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テノックス Research Memo(6):開発戦略、営業・施工戦略、ESG戦略

2021/7/5 15:26 FISCO
*15:26JST テノックス Research Memo(6):開発戦略、営業・施工戦略、ESG戦略 ■テノックス<1905>の新中期経営計画 4. 3つの基本戦略 (1) 開発戦略 開発戦略では、既存技術の高度化や新技術によってサービスを高付加価値化し、変化する社会やニーズに適応していく考えである。大きく以下の5つに分けられる。 1) 新技術の創出として、改良地盤の高強度化の施工方法及び環境負荷削減施工法の確立、硬質地盤掘削装置及び中支持力杭工法の開発、さらに、メンテナンス市場向けにコンパクト施工技術を提案する。 2) 液状化対策の設計・施工技術の提案や都市再生に関わる改良施工技術の導入、国土強靭化政策である減災・防災への提案を通して、基礎地盤の強靭化へ貢献する。 3) ICT技術を導入・活用し、施工管理装置「VCCS」の標準化による品質(計画/管理/評価)の見える化、AIを活用した技術の伝承(施工技術/安全管理/人材育成)、オートメーション設備の導入による生産性向上などを図る。 4) 鉄道系研究所や各大学研究室との共同研究(鉄道新構造物基礎、液状化対策工)、学会や協議会への参画、異種基礎工法技術との融合などを通して、産学連携における新技術・サービスの発信を強化する。 5)グループ会社である複合技術研究所と共同運営する「戦略企画室」の更なる機能強化のため、土木建築基礎分野でのシナジー創出を推進する。 (2) 営業・施工戦略 国内では、リダンダンシープロジェクトへの参画や、営業領域の拡大によるワンストップサービスを実現する方針である。リダンダンシープロジェクトとしては特に、北海道新幹線延伸工事やリニア中央新幹線、各地モノレール・民営鉄道の高架化などの鉄道整備プロジェクトや、大阪湾岸道路西伸部や新名神高速道路、大阪モノレール延伸、大阪万博のアクセス関連などの関西のインフラ強靭化プロジェクトなどをターゲットとする。また、大型マルチテナント型物流施設などeコマース関連の構造物やデータセンターに対し、高支持力杭や高強度コラムを設計提案していく。ワンストップサービスの実現として、浅・中層改良工法、コンクリートパイル事業、既存杭の引き抜き事業など事業領域の拡大も図る。海外ではベトナムで、中低層構造物や軟弱層の沈下抑制の提案や、地盤特性を睨んだ北中部への事業領域拡大など、ベトナムの公的技術基準「TCCS」を活用した地盤改良工事事業を加速させる。また、ベトナム国内パイルメーカーとの販売協力や日本国内業務資本提携先との海外事業共同戦略を推進、杭施工技術の輸出を行いコンクリートパイル事業を拡大する。傍ら東南アジア圏での事業領域拡大に向けて、新市場調査や候補地での設計者向け地盤改良技術セミナーの開催なども行う予定である。 (3) ESG戦略 社会課題の解決、企業価値向上への取り組みとして同社は6つのマテリアリティを設定。1)環境配慮型社会の形成、2)激甚災害への備え、3)技術と品質の向上、4)労働安全衛生の充実、5)人材の確保と育成、6)経営の健全性について検討を行う。同社のESG戦略のなかで特長的なのが脱炭素と産業廃棄物の活用で、ほとんどの工法が建設排出残土など産業廃棄物の低減を謳っているが、その建設排出残土や各種産業廃棄物をこれまで培ってきた掘削・混合・撹拌技術で、CO2削減や再利用にさらに繋げていく考えである。その一つとして、業務資本提携した日本コンクリート工業との間で、コンクリートスラッジ※を利用したCO2リサイクリングと副生成物の完全利活用への取り組みを強化することになっている。 ※コンクリートスラッジ:コンクリート二次製品の製造時に発生する余剰となった汚泥状のコンクリートのこと。現在は、脱水や乾燥の後に産業廃棄物として処分されている。 (4) キャッシュ・フローの配分 新中期経営計画が順調に進めばキャッシュ・フローが増えていく。このキャッシュ・フローに関して同社は、成長と株主還元に戦略的かつバランスよく配分していく方針である。投資については、手元資金や自己株式の活用、必要に応じて社債の発行や借入により、3年間で35億円を計画している。内容は、施工機械関連費や研究開発・実験工事関連費、ICT技術導入費、海外事業投資、基幹システム刷新費など多岐にわたる。一方株主還元に関しては、安定的な配当や機動的な自己株式の取得などを検討している模様だが、当面は、業績や財政状態、中期的な見通しを勘案して連結配当性向30%程度を目安に実施していく方針である。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) 《ST》
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時価総額 8,083百万円
基礎工事大手。パイル工事、地盤改良・補強工事、杭打工事など建設工事請負を展開。テノコラム工法など多くの特許工法が強み。北海道新幹線の延伸事業の複数区間で杭工法が採用され拡大。人件費増などをこなす。 記:2024/09/26