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エラン Research Memo(1):入院セットサービスの事業環境は良好で中長期的に収益拡大基調

2020/4/14 15:01 FISCO
*15:01JST エラン Research Memo(1):入院セットサービスの事業環境は良好で中長期的に収益拡大基調 ■要約 エラン<6099>は、介護医療関連事業として、病院や介護老人保健施設等の入院患者・入所者が、身の回り品を準備しなくても「手ぶらで入院・退院(入所・退所)」できるように、衣類・タオル類などの洗濯サービス付レンタル、歯ブラシ・ティッシュ・口腔ケア商品、紙オムツなど、入院・入所生活に必要な日常生活用品をセットにした入院セットサービスのCSセット(CSセットは同社の登録商標)を提供している。 1. 入院セットサービスのパイオニアかつ最大手 同社は入院セットサービスのCSセットを組織的にビジネス展開したパイオニアかつ最大手である。CSセットのビジネスモデルは、病院や介護老人保健施設等を通じて、同社が入院患者や入所者とCSセット利用契約(レンタル契約)を結び、入院患者や入所者から受け取るサービス利用料(レンタル料)収入が同社の売上高となる。オペレーションの一部は、業務委託契約を結んだ病院・介護老人保健施設等及びリネンサプライ業者・消耗品業者等が行う。 2. 「WIN-WIN-WIN」の関係を構築 CSセットは契約施設数の積み上げによって利用者数が増加し、サービス利用料収入が増加するというストック型収益モデルである。またCSセットは、サービスを利用する入院患者・入所者とその家族だけではなく、病院・介護老人保健施設等、リネンサプライ業者等にとっても大きなメリットがあり、同社を中心に「WIN-WIN-WIN」の関係を構築した共存共栄型のビジネスモデルである。 3. 契約施設数及び月間利用者数は増加基調 CSセットの契約施設数及び月間利用者数は増加基調である。契約施設数は2019年12月期末時点で1,362施設となり、前期末との比較で222施設(19.5%)増加した。2009年12月期末の120施設を起点にすると年率27.5%の増加率となる。月間利用者数は2019年12月時点で225,578人となり、前年同月時点との比較で34,895人(18.3%)増加した。2009年12月の13,878人を起点にすると年率32.2%の増加率となる。大型急性期病院との契約増加や契約施設のストック積み上げに伴って、利用者数も大幅な伸長率となっている。 4. 2019年12月期の業績 2019年12月期の連結業績は、売上高が前期比15.8%増の21,518百万円、営業利益が同16.7%増の1,492百万円、経常利益が同17.1%増の1,501百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同14.3%増の989百万円だった。契約施設数及び月間利用者数が順調に増加し、当初予想をやや上回る2ケタ増収増益で着地した。配当は2019年1月1日付株式2分割遡及換算後で前期比2円増配の9円(期末一括)とした。個人請求・カスタマーサポート部門を分社化した(株)エランサービスが2019年4月業務開始し、生産性・顧客満足度向上を推進している。 5. 2020年12月期の業績予想 2020年12月期の連結業績予想は、売上高が前期比14.6%増の24,650百万円、営業利益が同15.2%増の1,720百万円、経常利益が同15.2%増の1,730百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同15.2%増の1,140百万円としている。配当予想は前期比2円増配の11円(期末一括)である。契約施設数及び月間利用者数が増加基調であり、業績も増収増益基調に変化はない。保守的な数値を公表する傾向もあり、上振れ余地があるだろう。なお新型コロナウイルス感染拡大の影響については、現時点では特に大きな影響はない見込みとしている。病院・介護老人保健施設等においては感染拡大予防策として、入院患者や入所者に対するお見舞いや衣類・日用品の持ち込みを断るケースが増えており、CSセットの利用拡大につながる可能性もありそうだ。 6. 顧客開拓余地は大きい CSセットがメインターゲットとする市場はベッド数50床以上の病院及び介護老人保健施設等で、同社の2019年12月期末時点の市場開拓率は病院12.8%、介護老人保健施設5.0%に過ぎない。いずれの分野でも入院セットサービスの認知度が向上し、普及ステージに突入している。ターゲット層となる高齢者単身世帯、ひとり親世帯、単身世帯の増加など事業環境は良好であり、CSセットの顧客開拓余地は大きいと言えるだろう。 7. CSセットをプラットフォームサービスへ進化させ、収益拡大基調へ 中期経営ビジョン(2020年〜2022年)を策定し、目標数値には2022年12月期の売上高380億円、営業利益30億円、営業利益率8.0%、市場開拓率20%、国内拠点23拠点を掲げた。CSセットは入院中の「困った」をビジネス化したサービスという考え方を基本として、入院中の「困った」にとどまらず、中長期的には入院前後の周辺領域の「困った」のビジネス創出を目指している。CSセットを単なる入院セットサービスにとどまらず、入院・退院前後~在宅~リハビリの各ステージに関わるプラットフォームサービスとして進化させる戦略だ。入院セットのリーディングカンパニーとしての優位性を発揮し、付加価値を高めたCSセットがプラットフォームサービスに進化することで、中長期的に収益拡大基調となるだろう。 ■Key Points ・入院CSセットを組織的にビジネス展開したパイオニアかつ最大手 ・契約施設数及び月間利用者数が増加基調で2020年12月期も2ケタ増収増益・増配予想 ・CSセットをプラットフォームサービスへ進化させ、収益拡大基調を狙う中長期計画 (執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展) 《EY》
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病院の入院患者や介護施設の入所者に衣類、タオル等を日額定額制でレンタルするサービスを提供。長野県松本市に本社。オリジナル患者衣ブランド「lifte」も。ケア・サポートセットの導入施設数は2300施設超。 記:2024/08/06