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ネットイヤー Research Memo(4):19/3期は収益改善施策により3期ぶりに営業利益で黒字転換する見通し
2018/6/21 15:27
FISCO
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*15:27JST ネットイヤー Research Memo(4):19/3期は収益改善施策により3期ぶりに営業利益で黒字転換する見通し ■今後の見通し 1. 収益改善施策について (1) プロジェクトの収益性向上施策 ネットイヤーグループ<
3622
>の業績は直近2期間において不採算プロジェクトの発生が損失計上の要因となっていた。このため、2018年3月期は期中にプロジェクト管理体制を強化し(提案時と要件定義終了時の2段階で社内レビューを徹底する)、開発遅延等による不採算プロジェクトの発生防止に努めてきたが、2018年3月期に新たに発生した2件のプロジェクトに関しては、管理体制を強化する以前に受注した案件だったことから、こうしたチェック機能が働かなかった。 この結果、2018年3月期における同社の不採算プロジェクト発生比率(件数ベース)は全体の2%とほぼ前期並みの水準にとどまり、金額ベースでは人件費も含めて2億円の損失となった。ただ、管理体制を強化して以降の受注案件については大規模な不採算プロジェクトが発生していない。2018年4月にはこうした取り組みを強化するため新たな組織(プロジェクト途中における仕様及び品質チェック部門)も立ち上げた。また、今後は属人的になっていたプロジェクトの各工程における各種成果物の内容やプロジェクト進行方法について標準化を図り、プロジェクト品質のバラつきをなくしていくほか、受注時における値引きの抑制など、徹底した採算管理を行うことで不採算プロジェクトの撲滅に取り組んでいく。さらに、受注活動についても大規模案件を優先して獲得していくことで、営業・事務効率の改善を図っていく。こうした取り組みによって2019年3月期はプロジェクトの収益性を改善していく方針だ。 (2) 既存人材の高付加価値化 ここ数年、IT業界ではエンジニア不足が深刻化し中途採用も含めた人材の確保が難しくなっており、同社も同様の傾向となっている。一方で、顧客ニーズは複数システムとの連携や、複数ベンダーの参加による複雑なプロジェクトの進行など、プロジェクトの難易度が飛躍的に上昇してきている。こうした難易度の高いプロジェクトを受託していくために、同社では新規採用に注力するのではなく既存社員のスキルアップを図ること、また働き方改革や労働環境改善等による退職率の抑制に努めることで対応していく方針だ。スキルアップについては、各種資格を取得するための教育研修制度を拡充し、個々の社員の付加価値を高めていく。 (3) マーケティング強化 同社の営業スタイルはインバウンド営業が主軸となっているが、今後は引き合いを更に多く獲得していくため、デジタルマーケティングに関連したセミナーを有償セミナーも含めて積極的に開催していく予定にしている。2018年3月期は自社セミナーを25回(前期比7回増)開催し、問い合わせ件数(見込み顧客)は前期比で60%増加したことから、2019年3月期についてもさらに積極開催することで問い合わせ件数を増やしていく。 2. 2019年3月期業績見通し 2019年3月期の連結業績は売上高で前期比1.5%減の6,100百万円、営業利益で80百万円(前期は51百万円の損失)、経常利益で79百万円(同53百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益で前期比82.1%減の56百万円となる見通し。 売上高はrakumo売却の影響で130百万円の減収要因となるため、実質ベースでは微増収となる。このうち、トライバルメディアハウスは前期の大型案件の反動減で減収となる見通しで、同社単独ベースでは1ケタ台の増収となる見込みだ。 営業利益に関しては、トライバルメディアハウスが減益となる一方で、同社単独ベースでは40百万円程度の黒字転換を見込んでいる。前述した収益改善施策によりプロジェクトの収益性改善を見込んでいることが主因だ。前期は不採算プロジェクトで2億円の損失となったため、不採算プロジェクトがなくなるだけでも2億円の増益効果が見込まれる。なお、人件費については人員の増加をほとんど見ていないため前期比若干増程度となるが、教育研修費用やマーケティング費用等が増加する見通し。 なお、今後の成長に向けた取り組みとしては、MA、DMP領域専任事業部を新設し、「カスタマーサクセス支援サービス」を開始した。ここ数年でMAツールやDMPを導入する企業は増えているが、実際にこれらツールをうまく活用しきれている企業はまだ少ない。同社ではこうした企業に対してシステム、データ分析、コンサルティング、コンテンツ運用などをパッケージに、MAツールやDMPの導入効果を最大限引き出していくサービスを提供していく。実際にはSalesforce.comのMAツール等を導入した企業や、これから導入する企業に対してサポートサービスとして同サービスを提案していくことになる。同社にとっては、ストック型収入となるため安定した収益を確保できることになる。今後は同サービスの提供によりノウハウを蓄積し、中期的に自社サービスとしての展開を狙っている。 一方、トライバルメディアハウスに関しては2016年12月に立ち上げた自社メディア「Funmee!!」への投資を継続して行っていく予定だ。「Funmee!!」は共通の関心事やライフスタイルを持った人々が集う情報メディアサイトとなっており、2017年7月にはスマートフォンアプリ(iOS版)もリリースしている。現在はキャンプやDIY、ドライブといった趣味の分野を中心に写真や記事の作成を同社で行っている。マネタイズの方法としては、UU数を増やし媒体価値を高めた上で広告収入を獲得していくほか、BtoC企業が同サイトを自社のマーケティング活動に利用することで得られる利用料等を想定している。アクセスユーザー数は非公表なものの、着実に増加してきているようだ。ただ、まだ投資フェーズであり、収益への貢献も少し先のこととなりそうだ。その他サービスでは、2018年4月にファンイベント支援ツール「Co-meeet」をリリースしている。オフラインで開催されるイベントを最大限盛り上げるためのプロモーションツールとなる。 資本集約、ストック型ビジネスを重点分野として伸ばしていく方針 3. 中期戦略について 同社は中期的な市場環境について、デジタルマーケティング関連市場の拡大が進み、テクノロジーの進化による人的サービスの代替や低付加価値サービスの淘汰が進むと見ている。また、同時にクライアントが要求するプロジェクトについては複雑化し、難易度の高いプロジェクトに対応できる高付加価値プレイヤーへのニーズがより一層高まっていくものと予想している。同社ではこうした難易度の高いプロジェクト領域にチャレンジし、実績を積み上げていくことで業界内における優位性を確保していく戦略だ。 また、一方でこれらプロジェクトについては労働集約型で案件ごとに規模や仕様が異なること、また、景気の影響も少なからず受けることからため収益変動リスクが高いという点も挙げられ、現在の同社の事業規模を考慮すると安定した収益柱を確立することが持続的な成長を実現していくうえで重要なポイントとなる。このため同社では現在、収益ポートフォリオの約9割を占めている労働集約型ビジネスの比率を5割程度まで引き下げ、安定した収益性が期待できる資本集約、ストック型ビジネスの比率を5割程度まで引き上げていくことを目標として掲げている。 資本集約、ストック型ビジネスとしてはSalesforce.comのMAツール等他社サービスのほか、トライバルメディアハウスの共創マーケティングプラットフォームである「ココスクウェア」など一部サービスにとどまっており、自社サービスとしてのラインナップはまだないが、今後「カスタマーサクセス支援サービス」を拡大していくことで同比率を引き上げていく方針だ。 同社の業績はここ2年間、不採算プロジェクトの影響で損失が続いてきたが、収益改善施策や成長戦略を着実に進めていくことで、今後は業績も上向きに転じていくものと弊社では予想している。 ■株主還元策 ネットイヤーグループ<
3622
>は株主還元策として配当を実施している。配当の基本方針としては、将来の事業展開と経営体質強化のために必要な内部留保を確保しつつ、安定的で継続的な配当を行っていくこととしている。このため、1株当たり配当金は2008年3月期以降3.25円で一定となっており、2019年3月期についても3.25円の配当を継続する予定となっている。なお、将来的に内部留保が充実し、安定したキャッシュが毎期得られるようになれば、業績連動型配当を導入していくことも検討する。 ■情報セキュリティ対策 同社グループでは、顧客企業等の機密情報や個人情報を取り扱う場合があるため、情報管理については経営の重要事項と認識しており、2005年にプライバシーマークの認定を社団法人情報サービス産業協会より受けている。また、実際の業務面ではシンクライアント※システムを導入し、外部にデータを流出できないようにするなどの対策を行っている。 ※ユーザーが使うクライアント端末に必要最小限の処理をさせ、ほとんどの処理はサーバー側で行うシステムアーキテクチャ。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《TN》
関連銘柄 1件
3622 東証グロース
ネットイヤーグループ
545
11/22 15:30
+15(2.83%)
時価総額 3,814百万円
顧客企業の価値向上を支援するデジタルマーケティング施策の立案、システム開発・運用保守などを手掛ける。NTTデータグループ傘下。取引実績は累計950社超。内部稼働率の向上、重点顧客の拡充などに取り組む。 記:2024/07/26
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