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Jオイル Research Memo(5):強みの源泉は統合した3社にある

2019/4/2 15:35 FISCO
*15:35JST Jオイル Research Memo(5):強みの源泉は統合した3社にある ■強みの発揮 1. 強みの源泉 J-オイルミルズ<2613>の強みの源泉は、15年前に統合した3社各社が三者三様に有している。もともと味の素製油は油脂のおいしさの研究や「AJINOMOTO」ブランドによる家庭用市場での高い認知度に強みがあり、ホーネンコーポレーションは原料を使い切る取り組みや業務用市場での強固な営業基盤、吉原製油は油種のバラエティや顧客に対する課題解決力に強みがあった。統合による強みのシナジーはこれまでも期待されてきたが、統合後しばらくは効率化に主眼が置かれていたため、シナジーと言えるほど十分な強みを発揮することがなかった。このため、今、改めて三者三様の強みを掛け合わせることで相乗的な強みを発揮しようとしているところなのである。 三者三様の強みを掛け算する 2. 強みと高付加価値化とソリューション したがって同社の強みは、40%のシェアを誇る業務用商品、3社の販路継承による広範な食領域のカバー範囲、対応可能な商品カテゴリーの多さ、味の素グループの営業力、業務用ノウハウの家庭用への展開力などにある。このため例えば、カウンター周りのファストフードなどコンビニエンスストア店内にある多くのカテゴリーに関わることができ、オリーブオイルのようにスーパーマーケット内のあらゆる商品カテゴリーに関わる味の素グループを利用することができるなど、同社商品は食生活の様々なシーンで既に幅広く使用されている。こうした三者三様の強みを掛け算することで、相乗的に高付加価値な商品を創出することができるのである。 強みを掛け合わせることは商品の高付加価値化のみならず、ソリューション能力をも高めることになる。油脂やスターチ、マーガリンなど素材や商品を出身や販売先を超えて利用するとともに、調味料や酵素、粉・プレミックスなど他社の素材・商品でさえ顧客の課題解消のためには利用するという発想にもなる。加えて営業と技術が一体となってPDCAを回すため、顧客のニーズ・課題や顧客の先にいる消費者のニーズ・課題を先取って把握することも可能となる。このため同社は、単なるサプライヤーでなくパートナーとして、顧客目線に立ったソリューション事業を展開することができるのである。 高付加価値化やソリューションは少しずつ成功事例が蓄積されている。例えば、液体油脂とスターチを独自配合した油脂加工でん粉によってトンカツのサクサク感と経時耐久性を両立したり、大豆粉とレジスタントスターチを掛け算することで低糖質だが食感のあるパンを生み出したりしている。一方、重たい一斗缶から袋パックにすることによって、女性や高齢者でも調理場内で容易に油の交換をすることができるようになる。このようにおいしさばかりでなく、調理作業における課題解消に向けた商品開発も進められている。これはまさに、経時劣化防止や健康志向など顧客の求めるおいしさや機能、課題解消を、「デザイン」しているということになるだろう。 考え方を形にした複合型プレゼンテーション施設 3. おいしさデザイン工房 ちなみに、こうした開発や提案営業に欠かせないのが、2018年にオープンした複合型プレゼンテーション施設「おいしさデザイン工房」である。製菓・製パン向けのテクニカルアドバイザリーセンターの機能と、本社にあった顧客向けプレゼンテーションの機能を併せ持つ工房で、家庭料理からプロの調理まで様々な環境を再現できる設備を備え、複数のデモンストレーションやプレゼンテーションを開くことができる。今後は「おいしさデザイン工房」をベースに、培ってきたノウハウをもとに「あぶら」が持つ価値や可能性を広げ、油やスターチ、マーガリン、粉末油脂といった自社の素材や商品、他社の技術を掛け算した開発を行い、調理や健康、調味といった観点から様々な高付加価値品やソリューションを提案していく方針である。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) 《HN》
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味の素製油、ホーネンコーポレーション、吉原製油の経営統合で誕生。家庭用油脂、業務用油脂、ミールの製造・加工・販売等を行う。国内業務用食用油の販売量シェアは約4割。油脂汎用品の価格適正化などに取り組む。 記:2024/10/20