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宇徳 Research Memo(5):邦船3社がコンテナ船事業を統合へ

2017/12/11 15:35 FISCO
*15:35JST 宇徳 Research Memo(5):邦船3社がコンテナ船事業を統合へ ■事業概要 5. 日本のコンテナ船業界の再編 宇徳<9358>は京浜港において商船三井のコンテナターミナルオペレーターを務めているが、商船三井のコンテナ船事業のセグメント別経常利益は2012年3月期以来赤字が続いている。コンテナ船事業では、規模の経済の重要性が決定的に増しており、内陸輸送費など交渉力やコスト競争力での優位性を発揮する。市場は、新造大型船の竣工が相次ぎ、世界的な船腹過剰という構造的問題を抱えている。 (1) 海運会社の国際共同運航連合の再編 海運業界では、世界網のコンテナ定期航路の維持と巨額の造船投資をシェアする海運アライアンスが進んでいる。デンマークのAPM-マークスが約15.6%のトップシェアを持ち、スイスのMSCが13.4%で続く。この2社で世界最大の国際共同運航連合体である「2M」を組成していた。同アライアンスに、2017年4月から韓国の現代商船が加入し、名称が「2M+H」となった。従来は、圧倒的なシェアを誇る「2M」と「G6」、「OCEAN 3」及び「CKYHE」が存在していた。各アライアンスが再編されて、2017年4月に「オーシャン・アライアンス」と日本企業が加入する「ザ・アライアンス“THE Alliance”」が結成され、サービスを始動した。 邦船3社の統合新会社が加盟する「ザ・アライアンス」は、航路のマイナーチェンジを発表した。同連合は、約240隻のコンテナ船を運航し、75港を超える直接寄港地、32サービスによる広範なネットワークを組成する。そのうちは、東京港に寄港するのは6サービスで、1サービス当たり1回か2回の寄港になる。具体的には、アジア/北欧州航路が1サービス(1回のみ)、アジア/北米西岸航路が4サービス(1サービスが1回、3サービスが2回)、アジア/北米東岸航路が1サービス(2回)である。 (2) 邦船3社のコンテナ船事業の収益 邦船3社は、コンテナ事業を主体に構造改革に関連する特別損失が発生し、当期純損失の合算額が2016年3月期に△2,037億円、2017年3月期に△4,000億円に上った。2018年3月期は、3社とも黒字転換を予想し、経常利益を730億円、親会社株主に帰属する当期純利益を315億円と予想している。コンテナ船事業は、多くの主要航路において運賃の歴史的低水準が長期化したため、保有する全船舶の帳簿価格を将来回収可能な水準まで減損し、余剰船舶を一部売船した。商船三井の2017年3月期のコンテナ事業の売上高は3社中最大となるが、経常損失も最も大きい328億円となった。しかし、荷動きが活発になり、運賃水準も回復したことから、2018年3月期における3社の定期船事業もしくはコンテナ船事業の経常利益合計額は、前期の△770億円から期初予想で△25億円へ、第2四半期決算発表時には80億円の黒字予想に修正された。日本郵船が135億円、川崎汽船は90億円の経常利益を見込んでいる。商船三井は、△145億円の経常損失の予想だが、期初予想の△215億円からは改善する方向にある。事業統合によるシナジー効果は、スケールメリットとコスト削減により年間1,100億円を見込んでいる。 (3) 日本海運3社がコンテナ船事業の共同出資会社を設立へ 同社港湾事業の主要顧客である商船三井は、日本郵船並びに川崎汽船と定期コンテナ船事業の統合を決めた。船隊規模は約140万TEU(20フィート・コンテナ換算)となり、世界シェアは約7%と6位に上昇し、売上高は約2兆円となる。2017年7月に、共同出資会社「OCEAN NETWORK EXPRESS(ONE)」が設立された。合弁企業への出資額は現物出資を含め約3,000億円で、出資比率は日本郵船が38%、商船三井と川崎汽船が各31%となる。8月にはベストプラクティスを結集した基幹システムの構築を完了。より効率的な資金管理のため、グローバル・キャッシュ・マネジメントシステムの採用を決定している。2017年10月より営業を始め、2018年2月に予定しているブッキング受付に向けたトレーニングを世界各地で開始した。独禁法関係では、南アフリカ共和国を除き、統合事業に必要な手続きを完了している。既に、2018年4月以降に発効する年間契約などについて、顧客の入札スケジュールに合わせて順次応札を始めている。2018年4月から新会社としてのサービスをスタートする。 統合新会社は、全体のガバナンスを担う組織となる持株会社「オーシャン ネットワーク エクスプレス ホールディングス株式会社」を日本に置く。同社の会長には商船三井出身者が就任し、川崎汽船と日本郵船出身者が副会長となった。事業運営は、シンガポールのOcean Network Express Pte. Ltd.が担い、日本郵船のジェラミー・ニクソン氏がCEOに就いた。また、各地域の事業を統括する会社を、香港、シンガポール、英国、米国、ブラジルに設けた。 邦船3社のコンテナ船事業統合による同社への影響を推測することは難しい。2018年3月期中は、大きな変化はないもようだ。商船三井の場合、東京港の貨物取扱量は全世界の1割に満たない。東京港大井ふ頭のコンテナターミナルは、川崎汽船が1−2号バース、商船三井が3−4号、日本郵船が6−7号を使用している。コンテナ船事業の再編は、海外から始まり、その進展を見てから国内事業を検討すると思われる。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健) 《MH》
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時価総額 31,413百万円
京浜港を中心に荷役を行う港運会社。重量物陸送やプラント建設なども。商船三井傘下。22.3期上期は港運や陸送の取扱量が回復。工事損失引当金も減り、計画を上回る増収増益に。通期でも利益反発の見込み。増配予定。 記:2021/11/18