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GMOメディア Research Memo(3):自社運営するポイントサイトなど広告収益や課金収益が収益源

2018/6/25 15:52 FISCO
*15:52JST GMOメディア Research Memo(3):自社運営するポイントサイトなど広告収益や課金収益が収益源 ■会社概要 3. 事業内容 GMOメディア<6180>の事業セグメントは、メディア事業とその他メディア支援事業に分けられる。メディア事業は、自社運営するポイントサイトやオンラインゲームプラットフォーム、ソーシャルメディアを通じて得られる広告収益やゲーム課金収益を獲得するビジネスモデルとなる。一方、その他メディア支援事業は、メディア事業で蓄積したノウハウ、システムを活用し他社メディアの収益化を支援する事業となる。2015年12月期以降3年間の売上構成比ではメディア事業が70%台、その他メディア支援事業が20%台で推移している。また、営業利益の構成比についてもほぼ同様の傾向となっている。同社ではメディア事業を主力事業として展開しており、その他メディア支援事業については付随的な事業として位置付けている。 (1) メディア事業 メディア事業は、スマートフォン向けネイティブアプリとWeb(スマートフォン・PC)向けの無料サービスを多ブランドで展開する広告収益事業となる。ポイントインセンティブ等から成るECメディアと一般ユーザーの情報発信をサポートするソーシャルメディアの2つのサービス群に分けられる。サービス別売上高(2017年12月期)は、ECメディアが2,468百万円でメディア事業の75.5%、ソーシャルメディアが799百万円で25.5%を占めている。 a) ECメディア ECメディアでは、国内最大級のポイントサイトである「ポイントタウン」と、オンラインゲームプラットフォームの「ゲソてん」を運営している。 「ポイントタウン」は1999年にサービスを開始した老舗ポイントサイトで、2018年3月末の会員数は約252万人となっており、増加傾向が続いている。購買力のある、消費したい、得をしたいという欲求を持つ30代後半から50代前半の世代がコア・ユーザーとなっている。なお、足元で取り組んでいるスマートフォン対応の強化によりスマートフォン会員比率も上昇傾向にあり(2018年3月時点45.5%)、それに併せて20代の若い世代にも会員層が広がっているものと見られる。「ゲソてん」では農場・経営ゲームやシミュレーションゲーム、カードゲームなど多くの無料ソーシャルゲーム(一部課金)をそろえている。 ビジネスモデルに関しては、同社はクライアントとユーザーの間に位置し、広告クライアントから代理店(ASP※) 経由でサイト内に掲載された広告に対して、登録会員が申込みや購入等の一定の行動を取ることによって発生した広告収益等と、その広告収益の一部をユーザーにポイント還元した費用との差分が主な収入となる仕組みとなっている。例えば、クレジットカード会社が会員を獲得する際に、入会ポイントを付与することが多いがそうしたポイントの発行を「ポイントタウン」を通じて同社が行い、ユーザーに還元する流れとなる。なお、ユーザーが貯めたポイントは大手金融機関及び主要電子マネーやビットコイン、同社が運営するオンラインゲームプラットフォーム「ゲソてん」のアイテム等と交換が可能となっている。 ※Affiliate Service Providerの略で、成功報酬型広告を配信するサービス・プロバイダ。 ECメディアの売上げは「ポイントタウン」と「ゲソてん」からの収入となる。なお、売上高に影響する広告単価はクライアントごとに異なるほか、季節要因によっても変わってくる。広告枠は変わらないため、広告出稿ニーズの高い1〜3月期は需給がタイトとなり、広告単価も上昇する傾向となる。このため、同社の四半期売上高も例年、第1四半期がピークとなる。また、粗利益率は40〜50%程度と推定される。 b)ソーシャルメディア ソーシャルメディアとしては、女性コミュニティサイト「prican(以下、プリキャン)」、ブログサービス「yaplog!(以下、ヤプログ!)」、コーディネート共有アプリ「CoordiSnap(以下、コーデスナップ)」、コミュニティサービス「teacup.(以下、ティーカップ)」、メーリングリストサービス「freeml(以下、フリー・エムエル)」、壁紙ポータルサイト「壁紙.com」などを運営している。「プリキャン」、「ヤプログ!」、「コーデスナップ」は、スマホアクティブな10代~20代を中心とする若い女性向けのユーザー発信型メディアとして展開している。 ビジネスモデルは同社が運営するこれらソーシャルメディアに掲載された広告に対して、閲覧者が表示やクリック等を行うことにより得られる広告収入モデルとなる。運営する各ソーシャルメディアの相互送客を強化し、新規会員獲得のためのプロモーション費用を抑制することで、安定した収益基盤を構築している。売上高の季節変動はECメディアと同様の傾向にある。また、ECメディアのようにユーザー還元がないため、粗利益率はほぼ100%となっている。 (2) その他メディア支援事業 その他メディア支援事業では以下の2つのサービスを行っている。 a) アドシンジケート アドネットワーク広告※の同社媒体への掲載によって蓄積させてきたマネタイズのノウハウを活用して、同社以外の第三者の媒体に対して広告を提供し、掲載のコンサルティング及び仲介を行う。 ※広告媒体のWebサイトを多数集めて「広告配信ネットワーク」を形成し、その多数のWebサイト上で広告を配信するタイプの広告配信手法。様々なWebサイトやソーシャルメディアを「1つの媒体」とした広告出稿が可能になるため、広告主にとってより多くの広告閲覧数が見込めるようになるメリットがある。 b) AffiTownサービス アフィリエイト広告を同社媒体に掲載することによって蓄積させてきた、マネタイズのノウハウや広告主とのネットワーク、広告管理システムを活用して、同社以外の他事業者に展開するアフィリエイトサービスプロバイダ事業。 4. 市場環境と同社の強み、事業リスク (1) 市場環境 国内のインターネット広告の市場規模は年々拡大基調が続いており、2017年は前年比15.2%増の15,094億円となった(「2017年日本の広告費」(電通調べ))。スマートフォンやタブレット端末の普及、高速モバイル通信環境の整備により、インターネットを利用するユーザーが増加するだけでなく、利用時間も長時間化が進んでいることが背景にある。今後も市場の拡大が続く見通しで、なかでもスマートフォン向け広告の比率は年々高まっていくものと予想される。このため、同社も「ポイントタウン」のスマートフォン会員の拡大に注力しているほか、「ゲソてん」についても2018年4月よりスマートフォン版をリリースしており、ユーザー層の拡大に取り組んでいる。 (2) 同社の強み・事業リスク a) 強み・優位性 同社の強みは、1)購買力があり、消費したい、得をしたいという欲求を持つ30代から50代までの「ポイント」にセンシティブなユーザー層と、10代の中高生を中心とする流行に敏感で、情報発信力が強いと言われる若い女性ユーザー層という異なった属性のコア・ユーザー層の顧客基盤を有すること、2)社員の過半※1が技術者で新規サービス等の技術開発力を有していること、3)マーケティング・開発・運用のすべてを内製化しているほか、システムインフラを各サービス間で共用しているため、無駄な重複コストを発生させずに迅速で柔軟なサービス展開を行う体制を確立していること、4)PC、スマートフォンにおけるSEO※2、ASO※3、コンテンツマーケティング※4ノウハウを社内に蓄積し、プロモーションコストをかけずに低コストで新規登録会員を獲得する仕組みを構築していること、などを挙げることができる。 ※1 社員115人(2018年3月末時点、役員と臨時従業員を除く)のうちエンジニアが50%、デザイナーが10%と制作関係の社員が半分以上を占めている。 ※2 SEO(Search Engine Optimization):検索エンジン最適化のことで、サーチエンジンの検索結果ページの表示順位の上位に自らのWebサイトが表示されるように工夫すること、またそのための技術やサービス。 ※3 ASO(App Store Optimization): スマートフォン向けアプリストアにおいて、検索結果ページやランキング表示において、上位に自らのスマートフォンアプリが表示されるように工夫すること、またそのための技術やサービス。 ※4 コンテンツマーケティング:顧客が必要とする情報を理解し、それを適切にコンテンツとして提供することで、集客・購買につながる行動を引き起こす手法。 ポイントサイトを運営する類似会社は、セレス<3696>(運営サイト名:moppy)、リアルワールド<3691>(同:げん玉)、VOYAGE GROUP<3688>(同:ECナビ)などを挙げることができるが、ポイント交換の手数料がないことが同業他社との大きな差別化要因となっている。加えて、エンジニアによるアプリ対応が進んでいることも差別化要因になると考えられる。 b) 事業等のリスク SEOのノウハウを活用して集客を行っており、検索エンジンの表示順位判定基準(アルゴリズム)の変更によって、順位の変動が起こり、業績に影響を受ける可能性がある。 加えて、同社の代表取締役社長である森輝幸(もりてるゆき)氏は創業以来(2002年2月に社長就任)長期にわたり経営方針や事業戦略の決定及び社内風土の醸成に関して重要な役割を果たしてきた。このため、何らかの理由により同氏が業務を継続することが困難になった場合には事業や業績に影響が出る可能性があり、同社の強みの源泉であると同時にリスクでもあると考えられる。 なお、同社が取り扱うインターネット広告市場は、他のメディア広告市場に比べると高い成長率を依然として維持している成長市場であるものの、市場変化や景気動向の変動によって広告クライアントが広告費用を削減する等の、景気動向の影響により広告出稿量が減少し、また、広告掲載単価が下落するなど市場環境が変化した場合は、同社の業績に影響を及ぼす可能性がある。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《MH》
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