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アンジェス Research Memo(6):椎間板性腰痛症を対象としたNF-κBデコイオリゴは高い安全性と有効性を確認

2021/6/11 15:06 FISCO
*15:06JST アンジェス Research Memo(6):椎間板性腰痛症を対象としたNF-κBデコイオリゴは高い安全性と有効性を確認 ■アンジェス<4563>の主要開発パイプラインの動向 2. NF-κBデコイオリゴ NF-κBデコイオリゴは、人工核酸により遺伝子の働きを制御する「核酸医薬」の一種で、生体内で免疫・炎症反応を担う「転写因子NF-κB」に対する特異的な阻害剤となる。主にNF-κBの活性化による過剰な免疫・炎症反応を原因とする疾患の治療薬として、研究開発を進めている。 (1) 椎間板性腰痛症(注射投与) 椎間板性腰痛症の患部にNF-κBデコイオリゴDNA(開発コードAMG0103)を注射投与することによって、慢性腰痛に対する鎮痛効果とともに、椎間板変性に対する進行抑制や修復を促す効果が期待される。新タイプの腰痛治療薬として2018年2月より米国で後期第1相臨床試験(プラセボ対照二重盲検ランダム化比較試験、単回10mg投与、25症例)を実施しており、全症例の投与後12ヶ月間におけるトップラインデータを2021年4月に発表した。 発表資料によれば、12ヶ月間の観察期間を通じて重篤な有害事象は認められず高い安全性が確認されたこと、有効性についても探索的にデータを評価したこと、投与早期に腰痛は大幅に軽減し、腰痛の抑制は投与12ヶ月後まで継続したことが確認されたとしている。また、患者自身からも高い満足度が得られており、良好な結果が得られたものと同社では評価している。 治験責任医師からも、「AMG0103は素晴らしい安全性プロファイルを有し、12ヶ月にわたり腰痛を有意に軽減しており、慢性椎間板性腰痛症に苦しむ患者に対して画期的治療薬となる可能性があると考えています。さらに、腰痛の軽減に加えて、椎間板の高さを回復させる可能性が示唆されたことは注目に値します。」とのコメントを得ている。現在、慢性椎間板性腰痛症に関しては、一般療法としてステロイド注射(対処療法)が使われることが多いが、同治療薬との比較においても同等以上の効果が得られたとしている。ステロイドが一時的な対処療法であるのに対して、AMG0103は炎症を抑制する効果があり、その結果として腰痛の症状が改善することが理由と考えられる。同社では今回の臨床試験のすべてのデータを確認したのちに、第2相臨床試験を行うべくFDAと協議を進めていく予定にしている。AMG0103の開発に成功すれば、慢性椎間板性腰痛症に使用される最初の拡散医薬品になる可能性がある。 椎間板性腰痛症は慢性的な腰痛疾患で、特に中高年層を中心に患者数は多い。米国では治療法として椎間板内注射が一般的であり、手技に習熟している医師も多いため、AMG0103の導入が進む環境は整っていると同社は考えている。ただ、価格面を考えると鎮痛効果だけでは既存治療法と差別化が難しいため、椎間板変性に対する進行抑制や修復促進効果などが第2相臨床試験で確認できるかどうかがポイントになると弊社では見ている。 (2) 次世代型「キメラデコイ」 同社は2016年7月に次世代型「キメラデコイ」の基盤技術の開発を完了し、製品開発を進めている。従来のNF-κBデコイオリゴと比較して、「STAT6」と「NF-κB」という炎症に関わる2つの重要な転写因子を同時に抑制する働きを持つため、炎症抑制効果も格段に高まることが期待される。実際、動物実験ではNF-κBデコイオリゴよりも強い炎症抑制効果を持つことが確認されている。また、次世代型「キメラデコイ」は生体内での安定性に優れ、NF-κBデコイオリゴよりも分子量が3~4割少ないため、生産コストを低く抑えることが可能といった長所も持つ。 同社は具体的な対象疾患として喘息、慢性関節リウマチ、変形性関節症、クローン病(炎症性腸疾患)などの炎症性疾患を想定している。既に開発が進行中の椎間板性腰痛症については既存のNF-κBデコイオリゴで開発を継続するが、今後の新たな開発プロジェクトについては、基本的に「キメラデコイ」で進めていくことになる。現在は製品の完成度を高めている段階にあり、非臨床試験の開始時期は未定となっている。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《AS》
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大阪大学発の研究開発型バイオベンチャー。遺伝子医薬、DNAワクチンの研究開発などを行う。開発パイプラインにHGF遺伝子治療用製品「コラテジェン」など。早老症治療薬「ゾキンヴィ」を24年5月に発売。 記:2024/08/06