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IRJーHD Research Memo(9):取締役会評価、独立社外役員紹介事業、投資銀行業務が更なる成長へ

2018/11/30 15:39 FISCO
*15:39JST IRJーHD Research Memo(9):取締役会評価、独立社外役員紹介事業、投資銀行業務が更なる成長へ ■アイ・アールジャパンホールディングス<6035>の新しい事業への取り組み 1. 取締役会評価 同社グループは、資本市場にかかる顧客からの要望に応えるため、時代とともに新しい事業を展開している。2017年3月期に成長した分野は取締役会評価である。取締役会評価の事業は、2015年よりコーポレートガバナンス・コードにおける「取締役会は、毎年、各取締役の自己評価なども参考にしつつ、取締役会全体の実効性について分析・評価を行い、その結果の概要を開示すべきである」という規定を受け、同社グループが、個別企業の状況、ニーズに合わせ、オーダーメイドの取締役会評価コンサルティングを始めた。 日本企業における取締役会実効性評価の支援実績としては、同社グループは、第三者関与評価、第三者評価企業のシェアはかなり高い。今までは、上場企業は自社で行っていることが多かったが、企業のニーズに、評価項目検討のアドバイスが欲しい、機関投資家の関心の高い項目を盛り込みたい、匿名で行うので第三者機関が集計・分析をしてほしい、他社との比較をしてほしい、客観的な立場で改善点を提案してほしい、取締役会評価実施後の評価結果の開示方法や、機関投資家との対話方法などについてアドバイスが欲しい、という要望があり当事業は拡大している。同社グループとしては、この事業を行うことにより企業に深く入り込み、新たな企業ニーズを取り込むことができるとしている。 具体的な評価方法には、アンケート形式と、インタビュー形式がある。最近はインタビュー形式を選択する顧客も増えている。それは、本音を引き出し、実効的な改善に取り組みたいと考えているからだ。評価のステップとして、1)コーポレートガバナンス・コードに準拠しつつ、評価目的・方針を確認して、チェックシートを作成し、2)評価を実施、3)評価のレビューを行い、4)評価後にコンサルティングを行う。この事業分野は、日本では比較的新しい業務だが、同社グループが最も早い段階からスタートしており、利益率も高い分野だ。 従来社内で評価していた上場企業も第三者による実効性評価を求めて受託が増加しており、他社に比べて受託件数は多い。 2. 独立社外役員紹介サービス 数多くの上場企業と取引があるので、経営者とはかなり面談をしており、豊富な知識と経験を備えた人材を登録する独自の人材データベースを持っている。また資本市場・株主からの信任を重視した候補者の選定を行える。女性役員の紹介なども進めている。急速にニーズが高まっている独立社外役員候補者の紹介サービスの一環で検索サイト「ID(Independent Director)-Search」を開設し、多くの反響を得ている。2017年8月2日、東京証券取引所は、相談役、顧問等の開示に関する「コーポレートガバナンスに関する報告書」の記載要領を改訂し、2018年から提出するガバナンス報告書において、相談役・顧問の氏名、業務内容、報酬の有無などの任意開示を始めることとした。社外取締役紹介サービスは増加傾向にあり、今後、ダイバーシティを実現するため役員構成についてますます注目され、社外取締役のニーズがなお一層高まっていくものと思われる。 3. 投資銀行業務 同社グループは投資銀行業務を行っており、今後も注力していく。投資銀行業務は、2018年3月期より組織・業容ともに拡大している。組織体制としては、顧客基盤と複雑な案件実績を生かした多様なアドバイザリーサービスを提供しているFinancial Advisor Group、戦略策定から交渉・委任状回収の実行まで総合的なアドバイザリーサービスを提供しているProxy Advisor Group、複雑かつ高度な案件において適切なソリューションを開発・提供しているSpecial Situation Groupの3体制となっている。業務としては突発的に発生することが多いが、既に多くの企業からの相談を受けており、今後の収益源になりそうだ。投資銀行本部の役割として、上場企業の企業価値向上のための支援と未上場企業の事業拡大、事業承継支援をマッチングさせる業務としている。 同社グループの投資銀行本部の特徴として、1)独立系であること、2)数多くの上場会社の顧客基盤を有していること、3)多数の実績を有するプロ集団であること、4)専門的なノウハウがあること、5)東証1部上場であること、としている。今後の案件のパイプラインも豊富にあるもよう。 4. 投資部門別株式保有比率の変化に応じたサービス提供 持ち合い解消に伴い、安定株主であった「都銀・地銀等」「生・損保・その他金融」などの保有割合が減少し、機関投資家である「信託銀行」「外国法人等」の保有割合が増加している。「個人・その他」に関しては2割弱程度のままで推移している。持ち合いの解消が続くなかで、同社グループでは日本初の外国人・国内機関株主・個人株主総合管理対応システム「DSMS(Digital Shareholder Management System)」の構築を行い企業の株主が管理できている。日本株を保有する全世界の機関株主のネットワークを持っており、彼らの多くの議決権行使の方針も同社グループでは把握している。 5. TOKYO PRO Market上場支援業務 2017年12月1日、未上場企業を対象とした新たなサービスを開始するとして、東証が運営するTOKYO PRO Market(TPM)への上場支援等を行うJ-Adviser資格の取得を発表した。目的は、今後のM&Aや証券代行業務に未上場の段階から支援することにより業務を拡大するためである。2018年11月にJ-Adviserとしての第一号案件(筑波精工[6596])を上市することができた。本件では、TPM上場に先立ち、ファイナンス(株主割当によらない特定投資家向け取得勧誘)を行い、875百万円の資金調達を行うことに成功した。これまで、TPMに上場する会社が上場時にファイナンスを実施した事例は1例しかなく、本件はTPMにおける約6年半ぶりのファイナンスを伴う上場案件となる。今回、発行価格の決定に関してはブックビルディングに準拠した方式を採用しつつ、証券会社の引受なしに、発行会社が直接特定投資家に割当てを行うという全く新しいファイナンス・スキームによる資金調達を実現しており、TPM上場会社に新しい資金調達の道を拓いたという点で、極めて革新的な案件であるといえる。 また、2017年12月1日付で株式投資型クラウドファンディング株主マッチングサービス「FUNDINNO」を運営する(株)日本クラウドキャピタルと三者間での業務提携も発表しており、クラウドファンディングを実施した企業の株主管理等アフターフォローのほか、クラウドファンディングを実施した企業が上場を目指す際の支援も行っていく。 6. 人工知能(AI)を用いたアクティビストによる保有リスク分析の商品化 2018年2月20日にAIを用いたアクティビストによる保有リスク分析の商品化を発表した。アイ・アールジャパンは、全上場企業約 3,600社を対象に過去10年間でアクティビストによる株式保有が確認された企業特性を人工知能(AI)により分析することで、アクティビストからの保有リスクを偏差値化した新商品「AIによるアクティビスト標的企業予想」のサービス提供を開始した。 今後、日本においてアクティビストによる活動が一層活発化することが予想されるなか、 事前にアクティビストから指摘され得る点を把握することは必要不可欠となり、当商品で、アクティビストがターゲット企業を選別するに当たり重視していると考えられる TSR(Total Shareholders Return)、ROE、社外取締役の割合等、数十項目を過去の事例をもとに分析することで、時価総額ごとにその相関性を数値化、各企業の財務やガバナンスの状況と照合することでアクティビストによる保有リスクを偏差値として発行企業に提供することができる。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 福田 徹) 《SF》
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時価総額 15,057百万円
IR・SR活動に特化したコンサルティング会社。株式議決権に関わるコンサルティング、M&Aアドバイザリーが主力。証券代行業務等も。配当性向50%目処。アクティビスト対応等に係る有事対応案件は案件受託が継続。 記:2024/06/04