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Jストリーム Research Memo(6):OTTとEVC、2軸の機能とサービスをバージョンアップ

2018/12/12 15:06 FISCO
*15:06JST Jストリーム Research Memo(6):OTTとEVC、2軸の機能とサービスをバージョンアップ ■Jストリーム<4308>の事業戦略 1. コモディティ化する動画配信 Wi-Fi環境の充実や今後予定される第5世代移動通信システムの普及など屋内外での動画視聴の環境の整備が進んでおり、スマートフォンなど動画視聴ができるデバイスを多くの人が個人で常時携帯するようになった。テレビから離れた若者は好みのタイミングで様々なデバイスからネット動画を視聴する。SNSや社内ポータルなどの利用が増加し、それがさらに動画配信の環境を充実させることになる。また、動画利用コストの低下と動画利用効果の拡大が、動画の利用拡大に拍車をかけている。このように、動画のコモディティ化により動画利用シーンが急拡大するなど、動画配信の市場は現在、大きく変化している。このため、動画配信市場では今後、放送とOTT※1の再編や利用シーンにマッチした用途特化型サービスの台頭が予測されている。放送とOTTの再編では、NHKが2019年にIPサイマル放送のサービス開始を目指すなどIPサイマル放送※2が盛り上がりを見せる一方で、Netflix(ネットフリックス<NFLX>)やAmazonプライムビデオなどOTT業者の動画配信サービスへの参入により衛星放送やCATVが苦戦、コンテンツホルダーが衛生放送・CATV離れを加速している。 ※1 OTT(Over The Top):インターネット回線を通じて音声・動画コンテンツなどを提供する、ネットフリックスやアマゾン・ドット・コムなど通信事業者以外の企業やプラットフォーム、サービスのこと。 ※2 IPサイマル放送:サイマル配信とも言い、1つの放送局が同じ時間帯に同じコンテンツを、異なるチャンネル(周波数)や放送方式、放送媒体で放送すること。特に、放送(テレビ、ラジオ)と同じものを通信(インターネット)で同時配信することを指すことが多い。 一方、用途特化型サービスの台頭は、企業のeラーニングやWeb会議、統合型マーケティングなどにおいて、トレーニングや社内コミュニケーション、販売促進などに用途を絞ることでより高い効果を狙うBtoBの動画ニーズへの対応を指す。 こうした環境変化は同社にとってビジネスチャンスである。同社は、機能とサービスの提供方法を環境変化に合わせてバージョンアップし続けている。従来、汎用プロダクトと付帯サービスを単に顧客に提供してきただけだったが、プロダクトの機能を共通プラットフォーム化し、OTTとEVCを2軸に顧客の用途に合わせて機能とサービスを提供していく考えで、今後は最先端の動画ソリューション提供会社としての色が強まるだろう。具体的には、メディアに対しては、IPサイマル放送への対応とコンテンツのインターネット配信にフォーカスしたサービスを提供し、一般企業に対しては、引き続き医薬と金融を重点に営業戦略を展開するとともに、トレーニングや社内コミュニケーション、販売促進など利用シーンにマッチした用途特化型サービスを提供していく考えである。 メディア向けにはコンテンツホルダーのOTT化を支援 2. メディアに対する事業戦略 スマートフォンの普及などにより、NTTドコモ<9437>など通信事業者による動画配信サービスが既に拡大しているが、次世代インターネット環境が整備されつつあるなか、OTTを利用して様々なコンテンツホルダーによる配信が広がっていくことが予測されている。そこで注目されるのが、キー局や地方局など通信事業者以外のコンテンツホルダーの動向である。OTTでは継続的な開発やシステム運用が必要になるため、すべてのコンテンツホルダーが配信サービスを構築できるわけではなく、コンテンツホルダーは現状、影響力の大きいAmazonプライムビデオやNetflixなどを利用している。しかし、プラットフォームをそうした企業に依存していては、コンテンツホルダーとして効率的・効果的な戦略が取れず、同業との差別化もできないため、独自のコンテンツ配信サービス(IPサイマル放送)を構築する必要に迫られる。キー局や地方メディアといったコンテンツホルダーのこうしたニーズに対して、広告展開などコンテンツビジネスの収益化を図り、セキュリティや運用などの問題を取り除くことで、彼ら自身のオウンドメディア※1のごとくOTTを利用できるサービスを、同社は展開することができる。このため同社は、IPサイマル放送需要をグループ全体で取り込むべく、24時間365日体制やマルチCDN Cedexis導入など制作・開発・サービス体制を整備しているところである。また、スキニーバンドル※2やOTTビジネス需要に対して、サービスをパッケージ化した対応も進めている。さらに、IPサイマル放送向けのサービス基盤を提供するサービス事業者でもある子会社イノコスのリソースを利用し、地方局においてマイナースポーツなどで実績を蓄積していく方針である。 ※1 オウンドメディア:広報誌やパンフレット、Webサイト、SNSなど企業自らが所有し、消費者などに向けて発信するための媒体。 ※2 スキニーバンドル:通常のCATVなどに比べて限定されたチャンネルを低価格で提供するサービス。CATVの低料金プランの意味にも、同様のストリーミングサービスの意味にも使われる言葉。 一般企業向けはEVCと定義し動画活用をサポート 3.一般企業に対する事業戦略 同社は一般企業の動画配信ニーズに対して、制作から配信までのワンストップサービスやセキュリティ対応、現場対応力などの強みを持つ。既に販売促進用途にWebサイトや各種コンテンツの制作~配信を一括して行っており、トップメッセージの共有や研修など社内コミュニケーションに使われる事例も増加している。欧米では企業の社内外向けの動画活用が一般化しているが、今後日本でも大企業を中心に、顧客や株主、従業員などステークホルダーとの円滑で効率的なコミュニケーションを図るため、より一層動画を活用する機会が増えていくことが予想される。また、5GやIoT、VRなど次世代のインターネット環境が整備されつつあり、更なる大容量動画に対するニーズの拡大も予測されている。加えて、社内コミュニケーションにおける動画活用は、コスト削減や効果の可視化、同報性といったメリットも大きいため、利用機会はますます増えていくだろう。 このため同社は、EVC(Enterprise Video Communications)という概念を用い、一般企業が社内コミュニケーション向上の為に実施する動画活用をサポートする考えである。具体的には、同社の「J-Stream Equipmedia」や「J-Stream MediaLize」に、自社でのコンテンツ制作やウェビナー※機能など、企業担当者が手軽に扱える新機能を実装する一方、大口顧客による社内コミュニケーションの活性化ニーズに対しては、企業向けCDNサービス「Kollective SD ECDN」を提供していく。また、顧客別では、医薬関連でWeb講演会をさらに拡販するとともに各専門医学会への普及展開を図り、双方向配信や4Kなどの新たなニーズを開拓していく。金融向けにはPR用コンテンツ制作や社内利用動画、代理店向けの教育・情報発信などのサービス充実を訴求する。 ※ウェビナー:ウェブ(Web)とセミナー(Seminar)を組み合わせた造語。Webセミナーやオンラインセミナーとも呼ばれる、インターネット上で行われるセミナーのこと。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) 《MH》
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NTTグループの中核を担う国内最大の携帯キャリア。金融・決済など非通信領域の強化に力注ぐ。21.3期1Qはコロナ禍で国際ローミング急減。だが非通信領域の拡大などで補う。通期では利益反発・連続増配を見込む。 記:2020/09/03