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シャノン Research Memo(6):2021年10月の営業利益率10%超を目標とする

2019/1/24 15:26 FISCO
*15:26JST シャノン Research Memo(6):2021年10月の営業利益率10%超を目標とする ■今後の見通し 2. 中長期目標 (1) 中期目標 シャノン<3976>では中期的な経営数値目標として、営業利益率で2020年10月期に6%前後、2021年10月期に10%超の水準を目標として掲げている。基本戦略として、MAサービスにおけるサブスクリプション売上を積み上げていくと同時に、EMサービスの拡大を図ることによって目標の達成を目指す考えだ。特に、サブスクリプション売上については2020年10月期に10億円超、2021年10月期に12億円超の売上を目指しており、MAサービスに占めるサブスクリプション売上の構成比も2018年10月期の60%から65%を超える水準まで上昇する想定となっている。 現状、大規模案件やEMサービスの黒字でカバーする収益構造となっているが、2020年10月期には、年間のサブスクリプション売上が10億円を突破し、MAサービスに占めるサブスクリプション売上の割合も65%を超えていく見通しで、会社全体の収益性も大幅に向上していくだろう。このため、MAサービスにおける新規契約アカウント数が今後どの程度拡大していくかが、業績面での重要なポイントとなってくる。計画どおりに進捗すれば、2021年10月期の営業利益は数億円程度まで拡大することが予想される。 また、成長戦略の進捗状況については以下のとおりとなる。 a) マーケティングオートメーション市場への積極投資 同社は国内におけるMAツール開発の先駆者として、今後も技術開発力を強みとして、競合他社との差別化を図っていく方針。機能面では、外資系競合大手と比較して遜色ない水準となっているだけでなく、日系企業特有のニーズに合わせた機能・サービスの提供により、差別化を図っている。 具体的な取り組みとして、2018年5月に「シャノンマーケティングプラットフォーム」に実装している名刺管理機能「シャノン名刺」のモバイル・アプリケーションをリリースした。顧客からの要望で開発したもので、営業担当が日々の業務で収集する名刺を同アプリで読み込み、「シャノンマーケティングプラットフォーム」と連携することで、リードの増加、営業履歴のマーケティング活用、マーケティング履歴の営業活用が可能となる。結果的に、商談数の増加に結び付けていく効果が期待されている。利用料金は月額500円/ID+従量課金となり、競合大手のサービスと比較して割安な水準で設定しており、新規顧客だけでなく既存顧客への拡販を進めている。また、サイボウズ<4776>の業務アプリ作成ツールである「kintone」との連携強化やSSO(シングルサインオン)にも対応するなど利便性の向上も図っている。 MA市場においてグローバルで先行してきた外資系競合大手と比較して遜色ない水準となっているものと考えられるが、今後も日本の商習慣に合った機能の強化やインフラ強化を進め、更なる成長に向けた基盤の構築を図っていく方針となっている。 b) イベントマーケティングへの投資 前述したように、イベントマーケティングの拡大のための新たな製品投資を進めており、中期的に事業拡大していく方針となっている。既存の開発リソースの一部をイベントマーケティングのシステム開発に振り向ける予定である。ただし会社全体での開発費は2018年10月期とほぼ同水準となる見通しだ。 c) パートナー戦略の推進(販売・導入・連携) 同社ではMAサービスの成長に向けた販売戦略として、2017年6月より新パートナープログラム制度を導入、販売提携の内容別に、販売パートナーである「リセールパートナー」「リファラルパートナー」、導入支援パートナーである「導入コンサルティングパートナー」、製品連携をする「コネクトパートナー」などに区分し、ネットワークの拡充を進めている。販売パートナーの増加と初動の顧客獲得については実現しており、今後は受注拡大と導入コンサルティングパートナー並びにスペシャリストの拡充を進めていく方針となっている。 d) ソリューション新領域の拡大(広告、EC) 広告、EC業界でのソリューション展開を進めていく計画となっている。これら業界はMAサービスとの親和性が高いものの、本格的にMAツールを活用している企業は一部にとどまっており、潜在的な成長ポテンシャルは大きいと同社では見ている。広告分野では、インターネット広告の効果測定技術と同社製品を融合することで、マーケティング施策の費用対効果をさらに向上する新サービスを開発中で、アドテクノロジー企業との業務提携も視野に入れている。また、EC分野では年商100億円以下のEC事業者をターゲットに、EC分野に最適化したサービスの開発を進めている。 e) AI技術を活用した新サービスの展開 同社は、AI技術を活用したマーケティング課題解決型サービスの研究開発に取り組んでいる。具体的には、マーケティング課題についてのデータを「見える化」して、どのような施策を行えばマーケティングの効果が向上するのか、従来はコンサルタントが改善提案していた業務をAI技術によってモニターに自動的に表示し、課題解決に導くサービスを想定している。これはまだ開発段階にあり、製品の投入時期については未定となっているが、将来的にはMAツールにもAI技術が導入されるのは間違いないため、今からその準備を進めている。 f) グローバル市場へのチャレンジ 東南アジア市場を中心にEMサービスを切り口としてサービス展開していくことを目指している。ただ、当面は国内での事業基盤を固めることを最優先課題としているため、海外進出に関しては国内の事業が成長軌道に乗ってからとなりそうだ。 (2) 長期目標 同社は将来目標として売上高100億円超を目指しており、現在はその中間段階となる50億円の達成に向けた成長基盤の構築と新たな収益柱となる新規事業(広告・EC領域でのソリューションサービス等)の種まきをする期間と位置付けている。これら新規事業が育ち、さらにAIやビッグデータを活用したソリューションサービス、産業特化型のサービス、M&A戦略等によって売上高50億円を目指していくことになる。 MAサービス市場は年率20%成長が見込める高成長市場 3. 統合型マーケティング支援市場の見通し 調査会社の(株)アイ・ティ・アールの資料(ITR Market View:SFA/統合型マーケティング支援市場2018)によれば、統合型マーケティング支援市場の2016年度の国内市場規模は、前年度比60.7%増の107.7億円と大幅成長となった。2017年度(予測)も同50.4%増となり、2021年度に向けて年率20.2%の成長が予測されている。2014年以降、セールスフォース・ドットコム<CRM>やマルケト<MKTO>といった外資系企業が日本で営業活動を開始したことにより、MAツールの認知度が向上したこと、並びに国内でもMAツールを開発する企業が増え、顧客の裾野も大企業から中堅・中小企業へと広がりを見せ始めたことが高成長の要因となっている。また顧客側から見れば、インターネットやSNSの普及により顧客属性に応じたデジタルマーケティング施策の重要性が高まるなかで、マーケティング業務をオートメーション化し費用対効果を向上したいというニーズが高まってきたことが背景にある。とはいえ、まだMAツールを導入している企業数は2,000~3,000社と全企業の1割にも満たない※と言われており、今後も機能進化や操作性の向上が進むことで、一段の普及拡大が見込まれている。 ※Nexal(株)が2017年5月に実施した調査によれば、国内企業のMAツール導入率は0.5%、上場企業だけに限ってみても4.3%という結果だった(http://nexal.jp/blogs/2017f1-ma-survey.html)。 こうした高成長市場において、同社は統合型マーケティング支援市場のベンダー別売上金額及びシェアで2010年度以降7期連続トップを走ってきた。BtoB市場においては、依然トップシェアを確保しているようだ。今後については、導入が広がり始めている中堅企業の顧客開拓がどの程度進むかが重要なカギを握ると見られる。競合も従来の外資系企業に加えて、SATORI(株)など日系企業も台頭してきており、顧客獲得競争の激化が予想される。とはいえ、市場は年率20%成長が続く見通しであり、同社においても製品競争力や販売力を維持向上させていくことができれば、業界平均並みの成長率で事業を拡大していく可能性はある。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《HN》
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