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サン電子 Research Memo(4):上期業績は減収ながら大幅な損益改善を実現

2018/12/21 16:28 FISCO
*16:28JST サン電子 Research Memo(4):上期業績は減収ながら大幅な損益改善を実現 ■決算動向 1. 2019年3月期上期決算の概要 サン電子<6736>の2019年3月期上期の業績は、売上高が前年同期比3.5%減の12,194百万円、営業損失が184百万円(前年同期は738百万円の損失)、経常損失が224百万円(同763百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純利益が392百万円(同607百万円の損失)と減収ながら大幅な損益改善により、営業損失が縮小した。また、期初予想(レンジ形式)に対しても、売上高、各利益ともにレンジ上限値を上回る進捗となっている。 世界各地で需要が伸びているモバイルデータソリューション(DI)が計画を上回るペースで大きく拡大している。ただ、売上高全体が減収となったのは、規則改正※の影響や前期好調であった遊技機部品販売の減少によりエンターテインメント関連が落ち込んだことが理由である。また、新規IT関連(M2M等)やその他(ゲームコンテンツ)についても低調であった。 ※2017年9月4日に公布(施行は2018年2月1日より)された「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則及び遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則の一部を改正する規則」への対応等の影響から業界全体は厳しい状況が続いている。 損益面では、利益率の高いモバイルデータソリューションの伸びに伴って原価率が大きく改善。一方、販管費も研究開発費などにより増加したものの、原価率の改善効果(売上総利益の増加)により吸収し、営業損失が縮小した。また、営業外費用として、持分法による投資損失148百万円(前年同期は115百万円の損失)※を計上している。 ※すべてInfinity ARにかかるもの。 なお、親会社株主に帰属する四半期純利益が大きく改善(黒字転換)しているのは、モバイルデータソリューションにおけるMLCの事業譲渡に伴う譲渡益742百万円(特別利益)によるものである。 財務面では、総資産が前期末比0.8%減の25,653百万円に僅かに減少した一方、自己資本も配当金支払い等により同6.6%減の10,228百万円に減少したことから、自己資本比率は39.9%(前期末は42.3%)に若干低下した。 2. 事業別の業績 (1) モバイルデータソリューション事業 売上高が前年同期比36.2%増の9,216百万円、セグメント利益が868百万円(前年同期は346百万円の損失)と計画を上回る大幅な増収増益により、黒字転換を実現した。MLCの事業譲渡(第1四半期末)が減収要因となったものの、世界各地で需要が伸びているDIが大きく拡大。特に、欧州圏、APAC(アジア太平洋)での販売の伸びが大きかった。また、為替相場の影響※やMLCの一部製品の売却も上乗せ要因となったようだ。損益面でも、積極的な研究開発費の投入等により販管費が増加したものの、増収効果により大幅な増益を実現し、セグメント利益に転じた。 ※海外子会社にかかる換算レートは110.54円(期初想定レートは105.00円)。 (2) エンターテインメント関連事業 売上高が前年同期比53.5%減の2,333百万円、セグメント損失が88百万円(前年同期は510百万円の利益)と大きく落ち込んだ。厳しい事業環境を踏まえ、もともと減収減益を見込んでいたが、それをさらに下回る進捗となっている。特に、規則改正の影響や前期好調であった遊技機部品の販売が低調に推移したことが業績の足を引っ張った。 (3) 新規IT関連事業 売上高が前年同期比26.0%減の450百万円、セグメント損失が480百万円(前年同期は465百万円の損失)と減収減益となり、損失が若干拡大した。売上高の大部分を占めるM2M事業については、市場は拡大傾向にあるものの、通信機器(Rooster)の販売が計画を下振れた。特に、今後の切り札として期待される「おくだけセンサーソリューション」の販売遅延も影響したようだ。また、AR関連については、第4四半期からの正式販売に向けた販促・マーケティング・研究開発の継続により損失は横ばいで推移した。一方、O2Oソリューションは、テイクアウト予約決済アプリ「iToGoプラットフォーム」が好調に推移※。ただ、単価が小さく、売上貢献はまだ限定的である上、販促・研究開発の強化により損失は微増となった。 ※導入店舗数は、第1四半期末から20店舗以上増え、270店舗を超えた。 (4) その他 売上高が前年同期比21.4%減の193百万円、セグメント損失が87百万円(前年同期は29百万円の損失)と減収減益となり、損失が拡大した。スマートフォン向けのゲームコンテンツの販売が低調に推移するとともに、VRゲームコンテンツ等の開発費の増加により損失が拡大した。なお、VRゲームコンテンツ「DARK ECLIPSE」については、SIEE※1の2ndパーティータイトルとして欧州圏、自社ブランドとして米国から順次リリース済であるが、Free to Play※2であるため、まだ本格的な業績貢献には至っていないようだ。 ※1 ソニー・インタラクティブエンタテインメントヨーロッパ。 ※2 ユーザーはゲームに無料で参加することができるが、追加コンテンツを獲得するためにはフィーを支払う必要がある収益モデル(アイテム課金)である。したがって、収益化を実現するためにはゲームの運営力を高めていく必要がある。 3. 主な取り組み(新製品・サービスの開発) 上期については、新製品・サービスの開発に注力する期間として取り組んできたが、各事業において以下のような成果を残すことができた。 (1) モバイルデータソリューション事業 MLCを事業譲渡した一方、成長性の高いDIに経営資源を集中することにより、更なる技術差別化の強化や事業領域の拡大に取り組んだ。特に、ソフトウェアの面で新たな機能や能力を追加し、データ抽出能力及び裁判証拠能力の強化を図っている。今後も、従来の事業領域(データの抽出等)から、新たな事業領域(データ分析やデータ管理)※へ拡充することにより、競争力の構築を目指す。 ※具体的には、AIや機械学習の活用(データ分析)、管理システムによる情報共有の実現(データ管理)など。 (2) 新規IT関連事業 M2M事業については、販売遅延となっていた「おくだけセンサー」が、いよいよ2018年11月27日より販売を開始。汎用性や手軽さに優れた小型センサーの導入推進により取引拡大を目指す。また、AR関連についても、2018年9月より「AceReal DK」の限定販売を開始するとともに、第4四半期に予定している正式販売に向けて準備を進めている。一方、O2Oソリューションについては、好調なテイクアウト予約決済アプリ「iToGoプラットフォーム」の機能追加やシステム連携の開発などにより、飲食店の店舗効率化に向けたシステム強化(トッピング等にも対応)を図った。 (3) その他 2018年9月25日より欧米にて配信を開始したVRゲームコンテンツ「DARK ECLIPSE」についても、まだ投資期間と位置付けており、プレイヤーの意見や特性などを確認しながら、早期収益化に向けて運営面での強化を図っている。 以上から、上期の実績を振り返ると、1)厳しい事業環境が続いているエンターテインメント関連が下振れたこと、2)新規IT関連(M2M等)についても低調に推移したことがマイナス要因となった一方、3)世界各地で需要が伸びているモバイルデータソリューション(DI)の拡大が大きなプラス要因となったことから、業績面では計画を上回る進捗となった。また、新製品・サービスの開発についても、今後の事業拡大に向けて一定の成果を残したと評価できる。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫) 《SF》
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パチンコ・パチスロ機の企画・開発・製造等を行うエンターテインメント関連事業が主力。モバイルデータトランスファー機器、IoT/M2M向けルータ等も。遊技機ビジネスでは開発タイトル数の拡大などに注力。 記:2024/08/10