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北の達人 Research Memo(4):2021年2月期上期は新規獲得件数の減少により減収減益

2020/12/4 15:14 FISCO
*15:14JST 北の達人 Research Memo(4):2021年2月期上期は新規獲得件数の減少により減収減益 ■決算概要 1. 過去の業績推移 北の達人コーポレーション<2930>の過去の業績を振り返ると、定期購買会員数の拡大に伴って業績が伸びているが、とりわけ2013年2月期からの業績の伸びが大きい。これは、それまで「カイテキオリゴ」への業績依存度が高かったところから、「みんなの肌潤糖」シリーズや「二十年ほいっぷ」の定着、さらには「アイキララ」などの新商品群による業績貢献に起因する。また、足元では「ディープパッチシリーズ」が大きく伸びている。したがって、「カイテキオリゴ」への依存度を引き下げながら、新たな収益柱の伸長によりバランスよく成長してきたと言える。 また、利益面も、広告宣伝費の効果的な投入により、売上高の拡大に伴って営業利益率は25%を超える高い水準に上昇してきた。2019年2月期は22.4%と一旦低下しているが、機会ロスの回避や新規会員獲得の増加を図るため、計画を上回る広告投資を戦略的に実施したことが理由である。逆に、2020年2月期は、広告投資を意図的に抑えたことから28.9%に大きく上昇したが、こちらも一過性要因※によるところが大きいと考えるのが妥当だろう。 ※大ヒットとなった「ヒアロディープパッチ」の発送遅延等により、広告宣伝費を一時的に抑制したことによるもの。 一方、財務基盤の安定性を示す自己資本比率も、公募増資や内部留保の積み上げによって2016年2月期末には86.5%の高い水準に到達。2017年2月期末は長期借入金による手元流動性の確保を行ったことから67.4%に一旦低下したものの、その後は再び上昇傾向にある。また、資本効率を示すROE(自己資本当期純利益率)についても、高い収益力に支えられて50%水準となっており、同社の財務内容は極めて優れていると評価できる。 キャッシュ・フローの状況も、大きな設備投資を必要としない事業特性から、投資キャッシュ・フローは潤沢な営業キャッシュ・フローの範囲内に収まり、現金及び現金同等物の期末残高は大きく積み上がってきた。2016年2月期は広告宣伝費の投入や将来を見据えた先行投資に加えて、売上高の拡大に伴う在庫投資により一時的に営業キャッシュ・フローが落ち込んだが、2017年2月期以降は再び大幅なプラスで推移している。したがって、強固な財務基盤や潤沢な営業キャッシュ・フローを、これからの成長に向けていかに生かしていくのかも課題となってくるだろう。 2. 2021年2月期上期決算の概要 2021年2月期上期の業績は、売上高が前年同期比9.2%減の4,592百万円、営業利益が同25.9%減の1,030百万円、経常利益が同25.7%減の1,033百万円、当期純利益が同24.2%減の717百万円と減収減益となった。一方、期初予想に対しては、売上高が上回ったものの、利益面では下回る結果となっている。 売上高は、引き続き「ディープパッチシリーズ」(現在4商品)が順調に伸びており、商品別構成においても存在感を増している。第1弾である「ヒアロディープパッチ」が好調を維持したほか、前期リリースした「ミケンディープパッチ」(第2弾)、「オデコディープパッチ」(第3弾)が業績に寄与した。新たにリリースした「チークポアパッチ」(第4弾)も順調に立ち上がってきた。また、コロナ禍の影響も大きくは受けていないようだ。ただ、売上高全体が減収となったのは、前期後半より課題となっている新規獲得件数の減少により既存商品が総じて伸び悩んでいることが理由である。もっとも、その点は想定の範囲内であり、むしろ積極的な広告宣伝費の投入(上限CPO※の引上げ)により、新規獲得件数及び売上高ともに期初予想を上回ることができた。 ※Cost Per Orderの略で、受注1件当たりに要する広告宣伝費の金額。同社は、広告宣伝費の上限として商品ごとに上限CPOを設定した上で、日々CPOを算出・管理し、広告宣伝費の最適化を図っている。 利益面についても、減収による収益の下押しに加え、商品ミックスの変化※1に伴う売上原価率の悪化により大幅な営業減益となり、営業利益率も22.4%(前年同期は27.5%)に低下した。また、利益面で期初予想を下回ったのは、前述のとおり、1)新規獲得を目的として広告宣伝費を増やしたことや、2)販売単価が低くLTVが高い商品※2の販売が好調だったことに伴って、一時的にROASが低下したことが理由である。もっとも、今回のROASの低下は、将来の売上高及び利益への貢献が期待されるものであり、必ずしも悪い材料とは言えない。また、上限CPOを見直したことなどにより足元のROASは回復している。 ※1 「ディープパッチシリーズ」は相対的に原価率が高い。 ※2 販売単価が低くでも、購入頻度が多いことから、年間の売上総額では大きな貢献が見込める商品。短期的にはROASの低下要因となるが、年間を通じて見れば十分に利益回収が期待できる。 財政状態については、「現金及び預金」や「売掛金」、「投資その他の資産」の減少等により、総資産が前期末比3.5%減の5,697百万円に縮小した。一方、自己資本は内部留保の積み増しにより同9.5%増の4,759百万円に拡大したことから、自己資本比率は83.5%(前期末は73.7%)と上昇した。 3. 2021年2月期上期の総括 以上から2021年2月期上期を総括すると、減収減益となった業績面は想定されたシナリオの範囲内であり、評価すべきポイントをどこに置くべきかと言えば、新規獲得件数の減少傾向に歯止めをかけることができたか、さらには、次の成長フェーズに向けて組織体制の立て直しが進んでいるかどうかにあると捉えている。その点から振り返れば、積極的な広告宣伝費の投入により新規獲得件数が想定を上回ったところはプラスの材料となった一方で、一時的なROASの低下を招いたところはマイナスの材料となっており、この状況をどう判断するかが論点と言えるだろう。弊社では、一時的なROASの低下については、その原因の究明と対策が既に行われており、今後に向けては改善につながるものと評価している。一方、ROASが改善されるにつれ、新規獲得件数は再び落ち込む傾向が見られ、その点からは広告投資に見合うだけの新規獲得につながっていないとの見方ができ、まだまだ集客体制の強化に課題を残していると考えられる。したがって、クリエイティブ部門の強化により「高いROASを維持したまま、新規獲得件数を増加させる」ことが下期以降の最大のテーマと言えるだろう。また、市場の大きなマスマーケット商品の早期リリースについても、新規獲得を増やすうえで大きなカギを握るだろう。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫) 《ST》
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