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オンコリス Research Memo(4):テロメライシンは中外製薬とライセンス契約を締結し、全世界で導出を達成(1)

2019/10/7 15:04 FISCO
*15:04JST オンコリス Research Memo(4):テロメライシンは中外製薬とライセンス契約を締結し、全世界で導出を達成(1) ■オンコリスバイオファーマ<4588>の開発パイプラインの動向 1. テロメライシン (1) 概要 テロメライシンは、テロメラーゼ活性の高いがん細胞で特異的に増殖し、がん細胞を破壊する遺伝子改変型アデノウイルスのことで、腫瘍溶解性ウイルス製剤の一種である。テロメライシンの特徴は、正常細胞にもがん細胞にも感染するが、テロメラーゼ活性の高いがん細胞で特異的に増殖することで、がん細胞を破壊していくことにある。アデノウイルス自体は自然界の空気中に存在し、風邪の症状を引き起こすウイルスのため、ヒトに投与すると発熱等の症状が出るケースがあるが、正常な細胞の中では増殖能力が極めて低いため副作用も少なく、人体への安全性には問題がないことが確認されている。現在、食道がんや胃がん及び胃食道接合部がん等の固形がんを対象疾患として、開発が進められている。 (2) 開発状況 テロメライシンについては国内と米国、台湾・韓国にて複数のプロジェクトが進んでおり、このうち、国内と台湾についてはライセンス契約に基づき、今後の開発主体が中外製薬に移行する。また、中国でもライセンス供与先のハンルイで臨床試験に向けた準備が進められている。 a) 食道がん(放射線との併用療法) 2013年より岡山大学医学部で進められた医師主導の臨床研究では、ステージ1~4までの食道がんで外科手術による切除や根治的化学療法が困難な患者(高齢者等)を対象に放射線療法との併用による治療が実施された。治療期間は6週間で、週5日の放射線治療とテロメライシンを合計3回投与し、腫瘍縮小効果を見ると言うもの。臨床研究の結果については2018年7月の日本臨床腫瘍学会で発表されており、完全奏効率※で62%(全13例中8例)、うちステージ2/3の患者だけに絞ってみても57%(7例中4例)となっており、高い効果を得られることが確認された。Uicc TNM 分類 第7版の基準による日本食道学会の過去データ(2009年−2011年)によれば、放射線単独療法による完全奏効率は全ステージで約40%、ステージ2/3に絞ってみると約30%の水準であり、テロメライシンによる薬効の高さが確認された。 ※治療を受けた患者を分母として完全に腫瘍が消失した患者の割合。30%以上腫瘍が小さくなった患者の割合は部分奏効率と呼ぶ。 同社でも2017年7月から岡山大学の臨床研究と同内容で第1相臨床試験を開始し、2019年9月24日付で全ての患者(6名)への投与及び効果安全性評価委員会による安全性の評価を完了し、全ての症例においてテロメライシンの投与が中止となるような有害事象が確認されなかったことを発表している。今後は同治験結果を纏めて、2020年初頭に(独)医薬品医療機器総合機構(PMDA)に提出する予定となっている。また、第2相臨床試験については中外製薬が主導して進めていくことになり、2020年前半にも開始されるものと予想される。想定される症例数は30~40例で、ヒストリカルデータ(日本食道学会による放射線単独療法)との比較試験となる。第1相臨床試験では治験施設を2ヶ所に限定していたが、第2相臨床試験では10ヶ所以上に増やして進めていく考えだ。今回は有効性のほか生存率も見ることから試験期間は2~3年程度かかる見込みだが、先駆け審査指定制度の対象品目として指定されていることもあり、審査期間の短縮が見込まれることから、早ければ2023年にも上市される可能性がある。 b) 進行性または転移性固形がん(免疫チェックポイント阻害剤との併用療法) 国内では食道がんを中心とした進行性または転移性固形がんでステージ4の患者を対象に、抗PD-1抗体であるペムブロリズマブ(開発:米メルク<MRK>、商品名:キイトルーダ)との併用療法による医師主導第1相臨床試験が、2017年12月より国立がん研究センター東病院等で進められている。試験内容は、前半の9例が投与量を3群に分け(低容量、中容量、高容量)、治療期間6週間でテロメライシンを3回反復投与、ペムブロリズマブを複数回投与し、安全性や抗腫瘍効果、免疫応答等を評価するというもの(最大2年間の経過観察期間を設けて生存率についても評価)。また、後半の10例については、前半に行った試験のうち高容量群での3回反復投与を1クールとし、複数クール行う試験となる。 前半9例に関する中間報告が、2019年3月に米国で開催された癌学会で発表されている。その内容は、投与を制限するような重篤な副作用が発生せず、二次評価としての予備的な有効性評価として、9例中3例で全身での部分奏効が確認されたというもの。ペムブロリズマブ単独療法では部分奏効率が13%程度という臨床試験結果が出ており、併用療法による腫瘍縮小効果が期待できる内容となっている。2019年9月時点で後半の10例中、7例目の投与が開始されており、順調に進めば2020年夏までには10例への投与が完了する見込みとなっている。今後、同疾患向けの開発を進めていくかどうかについては、中外製薬の方針次第となる。中外製薬でも免疫チェックポイント阻害剤であるアテゾリズマブ(商品名:テセントリク)の開発を進めているためで、今回の医師主導臨床試験のデータ結果次第では、アテゾリズマブとの併用療法による臨床試験を進めていく可能性がある。 c) 胃がん・胃食道接合部がん(免疫チェックポイント阻害剤との併用療法) 米国でも2019年5月よりコーネル大学が中心となってステージ4の胃がん・胃食道接合部がん患者を対象に、ペムブロリズマブとの併用療法による医師主導第2相臨床試験が始まっている。ペムプロリズマブ投与中の患者に対して、テロメライシンを隔週で4回投与する。観察期間は半年程度で症例数は最大37例、安全性と有効性を評価する。施設数は現在コーネル大学のみだが今後2施設を追加し、試験期間は3年程度となる見通し。一定症例に達した段階でコーネル大学が中間報告を行う予定となっている。 ペムプロリズマブ単剤での部分奏効率が15%程度であるため、併用療法で30%を超えれば販売承認を得られる可能性がある。2019年9月時点で2例目の投与を開始した段階で、当初の想定よりもやや進捗は遅れ気味となっている。今後の開発方針に関しては、2020年後半以降に発表される中間報告の結果を見てからの判断となるが、中外製薬が米国での開発に関するオプション権を保有しているため、オプション権を行使して同じグループ企業であるジェネンテック等が、アテゾリズマブを用いた併用療法の開発を進めていく可能性がある。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《YM》
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時価総額 14,158百万円
ウイルス遺伝子改変技術を用いてがん治療薬を開発する「ウイルス創薬」バイオベンチャー。テロメライシンは富士フイルム富山化学と国内販売提携契約を締結。研究開発費は増加。23.12期通期は米国売上が増加。 記:2024/02/25