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JBCC HD Research Memo(3):事業構造の変革を図り、成長分野に注力する

2018/7/6 16:21 FISCO
*16:21JST JBCC HD Research Memo(3):事業構造の変革を図り、成長分野に注力する ■JBCCホールディングス<9889>の事業概要 同社グループは2015年3月期から3年と4年の2回の中期経営計画で事業構造の変革を図ってきている。まず、この流れを説明した上で、新たに注力する事業分野について説明する。 1. 前中期経営計画「Innovate2016」 2015年3月期から2017年3月期まで取り組んだ「Innovate2016」のポイントは、成長基盤の確立と強い体質への改革により、収益力向上を図ることであった。 (1) 成長基盤の確立 成長基盤の確立のための取り組みとして、独自性と高付加価値化を図るために、クラウドサービスへのシフトを加速させ、SI(システム開発)ビジネスの改革に取り組んだ。 クラウドについては、Ecoシステム※1クラウドサービス「俺のクラウド※2」のサービスを拡充し、累計20,000ユーザー(2017年8月時点)まで導入実績を増加させた。 ※1 Ecoシステム:企業がパートナーシップを組み、互いの技術を生かして連携し、価値あるサービスを提供し、互いに発展していく仕組み。 ※2 俺のクラウド:同社グループでのクラウドサービスの総称。 また、SI(システム開発)ビジネスの改革については、上流工程ツールや高速開発ツールの活用と、アジャイル※と言われる開発手法を活用することで、顧客とのシステム開発時の確認を確実かつ迅速にし、仕様の齟齬による手戻りをなくすことで、開発期間の短期化及び赤字プロジェクトの削減に取り組んだ。これによりSI(システム開発)ビジネスの売上総利益率は、2014年3月期の17.1%から2017年3月期の31.4%と大幅に収益性が向上した。 ※アジャイル:「俊敏な」「すばやい」という意味の英単語で、IT業界では経営環境の変化に迅速に対応できる柔軟な情報システムや、効率的なシステム開発手法などを指す。 (2) 強い体質への改革 クラウドシフトの加速、SIビジネスの改革により、営業スタイルも開発スタイルも変化が必要となった。このような変化に対応するべく人材開発や評価制度変更に取り組み、従業員の意識変革を図ってきた。併せて、スタッフ部門のサービスを集約化することで生産性の向上を図った。 2. 新中期経営計画「Transform2020」 前中期経営計画「Innovate2016」の結果を踏まえ、2018年3月期から2021年3月期までの4期間で、顧客のデジタルトランスフォーメーション※を図るため、新中期経営計画「Transform2020」に取り組んでいる。 ※デジタルトランスフォーメーション:デジタル技術を出発点として、または駆使して、あらゆることをトランスフォーム(変化、転換)すること。デジタル技術を前提に、既存のビジネスや組織のあり方、仕事の進め方、情報収集や学習のやり方、生活のあり方を全面的に見直すこと。 「Transform2020」に取り組むに当たり、経営資源の集中と収益の向上を図るために、2017年6月末にイグアスの株式譲渡を行った。そして、グループの分野別ビジネスライフサイクルの中で、今後の成長が見込まれる分野を「WILD7」と名付け、注力する分野とした。 同グループはこの7つの分野に関して、既に関係性のある既存顧客のみならず新規顧客にも展開することで、2017年3月期から2021年3月期の間に、売上2.5倍、総利益3倍を目指す。 以下「WILD7」について説明する。 (1) クラウドサービス 同社では、「俺のクラウド」の総称のもと、ビジネスのベースとなるクラウド環境を運用、提供している。また、顧客に最適なクラウドサービスを提供するため、コンソーシアム「俺のクラウド倶楽部」を2015年10月に設立した。業種・業務に特化したソリューションやクラウドセキュリティに知見を持つパートナー企業のソリューションをEcoシステムで連携し、顧客に最適なクラウドサービスを提供できることが、同社ならではの特徴であり、基幹システムのクラウドでの活用も支援していく。 同社グループのソリューションと、業種・業務に特化したパートナー各社のソリューションをEcoシステムで連携し、最適なサービスをクラウドで提供する。グループの総合力を生かし、クラウド中心に事業やビジネス、働き方等、様々なデジタル化を進め企業の成長を支援する。 (2) セキュリティ クラウドやモバイルの活用が進み、企業のシステム運用や働き方の利便性が高まる一方、セキュリティの領域は広がり、求められる対策も多様化し、現実的には顧客が独力で対応することが難しくなってきている。同社の運用センターSMAC(Solution Management and Access Center)では、24時間365日体制で顧客のIT環境を監視するとともに、SOC※機能を充実させセキュリティ技術の強化にも取り組み、専門の技術員が顧客の安全・安心なシステム運用を支援している。 ※SOC:セキュリティオペレーションセンター 同社グループのセキュリティ統合ブランド「OPTi Secure」は、運用監視サービスに加えて、セキュリティ対策の基本となる5ステップ(特定・防御・検知・対応・復旧)に基づいた各種セキュリティサービスを取りそろえ、顧客ごとに最適な組み合わせのセキュリティをサービスとして提供している。監視・運用サービスに加えて、顧客のサーバー環境やネットワーク環境を理解し、顧客の運用負荷を抑えることができること、多くの顧客の実績からログを解析し対応できる能力が高いことが同社の強みである。加えて、販売・構築から運用サービスへの変革を図りストックビジネス化を進めることで、業績を伸ばす計画である。 (3) New SI(新たなシステム開発) 新しいテクノロジーや様々なクラウドサービスと組み合わせ、顧客の要望に素早く、柔軟対応できるシステム開発への取り組みを進める。実際に動作するシステムをもとに、短いサイクルで顧客と議論・確認しながら開発を進めるアジャイル開発を推進。上流工程の管理やプログラム自動生成を行うツール類と連携し、品質の向上とスピード開発を実現している。 超高速開発の実績としては、他社提案で4年のプロジェクトをわずか1年半でサービスインさせた実績がある。同社独自の「JBCCアジャイル開発」に磨きをかけ、クラウド等との組み合わせるなどして単価アップを図り、益々の拡大を狙う。 既に豊富な顧客基盤があることに加え、それら顧客の業務を把握しており信頼関係があることなどから、他社との価格競争に巻き込まれにくいことなどの優位性を生かし、業績拡大を図る計画である。 (4) JBソフトウェア(オリジナルソリューション) ハードウェア、ソフトウェアの開発技術を結集し同社グループ独自のソリューションを開発・提供している。顧客からの声を反映して機能強化・改善を続け、顧客と共にニーズに合った製品やサービスを提供する。また、 クラウドをベースにIoT、AI(人工知能)、ロボット等の先進技術にも取り組み、新しいテクノロジーのビジネスへの活用の検討も積極的に進める。 (5) ヘルスケア 2013年より、電子カルテを始めとし、医療情報システムに特化する亀田医療情報(株)との業務提携を行い、患者と地域、患者と病院をつなぐソリューションの展開を本格化させてきた。電子カルテに強い亀田医療情報と製品・インフラも含めITサービスをワンストップで提供可能なJBCCがタッグを組み、JBCCヘルスケア・コンソーシアムのパートナー各社とも連携し、電子カルテを核に医療のみならず、予防から介護まで「地域包括ケアシステム」の実現に向けた各種ソリューションの展開を進める。 (6) 3D事業 3Dプリンターはその技術・精度の向上、利用できる造形材料の多様化により、研究・開発機関での検証や試作を目的とした利用から、最終製品を生み出す生産機械へと、活用分野が拡がっている。同社グループのJBサービスを中心に3Dプリンターの販売・保守だけでなく、長年のノウハウを生かし、3Dプリンターを中心としたトータルサービスを提供している。最適な機種選定から、導入サポート、運用・保守、3Dデータを活用したシステムの構築、新たなソリューションの提供や技術者の教育・育成、代理造形サービスなど、ワンストップでサポートできる強みを生かすと共に、高い技術力によりマルチベンダー※保守も推進し、業績拡大を狙う。 ※マルチベンダー:単一メーカーの製品だけではなく複数メーカーの製品を扱うこと。 (7) 人財育成 (株)アイ・ラーニング(i-Learning)がサービス提供している。次代を担う人財育成を支援する企業として、新入社員研修から管理職研修、上流から下流に至るIT研修まで、顧客のニーズに合わせた高品質な研修ソリューションを提供している。 人財開発研修、営業研修、IT研修、PM研修、IBM製品研修など、個別スキルから総合的な能力開発までの多様な分野を、企画から開発・実施まで、豊富な研修サービスを提供できることが強みである。 昨今はビジネススキルに加え、デジタルスキルも求められていることから、デジタルビジネススクールの推進や自らが各自のスケジュールで学ぶことのできるマイクロラーニング※の提供も行っている。 ※マイクロラーニング:短時間でも学べるデジタル教材を多頻度にわたって提供する学習手法。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 内山 崇行) 《MH》
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システム開発などの情報ソリューションを手掛けるJBCCを中核とする持株会社。クラウドデータ連携基盤「Qanat Universe」等の製品開発製造も。超高速開発では基幹システム刷新の案件規模が大型化。 記:2024/08/27