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今週のマーケット展望「日銀緩和の催促相場でオーバーシュートも」~マネックス証券チーフ・ストラテジスト広木隆氏(山崎みほ)

2020/3/9 9:45 FISCO
*09:45JST 今週のマーケット展望「日銀緩和の催促相場でオーバーシュートも」~マネックス証券チーフ・ストラテジスト広木隆氏(山崎みほ) 皆さま、こんにちは、フィスコマーケットレポーター山崎みほの「マネックス証券の気になるレポート」です。先週は、世界的に新型コロナウイルスの感染拡大が続き、株式相場も不安定な展開を強いられました。今週の市場はどうなるのでしょうか?さて、マネックス証券の「メールマガジン新潮流」が、3月9日に配信されました。そのなかから今回は、同証券のチーフ・ストラテジスト、広木隆氏のレポート「今週のマーケット展望」の内容をご紹介いたします。 まず広木さんは、今週の動きについて、『先週末、NYダウは続落し、そして何より為替が円高に振れているので、今週の週明けも売り先行で始まるだろう』と示唆しています。実際に、広木さんの予想通り、本日の株価は売り先行でスタートしました。 加えて、『先週末で日経平均のPBRは0.99倍。ほぼ底値だと思われるが、シカゴの日経平均先物は2万430円で引けた。更なる下押し圧力を受けながら、この水準でどれだけ下げ渋ることができるかが焦点だ』と伝えています。 広木さんは『PBR1倍割れがトヨタやNTTなども含む東証1部の約56%に達するというのは異常である』と指摘。コロナを巡る一連の騒動について、『景気に悪影響を与えているのは明白で、企業業績も間違いなく悪化する』としていますが、一方で『一過性だし程度問題だろう』とも考察しています。 また、『今期の減益幅は拡大するのは確実で来期の増益率も鈍るかもしれない。しかしPBR1倍割れというのは将来にわたって純資産が棄損することを織り込む評価だ』と分析し、すなわち『減益どころか赤字を織り込んでいるということだから、まっとうなバリュエーションではない』との見解を述べています。『来期の業績が上場企業全体で赤字になるか?そんなことはあり得ない。V字回復だってじゅうぶんあり得るのに』と伝えています。 続けて、『まあ、そんなこと言っても相場は理屈じゃないので、行くところまで行かなければ気が済まないだろう』として、『株にはPBR1倍のような絶対的な評価尺度があるが、為替には何もない。為替は、なんにもないドタ勘の世界なので勢いがついた今、まず為替が走りそうだ』と分析しています。そして、『1ドル100円割れ、日経平均2万円割れがあってもおかしくない、くどいが理屈じゃないので。ここまできたら「きり」がいいかどうかの世界なので』と考察しています。 また、ひとつの構図として、『催促相場というのはあるかもしれない』と伝えています。『日銀がためらっているマイナス金利の深堀りを引き出すための円高だ。しぶしぶ日銀がマイナス金利を進めれば一段と邦銀の株が売られ、さらなる株安を誘導する。それを狙っての仕掛け的な円買いはあるだろう』と分析。『なにしろ円を(為替を)買うにはカネは要らないから。反対売買で決済する世界なので機関投資家でラインをもっているものはいくらでも買おうと思えば円を買えるのだ(個人の証拠金取引とはまったく違う)』としており、『1ドル100円割れを狙っての仕掛け的な円高進行には警戒したい』と注意を促しています。 しかし、催促相場だと考えると、『ファンダメンタルズから離れたオーバーシュートであるので、反動も大きい』とのことです。『FEDの利下げが効かなかったと言われるが、「織り込み済みと追加緩和の催促」だと解釈できる。Anyway, don’t fight with FEDであることには変わりない』と伝えています。 続けて、『相場は理屈じゃない、と言ったが最後は理屈である。いつ冷静になるか、だ』と述べています。その意味では、今週について『市場の、投資家の、理性が試されると言えるだろう』との見解です。 材料としては、『PBR1倍割れ以外にも下げ止まる材料はある』とのこと。先週のNYダウについて、『大幅続落だったが、それでも一時の900ドル近い急落から引けにかけて下げ幅を縮めた。続落であるがローソク足では陽線で、陽・陰・陽・陰・陽の鯨幕パターンは維持した』と解説し、これは『悲観と楽観が交錯し、売りの勢力と買いの勢力がせめぎあっていることの表れだ』といいます。 『少なくとも悲観一色というフェーズからは前進した』と言え、『早晩放れてくるだろう』と示唆しています。米国のファンダメンタルズを考えると、『上に放れる可能性が高い』とのことで、『米株のプレミアム(対10年債イールドスプレッド)は5%もついた。2013年以来の水準だ。これを取りに来ない投資家はいないだろう』と考察しています。 コロナウイルスについては、『中国国家衛生健康委の発表によると、中国湖北省で5日に新たに確認された新型コロナウイルスの感染者数は126人となったが、全員が武漢市だった。湖北省の新規感染者が武漢を除いてゼロとなるのは初めてだとロイターが報じた』と伝えています。『湖北省以外の地域では17人の感染が新たに確認され、この17人のうち、16人は海外から新型ウイルスが「逆流入」してきたケース』であることに言及し、つまり、『中国で、武漢以外で、中国国内の要因による感染者数は1人だということだ』と説明しています。 中国のコロナ感染については『終息宣言一歩手前だろう』としており、『注目は湖北省が11日まで企業に対して要請していた休業措置が再度延長されるかどうかだ。延長されずに操業再開となれば、完全にヤマは越えたとの認識が広がるだろう』と分析。こうした状況を受けて、『上海総合が春節前につけた高値を抜いたりすれば、弱い日本株も少しは活性化するかもしれない』と述べています。 中国はピークアウトとする一方、『他国では感染者が増えている』として、『増えることは予見可能だったのでサプライズではないのだが、マスコミが煽るのでこんな騒ぎになっていると思う。感染者は増えているが死者数の増加ペースは緩慢である。改めて致死率の低さが認識されるだろう』と指摘しています。感染者数については、『累積でみれば増えるのは当然だが、増加率でみればそろそろピークアウトするのではないか』との見解を伝えています。 それでも、『ニューヨーク州が非常事態宣言を出したり、日本政府も14日に緊急事態宣言を可能にする法案の施行を予定するなど、世の中的には今週が「コロナのヤマ場」となりそうだ』とのことです。ただ、『相場は速いので世間の動きとは一線を画すと期待したい』としています。 今週注目されるイベントについては、『12日のECB(欧州中央銀行)理事会』として、『市場は金融緩和の強化をほぼ確実視している。ユーロ売りから円買いにつながる流れには警戒が必要だ』と伝えています。もうひとつは『13日のメジャーSQ(特別清算指数)算出日』であり、『波乱の年度末だけに、ロールオーバーなどが絡んでSQ前の水曜日当たりからボラティリティが大きくなりそうだ』と示唆しています。 今週の予想レンジについては、『19,900 ~ 21,300円』と広めにとっています。『いずれにせよ、ここが陰の極で底値になるだろう』と予想しています。最後に、『今週は市場の、投資家の、理性が試されると述べたが、もうひとつ試されるものがある。それは胆力だ。今週は「頭」と「腹」の勝負である』と指摘しています。 参考にしてみてくださいね。 山崎みほの「気になるレポート」はマネックス証券の「メールマガジン新潮流」に掲載されたレポートを山崎みほの見解で注目し、コメントしています。レポート発行人との見解とは異なる場合があります。詳細は発行人のレポートをご確認くださいね。 フィスコマーケットレポーター 山崎みほ 《HH》