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ケネディクス Research Memo(8):2013年以降、AUMの積み上げにより業績は順調に拡大

2019/3/13 15:08 FISCO
*15:08JST ケネディクス Research Memo(8):2013年以降、AUMの積み上げにより業績は順調に拡大 ■過去の業績推移 過去の業績を振り返ると、2007年12月期に業績のピークを迎えた後、2008年のリーマン・ショックに伴う不動産市況の悪化等により、ケネディクス<4321>の業績(営業収益及び営業総利益)は下降線をたどった。特に、不動産市況の影響を大きく受ける不動産投資事業の低迷が業績の足を引っ張った。一方、アセットマネジメント事業は2008年12月期にインセンティブフィーの縮小等で一度落ち込んだものの、その後は安定的に推移しており同社の業績を下支えしてきた。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、過去の含み損を抱えた連結対象不動産の売却損(特別損失)により低迷してきたが、2015年12月期には含み損の処理が完了している。 安定収益であるアセットマネジメント事業への回帰や含み損を抱えた資産の売却により、事業の立て直しを進めてきたことに加えて、不動産市況の回復等も追い風となって、同社の業績は2013年12月期から回復に転じている。特に、しばらく停滞気味であったAUMの拡大に伴い、安定的なアセットマネジメントフィーも年々増加基調をたどっており、同社の収益構造は大きく変化をしてきた。したがって、これまでの動きを整理すると、アセットマネジメント事業への回帰によるReform(2009年から2012年)、バランスシートの再構築(含み損を抱えた過去保有物件の処分、有利子負債の削減など)を進めたTransform(2013年から2015年)を経て、2016年より「ケネディクスモデル」(不動産を自ら保有せず、安定的な収益力を追求)」の本格稼働(Perform)フェーズに入ってきたと言える。 財務面では、連結対象不動産(棚卸資産及び固定資産)の整理に伴って有利子負債残高の削減が進んできたことから、自己資本比率は改善傾向をたどってきた。なお、2014年12月期に自己資本比率が一旦低下したのは、同社ファンドビジネスの成長に向けて積極的な新規投資を行ったことにより有利子負債が増加したことが要因である。2015年12月期には、アセットマネジメント事業の拡大を目的としたREIT関連投資等を資金使途とするリファイナンスを実施し、長期化・金利固定化・無担保化により財務の安定化を図った。また、新規投資はノンリコースローンにて調達を行っており、通常のコーポレートローンは減少傾向をたどってきたことから財務の健全性は高まっていると評価できる。ノンリコースローンによる調達分を控除した修正自己資本比率は70%の高い水準で推移している。 一方、資本効率を示すROEは、親会社株主に帰属する当期純利益の低迷により不安定な動きをしてきたが、2015年12月期以降は10%を超える水準で推移している(2018年12月期は13.4%)。今後も「ケネディクスモデル」の本格稼働により、高い水準を維持しながら持続的な改善を見込んでいる。 ■ESGへの取り組み 同社は、「2兆円を超えるAUMを預かる同社グループにとって、不動産ファンドの運用を通じて環境や社会への貢献を果たしていくことは大変重要である」との考え方に基づき、ESGにも積極的に取り組む方針である。中期経営計画の基本方針の中でも、「持続的成長と社会的責任の両立に向けた経営基盤の強化」を掲げており、2018年4月にはESGへの取り組みを強化・推進するため、専任部署(コーポレート・コミュニケーション室)を立ち上げるとともに、最初のステップとしてマテリアリティ(重要課題)の設定※1とサステナビリティ方針の制定を実施した。今後は、ホームページによる開示情報の整備のほか、KPI(キー・パフォーマンス・インディケーター)の検討や新たな取り組みの推進等により、最終的にはサステナビリティレポート(統合報告書)の作成も予定している。また、もう1つのトピックスとして、2018年6月には、ESG評価に優れた企業により構成されるインデックス「MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数」※2へ新規組み入れされている。 ※1 同社グループの企業活動と社会の双方にとって重要である課題を整理し、経営層での議論を重ねた上で、取締役会で決定。5の課題と15のテーマを設定している。 ※2 世界最大級の年金基金であるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)等がESG投資に当たって採用しているインデックスの1つである。業種内でESG評価の相対的に高い銘柄約250社が組み入れられている。 ■株主還元 総還元性向(3年平均)50%以上を目標に掲げる 同社は、今後の株主還元策について、引き続き、安定的な収益である「ベース利益」に基づく継続的な配当に加えて、自己株式の取得についても、外部環境の影響が大きい「不動産投資損益」に基づき、機動的に実施することを基本方針としている。また、新中期経営計画では、総還元性向(3年平均)50%以上を目標に掲げている。 2018年12月期については、「不動産投資損益」117億円に基づき、自己株式取得を2回(合計約100億円)実施。また、期末配当についても、前期比1円増配の1株当たり7円を実施。その結果、総還元性向は93.8%に上っている。また、重要な株価指標であるEPS(1株当たり利益)についても、利益成長と自己株式取得の両方により54.11円(前期は43.70円)と大きく増加している。 2019年12月期については、安定収益基盤の確立を踏まえ、中間配当を開始するとともに、年間配当を前期比8円増配の1株当たり15円(中間7.5円、期末7.5円)へ大きく引き上げる予定である。一方、自己株式取得についても、「不動産投資損益」の状況や不動産投資の機会等を見ながら、機動的に検討する方針のようだ。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫) 《HN》
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独立系の不動産ファンド運営会社。不動産管理・運営も。20.12期はコロナ禍に伴う運営ホテルの一時休業などが痛手に。三井住友F&リースによるTOBが成立。3月19日付で上場廃止に。伊藤忠との業務提携は解消。 記:2021/03/09