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オンコリス Research Memo(4):テロメライシンは導出先の中外製薬が国内治験を進める(1)

2020/12/3 15:14 FISCO
*15:14JST オンコリス Research Memo(4):テロメライシンは導出先の中外製薬が国内治験を進める(1) ■オンコリスバイオファーマ<4588>の開発パイプラインの動向 1. テロメライシン (1) 概要 テロメライシンは、テロメラーゼ活性の高いがん細胞で特異的に増殖し、がん細胞を破壊する遺伝子改変型アデノウイルスのことで、腫瘍溶解性ウイルス製剤の一種である。テロメライシンの特徴は、正常細胞にも感染するが、テロメラーゼ活性の高いがん細胞で特異的に増殖することで、がん細胞を破壊していくことにある。アデノウイルス自体は自然界の空気中に存在し、風邪の症状を引き起こすウイルスのため、ヒトに投与すると発熱等の症状が出るケースがあるが、正常な細胞の中では増殖能力が極めて低いため副作用も少なく、人体への安全性には問題がないことが確認されている。 (2) 開発状況 テロメライシンは現在、国内と米国、台湾にて複数のプロジェクトが進んでおり、このうち、国内と台湾については中外製薬とのライセンス契約に基づき、開発主体が中外製薬に移っている。 a) 食道がん(放射線との併用療法) 2013年より岡山大学医学部で進められた医師主導の臨床研究では、ステージ1~4までの食道がんで外科手術による切除や根治的化学療法が困難な患者(高齢者等)を対象に放射線療法との併用による治療が実施された。臨床研究の結果については2018年7月の日本臨床腫瘍学会で発表されており、完全奏効率※で62%(全13例中8例)、うちステージ2/3の患者だけに絞ってみても57%(7例中4例)となっており、高い効果を得られることが確認された。Uicc TNM分類第7版の基準による日本食道学会の過去データ(2009年−2011年)によれば、放射線単独療法による完全奏効率は全ステージで42%、ステージ2/3に絞ってみると27%の水準であり、テロメライシンによる薬効の高さが確認されている。 ※治療を受けた患者を分母として完全に腫瘍が消失した患者の割合。30%以上腫瘍が小さくなった患者の割合は部分奏効率と呼ぶ。 同社でも2017年7月から岡山大学の臨床研究と同じ内容で第1相臨床試験を行い、2019年9月にすべての患者(6名)への投与及び効果安全性評価委員会による安全性の評価を完了し、すべての症例においてテロメライシンの投与が中止となるような有害事象は発生しなかったことを発表している。また、完全奏効率も約60%と岡山大学の臨床研究と同様の結果となっている。 中外製薬が主導する第2相臨床試験については、2020年3月初旬に1例目の被験者投与が開始されている。予定症例数は37例で、国内多施設で行い、ヒストリカルデータ(日本食道学会による放射線単独療法)との比較試験により有効性と安全性を確認する。進捗状況については新型コロナウイルス感染症の影響で、やや遅れ気味となっているようだが、現段階では当初の計画どおり2022年中の販売承認申請を目標としている。先駆け審査指定制度の対象品目として指定されており、審査期間の短縮が見込まれることから、早ければ2023年に上市される可能性がある。 b) 食道がん(放射線化学療法併用) 同社は2020年6月に米国での主要ながん研究グループであるNRGオンコロジーとの間で、アーリーステージの食道がんまたは胃食道接合部がん患者を対象とした医師主導の第1相臨床試験を米国で実施する契約を締結した。今回の臨床試験は放射線化学療法(放射線と抗がん剤を用いた治療法)を行いながら、テロメライシンを隔週に3回投与し、安全性の確認と3ヶ月後の腫瘍の縮小効果を確認するというもので、予定症例数は最大21症例となる。完全奏効率が標準治療法を上回れば、次の開発ステージに進む可能性が高くなる(放射線化学療法単独で約50%程度)。また、3年後のがん再発率が既存療法より低ければ、アーリーステージの食道がんにおいて外科手術ではなく薬で治す患者が増える可能性もあるだけに、今後の開発動向が注目される。当初は2020年夏頃に開始する予定であったが、新型コロナウイルスの影響で施設側の体制が整わず、1例目の投与は同年11月頃となる見通しだ。臨床試験終了時期については、今後の新型コロナウイルスの感染状況次第ではあるが、順調に進めば2021年内に終了する見込みとなっている。食道がんを対象とするテロメライシンは、米国FDAよりオーファンドラッグ指定を受けており、今後、補助金支給や臨床研究費用の税額控除といった優遇措置を受けられるほか、販売承認された場合は7年間の先発権保護が与えられ、同期間中は市場を独占することが可能となる。 一方、国内でも中外製薬が局所進行性食道がんを対象とした放射線化学療法との併用による第1相臨床試験を新たに開始する見通しである。安全性、忍容性及び有効性を検証する試験となり、症例数は20例を予定、2022年春頃の終了を予定している。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《ST》
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時価総額 13,285百万円
ウイルス遺伝子改変技術を用いてがん治療薬を開発する「ウイルス創薬」バイオベンチャー。テロメライシンは富士フイルム富山化学と国内販売提携契約を締結。研究開発費は増加。23.12期通期は米国売上が増加。 記:2024/02/25