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イノベーション Research Memo(3):2018年3月期は増収減益決算に
2018/6/29 15:23
FISCO
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*15:23JST イノベーション Research Memo(3):2018年3月期は増収減益決算に ■業績動向 1. 2018年3月期業績の概要 イノベーション<
3970
>の2018年3月期の業績は、売上高で前期比7.0%増の1,345百万円、営業利益で同82.7%減の29百万円、経常利益で同82.8%減の33百万円、当期純利益で同80.7%減の23百万円と増収減益決算となった。オンラインメディア事業の拡大で売上高は増収となったものの、売上原価率の上昇や販管費が前期比で28.9%増の大幅増となったことが減益要因となった。 営業利益の増減要因を見ると、売上原価が前期比で65百万円増加した。これはGoogleの検索エンジンを使った「ITトレンド」の結果表示順位が低下したことにより、SEO対策等の集客施策への投資を想定以上に積み増したことが主因となっている。また、販管費の増加要因としては、「ITトレンド」の認知度向上を目的に、期間限定で交通広告や動画CM等の広告宣伝費38百万円を計上したこと、エンジニアを中心に優秀な人材を確保するため、人材募集費が前期比20.8%増となったこと、新製品・サービスを開発する研究開発機関としてSales Tech Lab.を2017年4月に設立し、大学等との共同研究プロジェクトを開始するなど研究開発費が増加したこと等が要因となっている。なお、期末の従業員数は前期末比11名増の89名となっており、人件費が増加したことも減益要因となっている。 また期初会社計画比では売上高で8.8%、営業利益で84.8%下回り、特に利益の減額が目立つ格好となった。売上高に関しては、「ITトレンド」の来訪者数がGoogleの検索表示順位低下の影響もあって前期比2.8%減の488万人と減少し、資料請求件数が計画を下回ったこと、「List Finder」の契約アカウント数も前期比では18.8%増の728件と増加したが会社計画には届かなかったことが下振れ要因となった。また、営業利益に関しては売上高の未達による利益減に加えて、「ITトレンド」の集客力回復のためSEO対策費を積み増したこと、また、当第4四半期に「List Finder」の追加機能拡充のための開発費を計上したことなどが減額要因となった。ただ、2018年1月に発表した修正計画値に対しては利益面で若干ながら上回った格好となっている。 2.事業セグメント別動向 (1)オンラインメディア事業 オンラインメディア事業の売上高は前期比9.5%増の1,049百万円、セグメント利益は同18.5%減の371百万円となった。「ITトレンド」「BIZトレンド」の来訪者数(延べ人数)※1がGoogleの検索アルゴリズム変更(2017年6月末に実施)の影響で減少したものの、製品掲載数/カテゴリー数が前期末の1,322件/205カテゴリーから直近(2018年3月末時点)では1,941件/319カテゴリーへと大きく増加したことや、「働き方改革」への関心の高まりに加えて、政府の政策として中小企業の生産性向上を目的とした「IT導入補助金」制度が導入されたことも追い風となり、資料請求件数の増加につながった。一方、利益面では認知度向上のための広告宣伝費38百万円を計上したほか、SEO対策費や人材募集、人件費等の増加が減益要因となっている。 ※1 同社が定める来訪者数(延べ人数)とは、アクセス解析ツール「Google アナリティクス」※2における「セッション 数」※3を指している。 ※2 「Google アナリティクス」とは、Google Inc.(グーグル)が無料で提供するWebページのアクセス解析サービスを指す。 ※3 「セッション数」とは、「Google アナリティクス」における「セッション」を指している。セッションとは、特定の期間にWebサイトで発生した一連の操作のこと。 来訪者数のトレンドは2018年3月期第1四半期の153万人をピークに前四半期比で緩やかな減少トレンドが続き、第4四半期には107万人まで落ち込んでいる。第1四半期がピークだったのは、「IT導入補助金」の申請期間と重なった要因が大きいと見られる。2018年度も「IT導入補助金」制度が継続されており、2018年4月以降は来訪数も上向きに転じている。 (2)セールスクラウド事業 セールスクラウド事業の売上高は前期比1.0%減の296百万円、セグメント利益は同65.3%増の94百万円となった。Web制作や他社Webサービスなど「List Finder」以外のサービス販売を縮小したことにより減収となったが、「List Finder」については2018年3月期末のアカウント数で前期比18.8%増の728件となり、当初の計画には届かなかったものの着実に伸長した。利益面では、販売構成比の変化や効率的な販売活動を行ったことにより増益となっている。 「List Finder」が伸びている要因は、直販での増加に加えて2017年1月に業務提携した(株)アペルザ経由での販売が増加したことも一因となっている。アペルザで運営する製造業向けカタログポータルサイト「Aperza Catalog」に「List Finder」の一部機能を実装し、同ポータルサイトに出展する約6,700社(2018年5月時点)の企業が「List Finder」をオプションメニューとして利用できるようにした。一部機能を限定していることやアペルザ経由での販売となるため、アカウント当たり単価は低くなっている。このため、契約件数の伸びよりも増収率は低くなっているが、マーケティング費用がかからないため、利益率への影響はほとんどなかったものと見られる。 従来、同事業のセグメント利益率は他社Webサービス等の販売も含まれていたためオンラインメディア事業と比較して低かったが、2018年3月期ではオンラインメディア事業の35.4%に対して31.9%とほぼ同水準まで上昇しており、「List Finder」が同社の主力事業として育ってきたことがうかがえる。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《NB》
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