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パイプドHD Research Memo(2):自社開発した「SPIRAL®」というプラットフォームを軸に事業展開(1)

2019/5/17 15:02 FISCO
*15:02JST パイプドHD Research Memo(2):自社開発した「SPIRAL®」というプラットフォームを軸に事業展開(1) ■会社概要 1. 会社概要 パイプドHD<3919>は2015年9月1日付でパイプドビッツから単独株式移転によって設立された純粋持株会社であり、2019年2月28日現在で連結子会社12社、持分法適用関連会社1社を有している。 2. 沿革 パイプドビッツは、現パイプドHDの代表取締役社長である佐谷宣昭(さたにのぶあき)氏によって2000年4月に設立された。多くの企業にとって、その顧客の属性やメールアドレスなど、事業上知り得たデータは重要な「情報資産」であり、これらの「情報資産」を安全に預かると同時に有効利用するサービスを事業として開始した。この事業を行うために自社開発したのが、情報管理のためのプラットフォーム「SPIRAL®」である(詳細後述)。その後、この「SPIRAL®」を中心に各種のアプリケーションを開発し、これらの応用事業を展開しつつ現在に至っている。 3. 事業内容 (1) 製品概要 同社グループの主力事業を一言で言えば、自社開発した「SPIRAL®」というプラットフォーム及び関連したアプリケーションソフトを、売り切りではなくレンタル方式(月額課金方式)でユーザーに提供することである。ソフトウェアの階層(レイヤー)の中で「SPIRAL®」の位置付けは、クラウド型ミドルウェアとも言える。 一般的に多くの企業は業務上のシステムなどを構築する際に、開発・運用のためのハードウェアや基本ソフトウェア(OS)、開発環境(ツール)、データベース、ミドルウェアなどを自社で購入し(または開発委託し)、それらを組み合わせてシステムが稼働するための基盤(プラットフォーム)を構築する必要があり、さらに開発後もそれらを維持する手間または保守費用も必要であった。しかし、パイプドビッツの開発した「SPIRAL®」は、開発ツールが搭載されているので各種アプリケーションを簡単に開発することができるだけでなく、データベースも内蔵しているため「SPIRAL®」に格納された顧客データなどの情報資産を各アプリケーションで共有して利用することが可能になる。また、これらのアプリケーションやデータ類を簡単に複製したりデリバリーしたりすることもできる。ここがパッケージ型ソフトと大きく異なる優位性である。 このため顧客企業は、「SPIRAL®」を利用することでアプリ開発のコストを大幅に削減すると同時に、情報の運営(利用)・管理を簡単かつ一括して行うことができる。さらに従量制の月額課金型プラットフォームであることから、コスト削減にも役立っている。「SPIRAL®」の導入企業は、大手金融機関をはじめとする著名な企業が顧客に名を連ねている。 昨今のIT業界では多くのサービスが「クラウド型」で提供されており、これらのクラウド型サービスは提供される内容によって様々な呼び方をされている。同社の「SPIRAL®」は一般的に「PaaS」(Platform as a Service)と呼ばれる分野、すなわち各種業務に利用されるアプリケーションだけでなく、それらを動かす基盤(プラットフォーム)をクラウド型で提供する分野に該当する。 (2) 主要製品の内容と価格 同社の主力製品は「SPIRAL®」というプラットフォーム環境である。これを利用する主要顧客は自社の業務用ソフトなどを社内開発する大手企業や街の中小企業向けなどに開発を行う中小SIer及びWeb制作/Web開発会社など、その業種は多岐にわたる。同社は、この「SPIRAL®」を使って特定業界やユーザー向けに同社自身でアプリケーションを開発し、これらの販売も行っている。このような主要製品はパッケージ販売(売り切り)ではなく、すべてASP型で販売されている。以下は主要製品とその月額価格(最低料金)である。 言うまでもなく同社の事業モデルでは、有効(有料)アカウント数が増えることが売上高増につながる。ただし、下記に述べる料金はあくまで基本料金あるいは最低料金であり、実際は利用するデータ量によって料金が変わる(従量制)ため、単純にアカウント数×基本料金=売上高とはならないが、売上高動向を見るうえでは有効アカウント数は重要な指標である。 a) SPIRAL® 同社の主力製品。基本となるプラットフォームでデータベース、開発環境、実行環境などを内蔵している。メール配信や、セミナー管理、アンケートフォームの作成等の用途で使われることが多いが、ほかにも多くの機能を兼ね備え、また、他者サービスとも柔軟に連携が可能であり、カスタマイズ次第で用途の幅は大きく広がる。月額25,000円(税抜き)から。 b) SPIRAL PLACE® クラウド型のグループウェアで、Webサイトの作成・更新機能を持ち、同時にSNSとも連携している。グループウェアとしてカレンダーやファイルを共用化しながら、簡単な操作でWebコンテンツの改善・更新やアクセス解析を行うことができ、FacebookやTwitterにもリンクしている。従業員を大量に抱えるチェーン店などから高い評価を得ている。基本料金は月額6,000円(税抜き)から。 c) SPIRAL EC® アパレル専用に特化したeコマースのプラットフォーム。アパレル向けECサイトの高級なブランドイメージを追求しながら、同時に更新作業手順を簡素化し、しかも低予算に抑えるといういくつかの課題を同時に解決できる点が業界から高く評価されている。利用料は流通額の5%を最大とした従量制。 d)スパイラル アフィリエイト® 広告主のアフィリエイト広告の導入や運用にかかる負担や課題を軽減するアフィリエイトASP一括管理サービス。初期費用無料など、「SPIRAL®」ユーザー限定の特典がある。 e) その他 特定の分野や業種向けのアプリケーションがある。さらに各種の専門会社と提携することで、「SPIRAL®」の利用・応用の拡大を目指している。 (3) 事業セグメント 同社では事業セグメントを、2018年2月期までは「情報資産プラットフォーム事業」「広告事業」「ソリューション事業」「社会イノベーション事業」の4つに分けていたが、2019年2月期からは大分類として「機能別事業群」「分野別事業群」「グループ共通」に分け、それぞれの事業群の中に各事業を振り分けた。 大分類は、対象とする顧客群(営業活動の対象)によって分けられている。「機能別事業群」は、クラウド等のIT基盤の活用により、CRM、販売促進、EC等の業務効率化に伸びしろが期待される企業や団体全般をターゲット顧客とした事業群であり、言い換えれば水平的(Horizontal)に営業活動を行える事業群である。「分野別事業群」は、クラウド等のIT基盤を活用した新たな情報共有モデルの実現によって、イノベーションが期待される特定の業界や分野をターゲットとした事業群、つまり垂直的(Vertical)に営業活動を行う事業群となっている。また、「グループ共通」は、それまで各事業分野に振り分けていた純粋持株会社の管理費用、グループ採用及び育成にかかる費用等を切り出したものである。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) 《YM》
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時価総額 23,059百万円
情報資産プラットフォーム「SPIRAL」をクラウドで提供する。政治・選挙情報サイト「政治山」なども運営。広告セグメントは成長。23.2期2Qは増収増益。MBO成立により、22年10月31日付けで上場廃止。 記:2022/10/30