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SOU Research Memo(6):高成長性と高収益性で他社を圧倒

2019/5/29 15:06 FISCO
*15:06JST SOU Research Memo(6):高成長性と高収益性で他社を圧倒 ■業績動向 1. 収益構造 リユース業界では一般に、バリューチェーンの入口である買取を制したものが勝者となってきた。商品を店舗周辺のエリア(市場)にいる一般消費者からのみ仕入れていた頃は、そうした傾向はより顕著だったと考えられる。だから各社とも買取に腐心するわけだ。そのような業界でSOU<9270>は、オークションによる卸販売を前提に、買取にフォーカスしたビジネスを立ち上げた。一般消費者向けリユース店とは異なる手法で、独自のビジネスモデルによる圧倒的な差別化によって、バリューチェーンの入口である買取に加えオークションという出口まで押さえることができた。このことが、同社の成長性の速さと収益性の高さにつながったと思われる。 同社の売上総利益率は卸販売のためやや低いが、多数の買取拠点とオークションを背景に高い回転率となっており、儲けを示す交差比率は同業他社を圧倒している。また、入口と出口を違えることで、かえって運営コスト(販管費)が低くなったようだ。このため同社の営業利益率は相対的に高くなっている。ちなみに、ネット系の企業は交差比率が高く可能性を感じさせるが、運営コストをカバーするような売上高(販売単価)になっていないことが多い。インターネットとリアル店舗が融合している同社に比して、インターネットへの過信が少し強いのかもしれない。 上期減益も利益進捗率は52%とやや速い 2. 2019年8月期第2四半期の業績動向 2019年8月期第2四半期の業績は、売上高18,956百万円(前年同期比23.2%増)、営業利益1,152百万円(同3.3%減)、経常利益1,149百万円(同2.1%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益770百万円(同11.2%減)となった。なお、2019年8月期第2四半期の進捗率が2018年8月期第2四半期に比べて低くなったが、これは、株式上場のあった2018年8月期第3四半期の利益寄与が小さくなった分、相対的に2018年8月期第2四半期の利益寄与が大きくなったことによる。したがって、2019年8月期第2四半期の進捗率は、特に問題となる低さとは言えないと考える。ただし、売上総利益率については、同社としてももう少し取りたかったのではないかと思われる。と言うのも、買取店「なんぼや」の積極拡大で在庫を十分確保したところに、12~1月の円高により、オークションの参加業者のうち海外で販売を予定していた業者の購買モチベーションが一時的に下がり、指値が上がりづらくなったことが、売上総利益率が低下した要因と思われるからである。営業減益分析をすると、売上総利益率の低下に加え、M&A準備やTOB関連の費用、積極拡大に伴う人件費と家賃の増加も要因になったと考えられる。なお、税効果により親会社株主に帰属する四半期純利益が2ケタ減益となった。 買取面では、買取強化に加え買取店舗の稼働率改善、買取ブランドの効率化を企図し、「BRAND CONCIER(ブランドコンシェル)」3店及び子会社で「古美術八光堂」1店を退店する一方、店舗数が多く集客のメインを担う「なんぼや」を4店出店した。前期からの出店効果もあり、第2四半期の仕入高は13,381百万円(前年同期比16.2%増)と順調に推移した。販売においては、仕入高の増加に伴って国内外ともに売上高が好調に推移、特に海外は国内を上回る高い伸びとなり、海外での顧客獲得に手応えを感じたようだ。販路別では、オークションはオンラインオークションの開始により落札比率はやや低下したものの、自社オークションの開催回数の増加を背景に、国内外ともに売上高が33%前後の高い伸びを示した。小売は、売上規模は小さいが、オンラインチャネルの充実により2ケタ増収を達成した。 なお、国内「STAR BUYERS AUCTION」は、リアルオークションは前年同期と同じく24回開催した一方、9月にオンライン入札オークションを開始した。香港では、ダイヤモンドオークション(2018年9月、11月、2019年2月)と時計オークション(2018年11月、2019年2月)を開催した。他社販路がメインだった古美術八光堂でも自社オークションを本格化、毎月2回開催した(偶数月は骨董品・茶道具、奇数月は絵画・書画)。小売では、希少性の高いヴィンテージアイテムを中心に取り扱う「ALLU」2号店を大阪・心斎橋にオープンしたのに加え、ラグジュアリーブランドからセカンドブランドまで幅広く取り扱うECサイト「usus」をオープンした。 さらに、EC販売の強化を図り、自社ECサイト「ALLU」及び「usus」、ヤフオク!ストア「ZIPANG」、越境ECショッピングアプリ「豌豆公主」などEC全体で在庫の連携を図り、多販路への同時出品を可能にする「同時出品システム」などオムニチャネルスキームに沿った効率化を進めた。所持品の実物資産としての管理や運用を提案する資産管理アプリ「miney」については、他社サービスとの連携やAndroid版の本格リリースを行うなど、ユーザー数・登録資産額増加に向けた取り組みを強化した。そのほか、(株)ユー・エム・イーのM&A検討と自己株式の取得を行った。ユー・エム・イーについては、条件面での最終合意に至らず、M&Aは中止となった。また、自己株式の取得については、実施後に消却せずに金庫株として保有、従業員向けインセンティブやM&Aなど成長戦略への活用を検討している。 2019年8月期業績は計画を上回る可能性がある 3. 2019年8月期の業績見通し 2019年8月期の業績見通しについて、同社は売上高35,650百万円(前期比13.1%増)、営業利益2,200百万円(同17.2%増)、経常利益2,130百万円(同17.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,450百万円(同16.7%増)を見込んでいる。2019年8月期第2四半期の利益進捗率については問題ない水準としたが、増収効果が期待以上となっていること、円高で下がったオークション参加業者のモチベーションが既に回復しつつあることなどを考慮すると、下期に出店が多くなることによる販管費の増加は懸念されるものの、会社計画を上回って着地する可能性も少なからずあると思われる。同社が「保守的想定の位置付け」というのも頷ける。 リユース業界は、市場拡大に伴う各企業の成長や新規参入企業の増加などにより、一層競争が激化していくと予測されている。同社はこのような環境の中、安定的な仕入の確保を実現するため買取店舗を継続的に出店する方針で、2019年8月期下期においては10店舗程度の買取店舗を出店する計画である。また、店舗の効率化を考慮し、一部既存店舗の移転も予定している。オークションについては、国内外ともに上期と同じ回数の開催を見込んでいる。利益面では、上期の円高の影響が一巡していることから売上総利益率の改善を見込むが、同様の不確定要素や出店増等による販管費増を考慮して、営業利益については期初計画を据え置くとした。特に不確定要素に対しては、従来どおり買取を優先するため販売面で工夫していく方針である。例えば、指値を保守的にしたり売らなかったりという選択肢もあるが、それでは成約率に悪影響が生じるので、将来的には不確定要素をAIに学習させることで、「SOU Brain」に利益を最大化するプライシングを予測させる計画である。例えば、こうしたプライシングはオークションのみならず小売や買取などすべてのプライシングで有効と考えられることから、今後も積極的にIT技術を利用していく方針である。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) 《YM》
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ブランド品、骨董・美術品のリユース事業を手掛ける。一般消費者から仕入れ、オークション等で同業他社に販売するCtoBtoB形態に特徴。WEBマーケティングなどによる仕入強化、自動車事業の強化等に取り組む。 記:2024/06/03