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システム ディ Research Memo(6):『PPP』の拡販と、『創生』の販売で成長軌道回帰を目指す

2019/2/13 15:27 FISCO
*15:27JST システム ディ Research Memo(6):『PPP』の拡販と、『創生』の販売で成長軌道回帰を目指す ■事業部門別動向 5. 公会計ソリューション事業 公会計ソリューション事業は、地方自治体向けの新公会計システムやソリューションを提供している。総務省は地方自治体に対して企業会計原則に基づく会計制度(複式簿記に基づく発生主義会計)の導入を2018年3月末までに完了させることを求めており、これが公会計ソリューション事業を後押しする背景となっていた。システム ディ<3804>はこれに対応して公会計システム『PPP』(トリプルピー)を開発し、熟成を重ねながら売上を伸ばしてきた。 2018年10月期の売上高は、前期比22.8%(154百万円)減収の523百万円で着地した。前述のように、総務省の要求する導入期限に対応する形で2016年度下期から2017年度上期に導入した団体が多かったことの反動で、2018年10月期は前期比大幅減収となった。2018年10月末までに、同社の『PPP』は13府県・5政令指定都市・7特別区を含む全国936の地方自治体・関連公共団体・会計事務所等に導入された。 新公会計の地方自治体への導入が済んだことで、公会計ソリューション事業の成長は止まるのではと懸念する向きもあるだろうが、必ずしもそうではなく、成長軌道を回復する可能性は十分あると弊社では考えている。 まず同社の『PPP』のポジショニングを確認したい。総務省が主導した新公会計の導入対象は1,788の自治体(47都道府県と1,741の市町村(特別区含む))及び約1,595の関連公共団体だった。このうち、同社がターゲットとするのは1,788の自治体と約200の相対的に規模が大きい関連公共団体の約2,000団体だ。その市場において同社製品は2018年10月末時点で936団体に導入されており、市場シェアは約50%でトップシェアという状況だ。2番手のシェアを占める公会計ソフトは、総務省が外郭団体のJ-LISを通じて無償で配布したソフトで、このシェアが約25%とみられる。 こうした状況にあって、同社はJ-LISの無償ソフトのシェアを『PPP』でリプレイスすることで成長する戦略を描いている。その背景はJ-LISによる無償ソフトのサポートの終了だ。総務省の無償ソフトは当初の導入費用こそ無償だが、その運用サポートについては2019年4月から有償となる。また、2023年4月以降はJ-LISは無償ソフトのアップデートや改良などのサポートを停止することを発表している。同社はこれを好機として『PPP』への転換を提案していく方針だ。 公会計についてのもう1つの成長戦略は新製品の『創生』の拡販だ。そもそも総務省が複式簿記による新公会計制度の導入を進めた背景には、地方自治体の財政再建を促す狙いがある。財政面の実情を複式簿記会計によってしっかりと把握した上で、財政再建策を策定・実行していくという流れのなかでの第1歩が実情の正確な把握のための新公会計制度の導入ということだ。無償ソフトはあくまで財務諸表作成のためのものであってそれ以上の機能はない。同社が2018年6月にリリースした『創生』は、公会計活用システムで、言わば財務諸表分析に特化したソフトと言える。経営計画シミュレーションや財務分析を行い、住民参加による財政計画の策定、管理を行うことができる点に特長がある。『創生』の導入実績は2018年10月期の時点ではまだないが、2019年10月期以降、徐々に導入が進んでいくと期待される。 既存顧客の深耕によりクラウドサービスや保守・サポート収入の拡大し、増収を確保 6. 薬局ソリューション事業 薬局ソリューション事業は連結子会社のシンクが手掛ける事業で、小規模の独立系調剤薬局に対してレセプトコンピュータ(レセコン)の『GOHL2』などを提供している。2015年10月期には新製品の医薬品過誤防止システム「GOHL PICKING」をリリースした。 2018年10月期の売上高は前期比1.9%(1百万円)増の79百万円となった。2018年10月末の導入店舗数は1,225店舗で、2017年10月末の1,222店舗から微増にとどまっているが、長期的に漸増傾向が続いている。そうしたなか、既存ユーザーの深耕で各種クラウドサービスや保守・サポート収入が増加し、増収を達成した。 同社の薬局ソリューション事業は、個人経営の小規模薬局が主な対象で、地域的には大阪を中心とした関西圏での展開となっている。大手薬局チェーンは自社でシステム開発を行っており、将来的にも薬局ソリューション事業は小規模事業者を対象とした事業展開が続くと予想される。 調剤薬局業界は、大手チェーンと個人経営の小規模薬局とに大きく二分された業界だ。また、国(厚生労働省)が医療制度改革の一環として“患者のための薬局ビジョン”を掲げており、あるべき薬局像の確立や業界構造の変革を急ぐ状況下にある。こうしたなか、同社の潜在顧客である個人・小規模薬局においては業務効率化や経営改善に寄与できるソフトウェアやサービスへの需要がこれまで以上に高まってくる可能性がある。同社の製品ラインナップにはレセコンのほか服薬情報一元管理ができる『薬歴情報電子ファイル』など、個人・小規模薬局の経営効率改善に寄与できるソフトウェアがそろっており、これらの拡販で成長を目指す方針だ。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之) 《HN》
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