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メディシノバ Research Memo(1):進行型多発性硬化症を適応とするP2b治験に成功

2017/11/28 15:00 FISCO
*15:00JST メディシノバ Research Memo(1):進行型多発性硬化症を適応とするP2b治験に成功 ■要約 メディシノバ<4875>(MediciNova,Inc.)は、2000年に設立された米国本社の創薬ベンチャーで、東証JASDAQと米NASDAQに株式を上場している。現在は米国を中心に事業活動を行っており、主にMN-166(以下、イブジラスト)、MN-001(以下、タイペルカスト)の2つの低分子化合物、8つのプログラムの開発を進めている。将来的に、開発品のライセンスアウトだけでなく、販売も行うグローバル製薬企業を目指している。 1. 進行型多発性硬化症を対象としたP2b治験のトップラインデータを発表 10月26日付で、進行型多発性硬化症を適応対象としたP2b治験のトップラインデータが発表された。同治験は米国で255人の被験者を対象に進められてきたもので、主要評価項目は、プラセボとの比較において脳萎縮抑制効果や、安全性及び認容性を評価するというもの。発表内容によれば、プラセボ群に対して脳萎縮の進行率を48%遅らせる効果があり、統計的有意差もp=0.04と目標を達成した。また、安全性や認容性についてもプラセボ群との差はなく良好であったとしている。今回の結果を受けて、同社では今後の開発方針を決定していくことになるが、グローバル製薬企業を目指していることから、自社でP3治験を進めていく可能性もあるとしている。P3の治験費用は被験者数にもよるが、1,000人程度と仮定すれば概算で100億円を上回る規模になることが想定される。進行型多発性硬化症は白人に多く発症する疾患で、患者数は全世界で230万人超と多く、潜在的な市場規模は190億ドルを超えると言われている。現在、有効な治療薬が無いこともあり、今後の動向が注目される。 2. ALS及び覚せい剤依存症を対象としたP2治験結果も発表予定 イブジラストについては、筋萎縮性側索硬化症(以下、ALS)及び覚せい剤依存症を対象としたP2治験の結果もそれぞれ2017年12月上旬、2018年第1四半期(1月-3月)に発表される予定となっている。ALSに関しては運動機能の変化を評価する治験で、前向きな評価が成されればP2b治験に進むものと思われる。ALS治療薬の市場規模は米国だけで10億ドルを超える規模となる。一方、覚せい剤依存症の治験では100名を超える被験者を対象にプラセボとの比較試験を実施、治験期間(12週間)のうち最後の2週間においてメタンフェタミン(覚せい剤)の使用有無を尿検査で確認するというもの。薬物依存は脳内にあるグリア細胞※1の一種であるアストロサイトの異常活性が関与していると言われており、イブジラストはこの異常活性を抑制する効果が確認されている。薬物依存症については、トランプ大統領が2017年10月25日にオピオイド(鎮痛剤)の乱用による社会問題が深刻化するなか非常事態宣言を行い、その対策に本格的に乗り出すなど今後、注目度が高まると見られる。その他、新たにグリオブラストーマ(神経膠芽腫)※2を適応対象とした動物治験で延命効果が確認されたことで、同領域を対象とした治験の準備も進めている。 ※1 グリア細胞…神経膠細胞とも呼ばれ、神経系を構成する神経細胞以外の細胞の総称。周辺組織の恒常性を維持する役割を果たす。アストロサイトは中枢神経系に存在するグリア細胞の一種。 ※2 グリオブラストーマ…脳腫瘍の中でも最も悪性度の高い腫瘍で、5年生存率は3〜6%。 3. タイペルカストは2本のパイプラインでP2治験を実施中 タイペルカストについては、非アルコール性脂肪性肝炎(以下、NASH)や特発性肺線維症(以下、IPF)を対象としたP2治験が現在行われており、順調に進めば2018年中に治験が終了する見込みとなっている。NASH治療薬については米国市場だけで2020年に16億ドル、2025年に400億ドルに達し、また、IPF治療薬は2025年に30億ドルの市場規模に達すると調査会社で予測されており、いずれも開発に成功すれば大きな収益を獲得できる可能性がある。ただ、同社では財務面からイブジラスト、タイペルカストの両方を自力で開発していくことは考えておらず、いずれかをライセンスアウトしていく方針としている。 4. 開発ステージが続くため、当面は費用が先行する見通し 同社はまだ開発ステージのため、業績については損失が続く見通しだ。2017年12月期は営業損失で12,654千ドル(前期は10,881千ドルの損失)を見込んでいる。当第3四半期累計の営業損失は9,620千ドル(前年同期は9,441千ドルの損失)とおおむね計画どおりの進捗となっている。2017年9月末の現預金は24,535千ドルとなっており、2年程度の事業資金は確保しているが、今後も治験費用等の事業資金は米NASDAQ市場でエクイティファイナンスを行い、資金調達していくものと考えられる。 Key Points ・進行性多発型硬化症のP2b治験で2つの主要評価項目を達成 ・イブジラスト、タイペルカストのいずれか1つは単独で上市を目指していく方針 ・事業活動資金は米NASDAQ市場で調達 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《TN》
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時価総額 7,176百万円
米国拠点のバイオベンチャー。日本の製薬会社から導入した新薬候補を臨床開発し、欧米で上市を推進。1件の臨床開発マイルストーンを達成。研究開発及びパテント費の減少等により、23.12期通期は損益改善。 記:2024/04/15