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アジア投資 Research Memo(1):上期業績は減収減益となるも、おおむね想定どおり。4期連続の黒字決算を見込む

2018/12/7 15:01 FISCO
*15:01JST アジア投資 Research Memo(1):上期業績は減収減益となるも、おおむね想定どおり。4期連続の黒字決算を見込む ■要約 日本アジア投資<8518>は、日本とアジアにまたがる独立系の総合投資会社として、プライベートエクイティ投資(以下、PE投資)や再生可能エネルギー事業等のプロジェクト投資を手掛けている。1981年に(公社)経済同友会を母体として設立され、豊富な投資経験とブランド、ネットワーク、人材、事業パートナーなどの事業基盤に強みがある。革新的な技術やビジネスモデルを持ち、高い成長力を有するベンチャー企業及び中堅・中小企業等への投資や成長支援を通じて、日本とアジアの両地域における産業活性化や経済連携の拡大などに貢献をしてきた。同社グループが管理運用等を行っているファンド運用残高は17,329百万円(11ファンド)、同社グループの自己資金及び運用ファンドによる投資残高は13,485百万円となっている(2018年9月末現在)。ただ、主力のPE投資事業については、VC業界を取り巻く環境が変化するなかで、新たなファンド設立に苦戦しており、ファンド運用残高の縮小とともに、投資残高も減少傾向にある。 同社は、2019年3月期より2021年3月期を最終年度とする新たな中期経営計画をスタート。環境変化への対応や課題解決に向けて、投資方針(本体投資分)の抜本的な見直しを行い、収益拡大に向けた足掛かりを築く内容となっている。特に、ファンドでの投資は、現状のファンドの投資方針を継続する一方、本体投資は、取り組むべき事業テーマを明確に持ち、そのテーマを軸に「企業への投資」(PE投資)と「事業への投資」(プロジェクト投資)を組み合わせる戦略的投資を推進する方針である。すなわち、今後は事業テーマに基づくプロジェクト投資(再生可能エネルギーのほか、スマートアグリやヘルスケア)の積み上げにより、安定収益の確保と財務バランスの強化を図るとともに、PE投資(本体投資分)についても、事業テーマに関連するパートナー企業への戦略投資にシフトする方向性と言える。 2019年3月期上期の業績(ファンド連結基準)※は、営業収益が前年同期比76.5%減の1,189百万円、営業損失が390百万円(前年同期は582百万円の利益)と、前年同期における大型プロジェクト売却の反動により大幅な減収減益(営業損失の計上)となった。 ※同社は2007年3月期より、「投資事業組合に対する支配力基準及び影響力基準の適用に関する実務上の取扱い」を適用し、同社グループが管理運用する投資事業組合等を連結範囲に加えるファンド連結基準に移行している。ただ、ファンド連結基準は同社以外の外部出資者の持分が含まれていることやファンドごとの財務方針が反映されるところに注意する必要がある。同社では、投資家からの要望に応じて従来連結基準も同時に開示しているが、弊社でも、より実態を示しているとの判断から従来連結基準による分析を行っている。 従来連結基準でも、営業収益が前年同期比71.9%減の716百万円、営業損失が465百万円(前年同期は714百万円の利益)と大きく落ち込んだ。ただ、第4四半期に株式売却益が集中する計画となっていることから、おおむね想定どおりの進捗となっていることに注意が必要である。上期業績が大きく後退したのは、前年同期における大型プロジェクト(メガソーラープロジェクト)の売却や補助金収入の反動減によるものである。また、PE投資事業についても、海外投資先に対する評価損・引当金が利益を圧迫。ただ、おおむね想定どおりの進捗となっていることに加え、活動面についてもメガソーラー以外の再生可能エネルギープロジェクト(バイオガス等)への投資実行や野菜工場への取り組みなどにおいて一定の成果を残すことができた。 同社は、業績予想(ファンド連結基準)について、株式市場等の変動要因による影響が極めて大きく、合理的な業績予想が困難である事業特性であることから公表を行っていない。ただ、2019年3月期については、ある一定の前提を元に策定した「従来連結基準による見込値」を参考情報として開示している。 同社の「従来連結基準による見込値」によれば、営業収益を前期比36.2%減の3,450百万円、営業利益を同31.2%減の700百万円と減収減益ながら4期連続の最終黒字を見込んでおり、期初の見込値からの変更はない。減収減益となるのは、2018年3月期業績に大きく貢献したメガソーラープロジェクトの売却が一巡するためである。すなわち、中期経営計画に示すとおり、プロジェクト資産は積み上げ優先(限定的な売却のみ)で取り組む一方、PE投資資産の売却により4期連続の黒字を達成する前提である。 弊社でも、前提条件に合理性があることから、同社の見込値の達成は十分に可能であると判断している。最大の注目点は、企画中となっている2つのファンド設立の動きやプロジェクト資産の積み上げに向けた新たなドライバーの育成にある。特に、メガソーラー以外の再生可能エネルギー投資のほか、その他のプロジェクト投資事業(スマートアグリやヘルスケア)への具体的な取り組みやポテンシャルの大きさについても引き続きフォローしていきたい。 ■Key Points ・2019年3月期上期の業績は、前年同期における大型プロジェクト売却の反動により営業損失を計上するも、おおむね想定どおりの進捗。 ・2019年3月期の業績見込み値について期初からの変更はない。第4四半期での株式売却益により4期連続の最終黒字を見込む。 ・今後の収益拡大に向けて、新たな中期経営計画がスタート。事業テーマに基づく戦略PE投資への入れ替えやプロジェクト投資資産の積み上げにより財務基盤の強化を図る方針。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫) 《SF》
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独立系総合投資会社。プライベートエクイティ投資、再生可能エネルギー等のプロジェクト投資を手掛ける。豊富な投資経験などが強み。ジーエヌアイグループと業務提携。中計では27.3期営業利益12.5億円目標。 記:2024/10/07