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カドカワ Research Memo(3):2018年3月期はポータル事業の収益悪化や「君の名は。」効果剥落により減益に

2018/6/6 15:12 FISCO
*15:12JST カドカワ Research Memo(3):2018年3月期はポータル事業の収益悪化や「君の名は。」効果剥落により減益に ■業績動向 1. 2018年3月期の業績概要 カドカワ<9468>の2018年3月期の連結業績は、売上高が前期比0.5%増の206,785百万円、営業利益が同62.6%減の3,144百万円、経常利益が同49.8%減の3,716百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同82.0%減の1,038百万円と増収減益決算となった。 売上高は、映像・ゲーム事業が前期比6.8%増、その他事業が同3.0%増と堅調に推移したものの、Webサービス事業がポータル、モバイル事業における有料会員数減少により同7.2%減と低迷したほか、出版事業も同0.3%減と伸び悩んだことで、全体では微増収にとどまった。営業利益は、その他事業の損失額が縮小したものの、主力3事業が揃って減益したことが響いた。とりわけWebサービス事業については有料会員数の減少に加えて、新サービスの開始遅延が響き、営業損失となった。また、出版事業や映像・ゲーム事業においても前期に大ヒットした「君の名は。」の反動減等により減益となっている。営業外収支が前期比1,584百万円改善したが、これは持分法投資損益の改善(1,221百万円)と寄付金の減少(379百万円)が主因となっている。 また、期初会社計画比での差異要因を見ると、売上高ではポータル事業が、営業利益ではポータル事業と映像事業が主な下振れ要因となった。ポータル事業については、有料会員数が想定以上のペースで減少したことに加え、2017年10月を予定していた「niconico(く)」「nicocas」などの新サービス開始時期が2018年夏休み前まで遅延したことが影響した。また、映像事業については、「空海—KU-KAI—美しき王妃の謎」「ナミヤ雑貨店の奇蹟」以外の実写映画が概ね収入計画を下回ったことが利益の下振れ要因となった。 電子書籍事業とゲーム事業は増収増益に 2. 事業セグメント別動向 (1) Webサービス事業 Webサービス事業の売上高は前期比7.2%減の29,023百万円、営業損失は1,067百万円(前期は2,815百万円の営業利益)となった。 主力のポータル事業は、主な収入源である「niconico」の有料会員数が2018年3月期末時点で207万人と前期末比36万人の減少となったことが減収要因となった。減収に加えて、2017年10月に予定していた「niconico」の新バージョン「niconico(く)」やスマートフォン向け新サービス「nicocas」の投入時期が先送りされたこと、これらサービスに関連した開発費用や既存サービスのシステム改善費用の増加が減益要因となった。 ライブ事業については、競合する他の動画サービスとの差別化を図るためネットとリアルを融合した各種イベントを継続して行っている。2017年4月に開催した「ニコニコ超会議2017」では会場来場者数が15.4万人と過去最高を記録したほか、2017年8月に開催した世界最大級のアニソンライブ「Animelo Summer Live 2017 -THE CARD-」でも8.1万人を集客し、ネットとリアルを融合したエンタテインメントに対する関心の高さが確認されている。また、2018年2月に開催した日本最大級のユーザー参加型ゲームイベント「闘会議2018」では7.2万人の会場来場者数を記録したほか、eスポーツの大会で初めてプロライセンスを発行するなど、今後の国内eスポーツ市場の発展に向けた取り組みも行っている。その他、「niconico」で人気のクリエイター陣が関わるNHN PlayArt(株)との共同プロジェクトであるゲームアプリ「#コンパス~戦闘摂理解析システム~」や人気ゲーム実況配信者のライブツアー関連などの事業も収益に貢献した。ライブ事業全体では前期比で増収、損失幅が縮小している。 モバイル事業については、音楽配信サービスの「dwango.jp(ドワンゴジェイピー)」の会員数減少が続いており、前期比で2ケタ減収減益が続いているものの、費用の削減も同様に進めており、収益性は維持している。 (2) 出版事業 出版事業の売上高は前期比0.3%減の112,691百万円、営業利益は同28.1%減の6,000百万円となった。書籍事業においては、国内出版市場全体は縮小するも、成長が期待できる児童書、学習参考書市場において積極的に作品を投入し、ジャンル拡大を図った。書籍についてはライトノベル・コミックスや文芸書などでヒット作品が出たものの、前期に大ヒットした「君の名は。」関連書籍の反動減が大きく売上高が減収となったほか、利益面でも「君の名は。」の反動減や2020年4月の本格稼働に向けてテスト生産を始めた所沢の製造・物流拠点の準備費用、並びに出版分野でのデジタル関連の新規事業の投資費用の増加により減益となった。 電子書籍・電子雑誌事業においては、NTTドコモの雑誌読み放題サービス「dマガジン」や同社グループで展開する総合電子書籍ストア「BOOK☆WALKER」、他社の電子書籍ストアの販売がいずれも好調に推移し、同事業セグメントに占める電子書籍・電子雑誌の売上構成比は2割を超えている。 雑誌事業に関しては市場縮小が続くなかで、減収が続いているものの、Webメディアへの移行等ビジネスモデルの転換が進んでおり、Webサイトのページビューが増加している。 (3) 映像・ゲーム事業 映像・ゲーム事業の売上高は前期比6.8%増の47,440百万円、営業利益は同13.2%減の2,874百万円となった。映像事業は文芸書からの大型メディアミックス作品「空海-KU-KAI- 美しき王妃の謎」「ナミヤ雑貨店の奇蹟」の配給収入が好調だったほか、アニメ作品の配給収入やパッケージソフト販売、ライセンス収入等が総じて好調で、売上高は増収となったものの、営業利益は実写作品が総じて低調だったこと、前期に大ヒットした「君の名は。」の反動減などの影響により減益となった。 一方、ゲーム事業はアプリゲーム「天華百剣-斬-」「結城友菜は勇者である 花結いのきらめき」やコンソールゲーム「DARK SOULSIII」が年度を通じて好調に推移したほか、新作ゲームのヒットもあり増収増益となった。 (4) その他事業 その他事業の売上高は前期比3.0%増の20,821百万円、営業損失は1,356百万円(前期は1,635百万円の営業損失)となった。売上高は、インターネットを活用した通信高校「N高等学校」やクリエイティブ分野に特化した専門スクールの生徒数が順調に拡大したことにより増収となった。利益面では2020年を収益化のめどとしているインバウンド事業の準備費用等を引き続き計上したものの、教育事業の貢献により損失額は縮小した。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《HN》
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旧KADOKAWAとドワンゴが経営統合。出版・IP創出事業が主力。アニメ・実写映像事業、ゲーム事業、通信制高校の運営等も。中計では28.3期売上高3400億円目標。出版IP数の拡大などに取り組む。 記:2024/06/13