創業者渋沢栄一の精神を継承する

2021/7/12 15:07 FISCO
*15:07JST 澁澤倉庫 Research Memo(7):創業者渋沢栄一の精神を継承する ■中期経営計画 1.「Shibusawa 2030 ビジョン」 (1) 渋沢栄一の精神とミッション 澁澤倉庫<9304>は長期ビジョン「Shibusawa 2030 ビジョン」を策定した。前述したように、創業者・渋沢栄一の精神は、Sustainability(持続的成長)が重視される時代においても重要な考え方であり、それを先見した明は改めて畏怖するところである。渋沢栄一の精神を受け継ぐ同社は、道徳と経済を両立することで社会の持続的成長に貢献し、あらゆるステークホルダーの未来を豊かにし、企業として成長していくため、コーポレートスローガンを改めて「永続する使命。」と掲げた。創業者・渋沢栄一の「正しい道理で追求した利益だけが永続し、社会を豊かにできる」という精神を、共有すべき価値観(Value)と位置付け、物流を越えた新たな価値創造によって持続可能で豊かな社会の実現を支えることを、果たすべき社会的使命(Mission)とした。また、目標とする姿(Vision)を、効率追求から価値創造へと転換することで、顧客の事業活動に新たな価値を生み出すValue Partnerとなることを目指す。 (2) 「Shibusawa 2030 ビジョン」の概要 「Shibusawa 2030 ビジョン」では、顧客の事業活動に新たな価値を生み出すValue Partnerとなるために、競争力の強化とサービス領域の拡大、持続的な企業価値向上のためのESG経営の確立を進める方針である。競争力の強化では、飲料や日用雑貨の取り扱いや東名阪や千葉地区といったドミナント、多品種少量貨物の先進的オペレーションといった強みと専門性を深化・追及することで、カテゴリーNo.1の物流サービスを提供する。サービス領域の拡大では、流通加工を含む既存サービスを高度化することに加え、EC対応や包材設計、受発注代行、在庫配置計画、データ加工分析、決済代行といった物流の枠を超えたアウトソーシングサービスも提供する。また、不動産事業でもスマートで強靭なポートフォリオを構築する。一方で、ステークホルダーとの共存共栄、多様な人材が働き甲斐を感じる労働環境・企業風土、実効性のあるコーポレートガバナンスの構築によってESG経営の確立を目指す。以上のようなビジョンの実践によってサプライチェーン全体のイノベーションに取り組み、顧客の事業活動全般にわたって新たな価値を創造するパートナーへとポジションの転換を進める。その結果として、2031年3月期に営業収益1,000億円、営業利益60億円を目指す。 2024年3月期に営業利益45億円を目指す 2. 「澁澤倉庫グループ中期経営計画2023」 「Shibusawa 2030 ビジョン」と同時に「澁澤倉庫グループ中期経営計画2023(以下「経営計画2023」)」を発表した。「経営計画2023」の位置付けは、「Shibusawa 2030 ビジョン」を達成するためのステップとなっている。 (1) 「経営計画2023」の目的 「経営計画2023」の目的は、1)物流事業の成長戦略を着実に実行することで自社の強みを明確にし、競争力のある物流サービスを提供する、2)事業環境の変化に合わせコストの削減と適正料金の収受など受注条件の見直しを行い、既存業務の採算性を向上させる、3)既存の物流サービスの領域にとらわれず、将来の新たなサービスを創造するための布石を打つ、4)戦略的パートナーシップと物流事業併営のメリットを活用し、不動産事業ポートフォリオを充実させる、5)持続的な企業価値向上のためESGへの取組みを進化させる、である。 成長戦略としては、専門性の追求やデジタル化・機械化、受注条件の見直しを進め、採算向上と競争力の強化を目指す。また、「Shibusawa 2030 ビジョン」達成のための取り組みとして、アウトソーシングサービスの開始を目指すとともに、ESGへの取り組みを強化する。この結果、2024年3月期に営業収益730億円、営業利益45億円を目指す。また、安定的な財務基盤を維持しつつ、期間中に150億円~200億円の投資(成長投資としては100億円~150億円)を予定する一方、直近の年間配当52円を下限として安定的な増配を継続する考えである。こうした計画を着実に実現するため、実効性のあるコーポレートガバナンスの確立も目指す。 (2) 成長戦略 具体的には、以下のように専門性の追求、デジタル化・機械化、業域の拡大などによって、競争力強化とサービス領域拡大を図っていく考えである。 専門性の追求では、多品種少量貨物の効率的運営モデル、戦略的優位性のあるエリアでの拠点拡充によるドミナント効果、得意の消費財物流における専門性の発揮を目指す。なかでも多品種少量貨物の効率的運営モデルでは、ロット当たりの在庫量や在庫波動などのデータを分析し、パレットラックやプッシュバックラックなどの保管形態やピッキングカート・無人搬送機など作業形態を検討、貨物特性や数量、荷動きに合わせて物流センターを設計、保管効率と作業効率を最大限高めたDCオペレーションを実現する。 デジタル化・機械化では、マンパワーとオートメーションを融合した在庫波動を吸収する効率的運営モデルの確立、車両・配車データのデジタル化による運行効率の向上、AI・RPA導入による業務の効率化などを図る。特に機械化においては、無人搬送機によるフルオートメーションからGAS(ゲートアソートシステム)によるセミオートメーション、人によるマニュアル作業を、並列で処理できる仕組みを構築し、機械のキャパシティに制限されない在庫波動対応力を実現する。 業域の拡大では、海外現地物流やアウトソーシングサービスの拡大を目指す。このうち海外物流では、澁澤(香港)有限公司で保冷トラックの導入による香港内の食品物流に参入、澁澤物流(上海)有限公司では物流拠点と保有トラックの増加による中国国内物流業務を拡大し、Shibusawa Logistics Vietnam Co.,Ltd.ではトラックと内航船を活用したミルクラン輸送による現地工場への部品を納入、TDG-Shibusawa Logistics,Inc.では今後の倉庫拠点の開設により国内物流や文書保管業務などへ進出する。また、アウトソーシングサービスでは、貿易事務や流通加工代行、受発注代行、データ加工分析など、物流の枠を超え顧客の領域までをもターゲットとする考えである。 (3) ESG戦略 「正しい道理で追求した利益だけが永続し、社会を豊かにできる」という創業者・渋沢栄一の精神を受け継ぐ同社は、ESG経営にも積極的に取り組んでいく方針である。Environment(環境)では、モーダルシフトの推進やリサイクル物流の促進、サプライチェーン全体の最適化などによりCO2排出削減につながる物流サービスを提供し、倉庫やビル照明のLED化、再生可能エネルギーの導入、環境配慮車両の導入により自社の事業活動におけるCO2を削減する。Social(社会)では、ダイバーシティ/人権の尊重、安全の確保/労働環境改善、機械化/自動化による労働負荷軽減などにより働き甲斐のある労働環境を構築し、災害備蓄品の取り扱い、学生への物流見学会、地域の清掃/交通安全活動参加などにより地域社会に対して貢献を深める。Governance(企業統治)では、コンプライアンスの徹底、内部統制システムの効果的運営、コーポレートガバナンス方針など持続的成長のための仕組みを構築する一方、Value、Missionの浸透、適切な情報開示(IR/SR)、リスクマネジメント/BCPなどによりガバナンスを補強する。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) 《NB》
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時価総額 45,197百万円
東京地盤の倉庫準大手。倉庫業務を柱に港運や陸運、国際輸送も。24.3期3Q累計は海上・航空運賃の下落や貨物取扱量の減少が響き足踏み。今年3月、4月に危険物倉庫が相次いで竣工。横浜市の新倉庫も10月竣工へ。 記:2024/04/12