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USENNEX Research Memo(4):強固な顧客基盤を有効活用し、安定収益事業から高成長事業へ
2018/5/17 16:06
FISCO
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*16:06JST USENNEX Research Memo(4):強固な顧客基盤を有効活用し、安定収益事業から高成長事業へ ■事業概要 3. 音楽配信事業 音楽配信事業では、全国の業務店やオフィス、個人宅へ向けて、音楽や情報などを放送する「USEN」サービスを行っている。当然だが、提供する音楽はすべて著作権について適切な処理をしている。受信端末機(チューナー)はUSEN-NEXT HOLDINGS<
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>からのレンタルで、受信端末の設置環境に合わせて専用の同軸ケーブルや通信衛星、インターネット回線といったインフラを使用している。顧客の大多数は業務店で、特に飲食、小売、理美容、病院の割合が高く、チェーン店は全国チェーンから地域密着チェーンまで幅広い。同事業では、音楽放送サービスばかりでなく、開業支援から業務環境構築、販売促進まで、業務店に対し店舗運営をワンストップでサポートするサービスも提供している(店舗運営ソリューション事業)。 (1) 音楽配信事業 60万強という強固な顧客基盤を有し安定的な売上を生み出している事業で、店舗・施設用BGMで約80%という圧倒的なシェアを誇る。一方、収益性も高く、グループの戦略を支えるキャッシュを生み出している。同社にとって「安定高収益事業」ということになる。強固な顧客基盤の背景は、500を超えるチャンネル数と圧倒的なクオリティにある。J-POPから洋楽、ジャズ、ヒーリング、クラシックなどの専門チャンネルから、聴きたい曲がリクエストできるチャンネルまで、あらゆる店舗空間の音楽ニーズを満たすことができる。また、音質面でもすべての放送楽曲にBGMとして最適な音圧調整が施されている。さらに、全国150支店、営業職700人、技術職700人というサポート体制を擁し、設置施工からアフターケアまで万全の態勢を取っている。品ぞろえや品質、サポート体制に加え、月額4,000~5,000円でCDプレイヤーなどハードの導入や毎月のソフト購入費、ソフトの入れ替えや選曲の手間、面倒な著作権処理などが解決できることを考えると、同事業の根強い人気の理由が分かる。 通常の音楽配信のほか、リフレッシュやリラックスに加え終業などの時刻の分かるオフィス向けBGM、チェーン独自のニーズに合わせて編成する専用放送、海外BGM企業との提携、個人・家庭用音楽配信サービスも行っている。また、導入の手間のかからない「OTORAKU-音・楽-」というサービスもある。思いどおりのBGMを作ることができる、店で使用できるBGMアプリである。国内の主要音楽レーベルはもちろん、海外インディーズまでを網羅し、POPSからイージーリスニングまで豊富なジャンルの楽曲が配信されている。タブレットを駆使するITリテラシーが必要ではあるが、店舗環境に合ったBGMプレイリストを思いどおりに作れるほか、定番から季節物、人気ランキングまで、BGMのプロによる豊富なプレイリストも多数そろえている。 ところで、300万店の業務店市場において、BGMを使用しているのが200万店弱、うち著作権処理ができていない業務店が半分以上を占めると言われている。知的財産への意識が世界的に高まる中、JASRAC(日本音楽著作権協会)が不適法利用店舗の取り締まりを強化、摘発店舗が増加している。同社もJASRACとともに不適法利用店舗への啓蒙を進めており、店舗側も不適法利用の認識と著作権の適法処理への意識が高まりつつある。この傾向が続けば、将来的には不適法利用店舗が同社のホワイトスペースになっていく可能性も考えられ、同事業のポテンシャルと言うこともできるだろう。 (2) 店舗運営ソリューション 音楽配信事業は、同社グループの収益基盤というだけでなく、厚い顧客基盤でもある。音楽配信事業の顧客は、現状、音楽配信以上に店舗運営ソリューションへのニーズが強い。業務店には個店・中小チェーンが数多く、ナショナルチェーンのような規模のメリットを生かせられる先ばかりではない。近年、小売・サービス業でもIT化が進んでおり、中小零細業務店が対応するにはなおさらハードルが上がっている。このため、同社は中小零細業務店にとって導入が難しい最先端の機器やシステムをワンストップで届けるサービスを行っており、人気が高まっている。同社にとっても、ワンストップで各種商品・サービスを利用してもらえれば、顧客満足と客単価の上昇の一挙両得となる。このため、同社は店舗運営ソリューションを「高成長事業」に位置付けている。今回の経営統合は、こうした顧客基盤に商品やサービス、拠点支援など同社グループの持ち得る経営資源を、ワンストップでサービスすることも大きな目的となっている。 そうしたソリューションの中で、タブレットPOSレジとハンディ端末を使ったオーダリング・システムは特に人気がある。自動で売上集計・分析・管理が可能な多機能性、低コスト、iPadならではのスマートなデザインと直感的で使いやすい操作性、365日・150拠点によるサポート体制などが、業務店から支持されているからである。そのほか、予約や決済に関するシステムの構築、開業・開店に必要なインフラや器材の一括手配・施工など、サービス内容は多岐にわたる。また、「USEN Register for Beauty」(美容室向けタブレットPOSレジ)など、業務店の業態や使用方法に沿ったソリューションも提供している。 (3) キャンシステムとのM&A(音楽配信業界の環境) 同社は2018年1月、業務店向け音楽配信サービス業界2位であるキャンシステム(株)を、公正取引委員会による承認を得られることを前提として、2018年7月末をめどに最終契約を締結し100%子会社化する計画であることを公表した。これにより同社は、2015年の資本業務提携以降両社で取り組んできた店舗運営ソリューションサービスの拡販体制をより一層強化することを目指すとともに、両社がそれぞれ50年超に亘り業務店向け事業を行ってきたことで蓄積されたナレッジやノウハウを共有し、新商品や新サービスの開発等を行っていくことなどでグループの企業価値を高めていくことを企図している。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) 《TN》
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