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トレードワークス Research Memo(5):エンジニアを育成することで、「金融×IT」分野で高成長を目指す

2019/10/7 15:15 FISCO
*15:15JST トレードワークス Research Memo(5):エンジニアを育成することで、「金融×IT」分野で高成長を目指す ■トレードワークス<3997>の今後の見通し 2. 今後の成長戦略 金融業界におけるIT投資動向は、AIやIoT、FinTech、RegTech(レグテック)※といった新たな技術・サービス領域に向けた開発投資だけでなく、働き方改革や人手不足の解消といった生産性向上に向けた投資なども含めて、今後も着実に拡大していくものと予想される。 ※RegTech(レグテック)…「Regulation(レギュレーション):規制」と「Technology(テクノロジー):技術」を組み合わせた造語。ITを駆使し、煩雑な規制対応を効率化する取り組みを指す。規制が複雑で、当局への報告義務が多岐にわたる金融業界で有効とされ、FinTechと並んで言及されることが多い。 こうした市場環境下で同社は、金融知識を有するエンジニアの増員・育成により製品・サービスの品質向上を図りながら、売上拡大と収益性の向上を進めていく成長戦略を推進している。事業領域に関しては、証券やFXだけでなく年金・保険や暗号通貨といったその他の金融領域に広げていくほか、AIを活用したチャットボットシステムの開発など新たな取り組みにも着手している。 (1) 人材採用・育成 同社では金融業界で求められるシステムエンジニアのスキルとして、プログラミング能力だけでなく、複雑な金融商品や法規制など関連知識も含めて身に付ける必要があると考えており、「金融×IT」のスキルを兼ね備えることで顧客が求める品質の高い製品・サービスの開発が可能になると考えている。例えば、エンジニアが顧客の悩みを聞いて、翌日には問題解決の方策を提案できるレベルにまでなることを目標としている。エンジニアがこうした金融の知識を身に付け、戦力化するまでには最低2年程度かかるため、継続的な収益成長を目指すには、計画的な人材採用及び育成が重要となる。 人材採用については、前述したように本社移転により積極的な採用を進めていくことが可能となった。また、外国人エンジニアの採用も2018年より開始している。具体的には、カンボジアのキリロム工科大学が進めている「vKiriromプロジェクト」※の奨学金スポンサーとなり、優秀な卒業生を採用していく計画となっている。2018年11月に採用した2名のうち、1名は開発プロジェクトに参画し戦力化している。2019年11月にも2名が入社する予定となっており、当面はこの4名を育成することに集中する。これら外国人エンジニアが戦力化し、トレーナーレベルまでスキルアップした段階で、外国人エンジニアの採用を再開する予定だ。また、国内の新卒採用についても2020年12月期以降、年間2〜3名ペースで採用を進めていく計画となっている。 ※カンボジア政府機関から許可を受け、IT都市建設を目指すためのIT人材を全寮制で育成するプロジェクト。学生は学費及び寮費が無料となる。 人材育成について見ると、新人研修では3ヶ月間の研修期間中に、プログラムの技術研修だけでなく証券取引などの業務研修も重点的に行っており、金融系専門プログラマーとしての育成カリキュラムを確立している。また、外部セミナーにも積極的に参加し、最新の技術トレンドやテクニカル手法などを習得、社内勉強会などを通じて新製品の開発に生かしている。現在、社内のエンジニア数は約100名(契約社員や派遣社員を含む)の規模となっているが、今後は積極的な採用により人員規模を拡大していく考えだ。 (2) 事業領域の拡大 金融業界に特化した独立系のシステム開発会社として堅実な成長を続けてきた同社だが、今後は高い技術力と金融知識を併せ持つ専門集団として、証券分野以外の領域にも事業領域を拡大し、更なる成長を目指していく方針となっている。2018年12月期には年金分野でauアセットマネジメント(株)向けに個人型確定拠出年金「auのiDeCo(イデコ)」サービスのシステム提供を開始したほか、カブドットコム証券にも同様のシステムが導入されている。今後はシステムの機能拡充とともに顧客の拡大に取り組んでいく。 また、暗号通貨については直近でブームが沈静化しているものの、金融当局による法規制の整備が一段落すれば、取引事業者のシステム投資も本格的に動き始めると見ており、現在はその状況を睨みながら準備を進めている段階にある。取引システムそのものはFXやCFD(差金決済取引)とほとんど変わらないため、スムーズに開発が進むものと予想される。特に暗号通貨に関しては、インターネット取引システムだけでなく不公正取引監視システムの需要も見込まれ、今後の受注獲得が期待される。 (3) ストック型ビジネスモデルへのシフト 同社は収益の安定性を高めるため、クラウドサービスなどのストック型ビジネスの売上拡大に注力していく方針を示している。金融ソリューション事業におけるストック型収入の売上構成比は2018年12月期の40%台前半から2019年12月期は50%弱に上昇し、中期的には60%台半ばの水準まで引き上げていきたい考えだ。このため、新規顧客に関しては、基本的にストック型モデルでの受注活動を行っている。ストック型収入の比率が60%台まで上昇すれば、収益の安定化と同時に利益率の上昇も進むものと予想される。 (4) 新技術の開発 同社はブロックチェーン技術や音声認識システム、AI技術など最先端の技術を用いたサービスの研究・開発にも注力している。2018年10月には主要顧客であるカブドットコム証券と共同で、VR環境を用いた株式取引システムのプロトタイプを開発し大きな注目を集めた。VRシステムの具体的な商品化時期については未定だが、将来的には技術進化とともに取引システムの機能も高度化していくことが予想され、同社にとってビジネスチャンスになると考えられる。 そのほか、「働き方改革」に対する企業の取り組みが活発化するなかで、AIを活用したチャットボットシステムの開発にも着手している。金融業界でも顧客満足度の向上施策として同ツールを導入する動きが広がっており、同社も蓄積してきた金融知識等のノウハウをもとに開発を進めており、2020年12月期以降のリリースを目指している。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《YM》
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