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ベルシス24 Research Memo(5):2020年2月期目標は売上収益1,310億円、営業利益115億円

2018/5/28 16:25 FISCO
*16:25JST ベルシス24 Research Memo(5):2020年2月期目標は売上収益1,310億円、営業利益115億円 ■中期経営計画 1. 目標数値 ベルシステム24ホールディングス<6183>は、2018年2月期から2020年2月期を対象とする中期経営計画を推進中である。目標数値は、最終年度の2020年2月期に売上収益1,310億円(2017年2月期実績1,089億円)、営業利益115億円(同82億円)、ネットD/Eレシオ1.2倍(同1.8倍)とするもので、これら目標数値を達成時には、営業利益率8.8%(同7.5%)、ROE14.3%(同11.0%)となる見通し。2020年2月期の売上収益計画1,310億円の内訳は、既存領域が1,170億円、新規領域で140億円を見込んでいる。 2018年2月期を終えた時点で、業績や事業環境は、ほぼ同社の想定どおりに推移しているようだ。企業によるコールセンター事業のアウトソーシングは増加傾向にあり、売上げは今後も順調に増えると予想されることから、目標利益の達成は十分に可能と見られる。 従来ビジネスの拡大、新領域での拡大、人材マネジメントの高度化が3本柱 2. 成長戦略~3つの取り組み~ 同社は中期経営計画における具体的戦略として、従来ビジネスの拡大、新領域での拡大、人材マネジメントの高度化の3つを掲げている。具体的な施策の中では、2019年2月期は特に凸版印刷とのアライアンスと、新人事制度に重点を置いて取り組む方針である。 (1) 従来ビジネスの拡大:顧客との関係性強化、伊藤忠シナジー拡大、品質優位性の更なる追求 従来ビジネスにおける拡大では、既存クライアント企業との関係性強化、伊藤忠シナジー拡大、品質優位性の更なる追求を軸に深掘りしていく。 既存クライアント企業との関係性強化においては、良好な関係を生かした既存クライアント企業内でのシェアの拡大、満足度の向上と、新しい付加価値の提供に取り組む。年間売上収益5億円超の顧客の売上収益合計及び顧客数(旧BBコール業務を含む)は、2016年2月期の457億円、31社から、2018年2月期には588億円、38社にまで拡大している。このように、大型顧客との取引は順調に拡大しており、同社の営業力や現場品質の優位性が発揮されている。今後も顧客満足度の向上を追求しながら、顧客内シェアを拡大し、新しい価値の提供に努める方針である。 伊藤忠シナジー拡大については、同社の筆頭株主である伊藤忠商事のネットワークを活用し伊藤忠商事グループ関連の案件を始めとする新規案件の獲得を継続・拡大する。同社が定義する伊藤忠シナジーとは、伊藤忠商事の子会社や関連会社だけでなく、その取引先も含むため、同社が対象とする開拓先は広大になる。伊藤忠商事グループ案件による売上収益は、2017年2月期の72.5億円から、2018年2月期には35%増の97.6億円と、100億円に迫る規模にまで拡大しており、伊藤忠シナジーは順調に増加を続けている。 (2) 新領域での拡大:Advanced CRM Platform、Advanced BPO、海外事業展開、凸版シナジー 新領域の拡大においては、Advanced CRM Platform、Advanced BPO、海外事業展開、凸版シナジーを掲げており、今期は特に凸版シナジーに重点を置く方針である。 2017年11月の同社と凸版印刷との資本業務提携に伴い、凸版シナジーの発揮を中期経営計画に追加した。この資本業務提携により、自治体や金融機関を始め、幅広い業種の企業向けに新たなサービスを開発・提供し、BPO事業の拡大を図るとともに、AIやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション:ロボットによる業務自動化)等を用いた高度なBPO事業を推進し、国内市場はもちろんアジア地域での事業展開を強化する計画である。同社では、この提携によって、双方の強みを生かした、付加価値の高い、新しい商品・サービスを提供したいと考えている。今後、計画の具体化が待たれるが、既に2019年2月期の業績予想には、既に約20億円のシナジーを織り込んでいる。 同社は、CRMで必要な機能をインタラクティブ、インテリジェンス、アナリティクスといった機能で網羅する「Advanced CRM Platform」の構築を推進している。すなわち、Advanced CRM構想におけるプラットフォームとして、クライアント企業と消費者との最適な接点を創出するにとどまらず、消費者や業務に関する知見の提供、さらには消費者の価値観の分析による最適モデルの提案までを行うというもの。Advanced CRM Platformの展開を進めることにより、同社は課金型ビジネスやレベニューシェアといった利益率の高いビジネスモデルを実現するとしている。既に2018年2月期には、伊藤忠グループのCTCと共同開発の、AIを活用した自動音声対応ソリューション「BellCloud AI for IVR」の提供を開始し、消費者に対する一次対応において、従来の音声ガイダンスを聞いての電話機プッシュ操作(例:「XXの方は、1番と♯」「●●の方は2番と♯」)ではなく、音声認識とAIを活用することで、音声による双方向の会話での一次対応を実現している。 Advanced BPOについても、RPAを導入した高度なBPO業務を同社が提供することにより、メリットを得ることができるクライアント業界や企業は多い。特に、流通業等においては未だ経理伝票等の処理をFAXで行っている会社など多くある。同社はこれらの受注業務を、経理・人事・IT等の型を整備し生産性が向上するような業務に修正していく。また、CTCとの協業や高効率型モデルの構築(技術活用)も含めて展開していく。国内では、アウトソーシング市場規模は年5%程度での成長を継続するとみられるが、対GDPにおけるBPO比率は、欧米諸国と比較して低く、今後より一層の拡大が見込まれる海外展開についても視野に入れている。既にベトナムのHoa Saoに対する出資を2017年7月に完了し、今後も同様に有望な地域において案件を開拓していく方針である。伊藤忠グループのネットワークを活用し、成長が見込める案件に絞って検討する。国内向けサービスと同等の高度化したCRM事業をASEAN・韓国・台湾・中国等の海外に展開することで収益拡大を狙う。 (3) 人材マネジメントの高度化:退職抑止、採用力強化、現場人材管理の精微化 「人材マネジメントの高度化」の戦略として、退職抑止、採用力強化、現場人材管理の精微化を挙げているが、今期は特に新人事制度の実現に重点を置いている。 同社では、退職抑止への継続的な取り組みを実施しており、人事制度改定第1弾として、改正労働契約法で定められた無期雇用化までの5年間を待たずに、継続雇用期間6ヶ月を経過したコールセンターの現場管理者やスタッフ等の有期雇用社員約22,000人を、2017年10月より順次無期雇用化を開始した。 また、同社は、働き方改革を進めており、長時間労働の撲滅、管理者層の意識改革に加え、多様な人材が活躍できる職場づくり、障がい者の雇用促進、管理職における女性比率の向上等のダイバーシティの拡大とともに、正社員登用制度、テレワークの推進、新たな評価制度の導入といった社内制度の整備にも取り組む。 2018年4月、同社は女性の活躍を積極的に推進する企業として、女性活躍推進法に基づき厚生労働大臣が優良な企業を認定する制度「えるぼし」の最高位に認定されたことを発表した。同社では、女性社員を始めとする、すべての社員が「長期にわたり安心して就労できる環境づくり」の実現に向けての環境整備に取り組んできた。また、女性管理職の育成については、2020年までに女性管理職比率20%にすることを目標としたプロジェクト「202020」を2016年に発足し、女性が活躍できる企業文化の醸成に取り組んでいる。今回の受賞は、こうした取り組みが高く評価されたものと言える。 3. 投資計画 同社は、2017年からの5年間で100億円以上の追加投資を新しい領域に対して積極的に行っていく予定である。投資先は、高効率なオペレーションモデルを提供するためのAIやオートメーションを中心としたテクノロジー領域と、人材戦略及び海外事業などの領域だ。従来の投資額は年間30億円程度であったが、これが拡大する見込みである。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希) 《MW》
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時価総額 94,330百万円
国内コンタクトセンター大手。カスタマーサポートやセールスサポート、BPO等のCRM事業が主力。伊藤忠商事が筆頭株主。通信系企業との取引比率が高い。配当性向50%目標。基礎業務のクライアント数は順調に拡大。 記:2024/07/02