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アルファ Research Memo(5):100年企業を目指し、新社長の元で中期経営計画「MP2022」を着実に実行

2021/4/6 15:05 FISCO
*15:05JST アルファ Research Memo(5):100年企業を目指し、新社長の元で中期経営計画「MP2022」を着実に実行 ■中長期の成長戦略 1. 100年企業に向けた中期経営計画「MP2022」 2019年6月にアルファ<3434>は、2023年の創業100周年に向け、2020年3月期から2023年3月期を対象期間とする中期経営計画(MP2022)を策定した。このなかで、2023年3月期売上高70,000百万円、営業利益率6%以上の達成を目標とし、達成に向けた基本方針として、成長のための「新事業・新製品開発」、安定性確保のための「収益基盤の強化」、成長と安定を実現するための「人材育成」を掲げた。初年度となる2020年3月期は、第1四半期までは順調に推移していたものの、第2四半期以降は自動車部品事業でコロナ禍による主要取引先の減産が大きく影響したことに加え、第4四半期には世界的なコロナ禍の影響が全事業に及び、収益低迷を余儀なくされた。また2021年3月期も、期を通じて世界的なコロナ禍の影響が継続しており、厳しい収益推移となっている。しかしながら同社は、現時点では中期経営計画最終年度の業績目標を変更していない。 なお、2021年1月には、4月1日付で川名祥之社長が退任し、執行役員技術本部副本部長の塚野哲幸氏を新社長とする異動を発表した。これは、急速に変化を続ける経営環境に対し、経営体制の若返りを図ることで、同社事業の持続的な成長と更なる企業価値向上を目的としたものである。塚野氏は技術系出身で、自動車部品事業部で設計や技術本部の在任期間が長く、電動ステアリングロック装置や電子部品内蔵キー装置などの特許申請の特許権者でもあり、同社の成長を担う人材として期待される。なお、執行役員についても、IT系出身で北米赴任11年間の清海一郎氏の登用など海外リージョンオフィサーを強化する体制を整えることとしている。 2. 事業セグメント別の業績見通しと注力点 事業セグメント別に見ると、2023年3月期に、自動車部品事業で売上高57,000百万円、セキュリティ機器事業で売上高13,000百万円を目標としている。 (1) 自動車部品事業 自動車部品事業では、海外ネットワークを5つに区分けし、この5つのリージョンで事業が完結する仕組みを構築している。一例を挙げると、欧州では、キーセット事業に加えドアハンドル事業に参入することを目的に、2018年10月にSPPPを取得、環境規制の厳しい欧州で既存塗装設備を活用したビジネスの早期立ち上げを行った。今後は、VW以外でのビジネス拡大が視野に入っている。ドアハンドル事業では、ハンドルがドアパネルに格納される「フラッシュハンドル」を搭載する欧州車も普及し始めていることから、ハンドルの高付加価値化も期待される。中国では、2019年4月に中国の自動車用メッキ部品製造会社のADVANCONを子会社化した。ADVANCONは最新鋭の設備を所有しているため、中国での環境規制強化のなかでも優位になることから、2023年3月期以降の中国ビジネス拡大に寄与すると弊社では見ている。また新市場として、中国でのRKPS事業(リモートキーレスエントリー&プッシュエントリースタート)拡大も見込める。既に4社で採用されている。今後は、中・小型トラック向けにも採用を広げる方針で、日本市場の10倍とも言われる中国のトラック市場での新たな事業展開が見込める。北米は、主要得意先以外での拡大がポイントとなるが、既にVW向けハンドルビジネスを2020年に開始、さらに欧州ではルノー向けハンドルビジネスが立ち上がっているようだ。日本では、非製造部門の徹底したスリム化などを実行することで、営業黒字化を目指す。 このように自動車部品事業では、グローバル展開の拡大に向けて先行投資を実行しているものの、2023年3月期の売上高目標は570億円規模にとどまっている。この背景には、主要取引先の事業構造改革計画に加え、これら先行投資の効果が2023年3月期以降になることがある。さらに懸念事項として挙げられるのが、ミネベアミツミ<6479>による(株)ユーシンの経営統合だ。ミネベアミツミのコア技術とグローバルな生産拠点のシナジー効果をフルに生かし、スマートアクセス、バックドアラッチ、フラッシュハンドル等のアクセス製品事業を強化する方針を打ち出している。既に、UAMを中心とするコスト競争力の強化や、欧州での売上拡大とコストシナジーの本格化、新たな事業展開を始めている。両社のグローバル展開は新規ユーザー獲得面で大いに脅威となるだけに、その動向には注意を要する。 (2) セキュリティ機器事業 住設機器部門では、一段の電子化対応と、BtoBビジネスに加えてBtoCビジネス、ソリューションビジネスへの展開も重要であると弊社では見ている。国内電気錠は、新築戸建てでは採用比率が30%に達しているものの、同社は更なるシェア拡大を見込んでいる。一方賃貸住宅では採用比率が低いことから、賃貸住宅向け暗証番号式電気錠を(株)ビットキーのデジタルコネクトプラットフォーム「bitkey platform」と連携した。これにより、入居者の次世代型スマートロックニーズに応えられるようになり、新築賃貸マンションへの導入なども決まった。なお、電気錠分野でもミネベアミツミがユーシンの住宅機器部門を活用していることに注意が必要だ。具体的には、ミネベアミツミのスマートハウス構想として住宅・ビル用スマートロック事業への本格拡大を目指しており、1台のスマートフォンで自動車及び住宅のドアの施解錠を行えること等を推進している。 ロッカーシステム部門では、インバウンド需要が不透明ななかで、アフターコロナを見据えてリモート対策や置き配など、新たなビジネス展開が重要となる。この分野では、オンラインで注文した商品を店舗で受け取るBOPIS(Buy Online Pickup In Store)での展開を加速している。一例を挙げると、2020年11月に、店舗側システムと連携し、QRコードを使って受け渡しができる「STLシリーズ」を発売した。このロッカーは、従来店頭で受け渡していた商品を、クラウド管理されたロッカーを介して、非対面で顧客に受け渡しできる。店舗効率化と顧客への利便性提供が同時に図れることから、コロナ禍対策として多様な業態での利用が見込まれる。実際、クオール(株)が展開するクオール薬局や(株)まろんが展開するマロン薬局等で、処方箋医薬品等を非対面で店頭受渡しするロッカーとして採用されている。今後は、スーパー、ホームセンター、クリーニングなどの業態にも拡大が見込まれることから新たな展開が期待される。また、ターミナルロッカーについては、スマートフォンでコインロッカーの予約ができる「スマホdeロッカー」が都営地下鉄に採用されているが、ネットワークによる管理機能に対応した「ICカード対応AISシリーズ」の投入などにより、更なる事業の拡大を目指す。なお、「ICカード対応AISシリーズ」については、東日本旅客鉄道<9020>グループの(株)鉄道会館が運営する東京駅ナカ施設「グランスタ」の人気商品をECサイト「ネットでエキナカ」で受け付け、構内で運用する「ICカード対応AISシリーズ」コインロッカーで受け取れるサービスの実証実験も実施しており新たな展開が期待される。 依然として先行きは不透明であるコロナ禍でも、同社の主要関連産業である自動車産業では、EV化や自動運転を含めた新たな動きが加速している。また、セキュリティ機器事業についても、アフターコロナは環境が大きく変化するものと見られる。100年企業を目指し、アフターコロナに即した新たな経営陣の元で、迅速な事業変革に期待が高まる。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘) 《YM》
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