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アウトソシング Research Memo(6):エンジニアニーズの拡大等で業績は順調、米中貿易摩擦の影響も限定的(2)

2019/10/2 15:46 FISCO
*15:46JST アウトソシング Research Memo(6):エンジニアニーズの拡大等で業績は順調、米中貿易摩擦の影響も限定的(2) ■決算動向 2. 2019年12月期上期決算の概要 アウトソーシング<2427>の2019年12月期上期の業績(IFRS)は、売上収益が前年同期比27.7%増の177,585百万円、営業利益が同18.6%増の5,703百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益が同25.5%減の1,511百万円と計画を上回る増収及び営業増益となり、売上収益、営業利益ともに過去最高(上期ベース)を更新した。なお、親会社の所有者に帰属する四半期利益が減益となったのは、特殊要因(一過性の金融費用)※によるものであり、業績の後退を示すものではない。 ※グループ会社の公正価値が高まったことに伴う売建てプットオプションの再評価によるもの。すなわち、買収先の少数株主持分(売主が保有する残株式)について、将来的な買取コストの上昇をあらかじめ費用として認識したものである。したがって、2019年12月期上期の期間損益にはマイナスの影響となったものの、グループ会社の公正価値の向上そのものは、言うまでもなく同社にとってプラスの材料である。 売上収益はすべての事業が順調に拡大した。特に、国内においては、「国内技術系」がKENスクール等を活用した技術者採用が奏功したほか、「国内製造系」も米中貿易摩擦の影響を若干受けたものの、PEOスキームの貢献等により堅調に推移。「国内サービス系」についてはグループシナジー創出により国内米軍施設向けが順調に拡大した。一方、海外においても、前期M&Aが期初から寄与したことやオーガニック成長により、「海外製造系及びサービス系」及び「海外技術系」がともに大きく伸びている。 利益面でも、中・長期的な目線で2ケタ成長を継続するための先行費用を投入しながらも、増収により吸収することで計画を上回る営業増益を実現することができた。 財政状態については、増収に伴って「現金及び現金同等物」及び「営業債権及びその他の債権」が増加したほか、IFRS第16号適用に伴う影響(リース契約のオンバランス化)により、総資産が前期末比21.9%増の226,060百万円と大きく拡大した。一方、「親会社の所有者に帰属する持分(自己資本に相当)」は配当金の支払い等により同5.0%減の52,456百万円に減少したことから、「親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率に相当)」は23.2%(前期末は29.8%)に低下している。ただ、前述したIFRS第16号適用による影響を除けば、実態として財政状態に大きな変化はない。 主な事業別の業績は以下のとおりである。 (1) 「国内技術系アウトソーシング事業」は、売上収益が前年同期比31.6%増の42,834百万円、営業利益が同4.9%増の2,397百万円と増収増益となり、ほぼ計画どおりの進捗となっている。社会構造的に各分野でエンジニアニーズが拡大するなかで、未経験者を教育して配属するKENスクールなどが若年層中心として採用の大きなアドバンテージとなっており、2019年6月末の外勤社員数は15,036名(前期末比2,273名増、計画比208名増)と計画を上回るペースで拡大。そのうち、2019年4月入社の新卒採用についても約1,600名(2018年4月入社は約1,050名)と順調に増えている。一方、利益面では、増収により増益となったものの、利益率は若干低下している。新卒採用者の拡大による配属前教育コストや、いわゆる就職協定の廃止に伴い、2021年4月の新卒採用費が前倒して発生したことなどが影響したものであり、第3四半期からは改善に向かう見通しである。 (2) 「国内製造系アウトソーシング事業」は、売上収益が前年同期比23.3%増の35,503百万円、営業利益が同10.3%増の3,019百万円と増収増益となったが、営業収益は計画を若干下回る進捗となっている。米中貿易摩擦の影響(国内メーカーの中国向け輸出減少)を一部受け、製造派遣・製造請負の2019年6月末の外勤社員数は14,018名(前期末比320名増、計画比1,123名減)と計画を下回った。ただ、多くの同業他社で派遣社員が純減となっていることから判断すると影響が少なかったと言える。特に、PEOスキームの貢献により、第1四半期末からは約500名の純増となっている。一方、外国人労働者の管理業務受託についても、メーカーが活用拡大に向かっているものの、入国管理法の改正等による行政監督機関の混乱に伴って在留資格の審査等が大きく遅れており、2019年6月末の委託管理人数は13,528名(前期末比2,303名増、計画比1,162名減)と計画に対して期ズレが発生した。利益面では、増収により増益となったものの、利益率は低下している(但し、想定内)。今後の注力分野と位置付けている外国人労働力(管理受託等)に関連する各種事業の拡大に向けて、体制強化への一過性の先行投資によるものである。 (3) 「国内サービス系アウトソーシング事業」は、売上収益が前年同期比9.8%増の10,157百万円、営業利益が同58.6%増の1,043百万円と計画を上回る増収増益となった。特に、米軍施設内事業については、AECが入札時に必要とするボンド(保険)を同社の与信で700億円へ拡充したことで大口案件への入札が可能となった。利益面でも、案件の大口化に伴って採算性が改善し利益率も大きく向上している。 (4) 「海外技術系事業」は、売上収益が前年同期比35.6%増の21,925百万円、営業利益が同80.7%増の1,201百万円と計画を上回る大幅な増収増益となった。先進国でのエンジニアニーズや公務員を削減し公務を民間へ委託するニーズが拡大。特に、2018年9月に買収したPMP(豪州)が期初から寄与したことに加え、豪州でKENスクールと同様のスキーム(エンジニアをキャリアチェンジやキャリアアップ)を開始し、採用アップにつながった。また、欧州・豪州にて各国政府等からのBPO事業(自社開発システムの活用)をグループ展開したことにより、事業拡大と生産性向上を実現。その結果、KENスクールモデルを各国へ展開するための先行費用をこなしながらも、利益率は大きく改善した。 (5) 「海外製造系及びサービス系事業」は、売上収益が前年同期比28.3%増の66,848百万円、営業利益が同4.7%増の1,357百万円と増収増益となったが、営業利益は計画を下回る進捗となっている。「海外製造系」は、ドイツの景気減速の影響を受けたものの、オランダにおける物流系の伸びでキャッチアップ。特に、2018年5月に買収したOTTO(オランダ)が期初から寄与し、賃金格差や労働力の需給ギャップを埋める、国境を超えた人材流動化スキームが順調に伸びている。「海外サービス系」についても、欧州・豪州での公共関連の各種アウトソーシング事業が順調に拡大。英国の公共関連事業におけるブレグジットの影響についても、中央から地方行政へ転換したことで回避することができた。また、「国内サービス系」との連携により米軍施設向け事業を環太平洋へ展開する方針であり、第2四半期からグアムで事業を開始した。利益面では、増収を確保したものの、東南アジアでの不採算事業の見直しのほか、ドイツの法改正に伴う解約等による一過性費用が想定以上となったことから計画には届かなかった。ただ、第3四半期から改善する見通しである。 3. 2019年12月期上期決算の総括 以上から、2019年12月期上期の業績を総括すると、業界に対して米中貿易摩擦などの影響を懸念する見方があるなかで、PEOスキームによる貢献のほか、景気変動の影響を受けない事業構造への変革が奏功し、グループ全体でその影響をカバーしながら計画を上回る業績の伸びを実現したと評価できる。また、ポテンシャルの大きな外国人労働者に関連する事業やKENスクールモデルの海外展開など、今後も高い成長性を継続していくための先行投資をしっかり行いながら、高収益を確保したところも特筆すべきであろう。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫) 《ST》
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製造業向け人材派遣・業務請負が柱。M&Aを活用して国内外で事業拡大。昨年12月に発表したMBOの一環として米投資ファンドのベインが1株1755円でTOB実施。今年3月にTOBが成立し、同社株は上場廃止へ。 記:2024/04/10