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シュッピン Research Memo(7):交換レンズを巡る一時的要因で通期見通しを下方修正。過度な懸念は不要と考える

2019/1/17 15:57 FISCO
*15:57JST シュッピン Research Memo(7):交換レンズを巡る一時的要因で通期見通しを下方修正。過度な懸念は不要と考える ■今後の見通し 2019年3月期通期についてシュッピン<3179>は、2019年1月8日に業績見通しの下方修正を発表した。新しい業績予想は、売上高34,586百万円(前期比11.9%増)、営業利益1,410百万円(同8.3%減)、経常利益1,400百万円(同8.0%減)、当期純利益955百万円(同11.4%)で、増収増益予想から一転し、減益予想となっている。 下方修正の理由について同社は、新品カメラの販売不振を主因に挙げている。前述のように、2019年3月期第2四半期決算では主力のカメラ事業は計画を下回った。これは10月−11月の新型機の発売を控えて買い控えが発生したことが主な要因だ。新型機は逐次予定通り発売されており、11月下旬ですべて出そろった。これを受けて同社は、今下期には第2四半期の遅れを取り戻して通期ベースでは期初予想を達成できると見込んだ。しかしながら、新型のフルサイズミラーレスカメラ用の交換レンズが十分に出揃っていないことから新型モデルへの買い替えが想定ほどには加速せず、売上高の下方修正に至った。 今回の下方修正については弊社は、想定の範囲内のことであり、過度な懸念は不要だと考えている。まず、同社の下方修正リリースで明確に述べられているように、時計事業とカメラ事業のなかの中古カメラの販売は今第2四半期に引き続き、順調な状況が続いている。この点は、同社の事業モデルや競争環境などには変化はなないことを示唆していると言えよう。 見込み違いだったのは新品カメラの販売動向だが、この点は弊社にとっては想定の範囲内だ。今回の新型フルサイズミラーレスの発売が発表された際リスク要因として浮上したことが、ニコン、キヤノンの両社がレンズのマウントの規格を既存の一眼レフカメラから変更したことだ。これは、例えばニコンの一眼レフカメラのユーザーがニコンの新型フルサイズミラーレス機を購入しても、手持ちのレンズをそのままでは使用できないことを意味する。マウントアダプタを介することで利用可能とはなるが、新型ミラーレス機に対する“純正”レンズではないため、機能に制約が出る可能性を懸念して、ユーザーが購入に及び腰になるリスクがある。今回はこの懸念が現実化したということだ。この点はカメラの専門家である同社自身が誰も強く認識していたはずだが、一方で新型機の高性能やミラーレス化による小型・軽量化などが評価されることで従来と同じペースで買い替えが進むと判断したことが結果的に見込み違いとなって現れたとものと思われる。 しかしながら、フルサイズミラーレスへの買い替えは、今後徐々に進む可能性が高いと弊社ではみている。カメラ愛好家の各種サイトや口コミ情報などを見ていると、マウントアダプタを介して既存レンズを使用しても機能の制約がないことや期待意通りの性能を発揮していることが日々拡散している状況だ。また、ミラーレス化による小型・軽量化については誰にでも実感できる効果として全面的に高い評価を獲得している状況にある。今回の下方修正の主因は、第2四半期(7-9月期)に見られた買い控えが想定よりも長期化したという、いわば“時間の問題であって構造的な問題ではない”ことが、弊社が過度な懸念は不要と考える理由だ。 利益面では、営業利益が期初予想から23.5%(432百万円)引き下げられ、前期比8.2%(126百万円)の減益予想に修正された。この理由については、前述の新品カメラの販売不振とそれをカバーすべく買替えの促進、セールの実施等による中古カメラの買取・販売を強化したこと、優待チケット・ポイント還元等の販促施策強化による費用増加がマージンを圧迫したことが要因だ。こうした構図も今第2四半期決算と同様であり、同社の事業モデルや競争力に変化が生じたものではない。今回、前期比減益予想に転じたことはそれなりのネガティブサプライズをもたらしたことは間違いないが、先行投資的費用の増加などの一時的要因による減益は過去にも経験していることだ。同社の2018年3月期決算が前期比40.1%増と大きく伸びて2019年3月期の増益のハードルが高くなっていたことも減益の大きな要因だったと考えている。 業績下方修正はあったものの、ポジティブに評価できるポイントは多数残されている。一つは増収基調を依然として維持していることだ。また、その内容として時計事業の順調な拡大が継続しておりカメラ事業に続く2本目の事業の柱が着実に太くなりつつあるのは心強い。12月の月次売上開示を見ると新規会員数は+4,251人となっており前年同月を上回っている。この点は同社が進めるマーケティング施策が順調に機能していることを示唆していると弊社では考えている。利益に関して、今通期の営業利益率が4.1%と4%台を確保している点も、同社の低コスト構造と時機に適ったコストコントロール力の高さが維持されていることを示すものと考えている。 現在同社が直面する問題点は非常にはっきりしている。その問題点である新品カメラの買い替えが具体的にいつから加速するのかを予想するのは難しいが、いずれにしても時間が解決する問題であると考えられる。同社としても新品カメラが売れ始めれば、中古カメラの過度の仕入れが不要となり、またPhase4.0の推進により改善が図れるとしており、弊社の見解と一致している。今後の推移を見守りたいと考えている。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之) 《HN》
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