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いちごグリーン Research Memo(2):史上初の10か年長期業績予想を可能にする高い安定性が特長

2017/10/5 15:12 FISCO
*15:12JST いちごグリーン Research Memo(2):史上初の10か年長期業績予想を可能にする高い安定性が特長 ■概要 1. いちごグリーンの概要 いちごグリーンインフラ投資法人<9282>は、既存不動産に新たな価値を創造する心築(しんちく)事業・アセットマネジメント事業・クリーンエネルギー事業を主力とするいちごをスポンサーとし、いちご投資顧問に資産運用を委託し、いちごECOエナジーをオペレーターとする再生可能エネルギー発電設備を対象に投資するインフラ投資法人である。2016年6月に設立され、2016年12月に東証インフラファンド市場に上場した。決算期は年1回(6月)である。 スポンサーのいちごは、当期純利益14,894百万円(2017年2月期)、総資産273,459百万円(同)に達する総合不動産会社である。心築ノウハウをコアコンピタンスとし、保有不動産の賃貸損益(ストック)と譲渡損益(フロー)をバランスよく成長させてきた。2010年に持株会社制に移行し、2011年にJ-REITに参入、2012年11月にクリーンエネルギー事業にも参入している。2015年11月には新たにホテルリートを上場させ、総合不動産サービスを発展させている。2015年11月に東証1部に昇格、2016年8月にはJPX日経インデックス400の構成銘柄に選定されている。 2. 再生可能エネルギーの事業モデル 太陽光や風力等の再生可能エネルギーには固定価格買取制度(Feed-In-Tariff、FIT制度)があり、一定の設備認定を受けた施設で発電された電気は、電力会社と接続契約締結の上、固定価格で買い取ることを国が約束する。一度適用された価格は太陽光の場合には原則として20年にわたって保証される。いちごグリーンの15発電所の売電価格の平均は38.7円/kWhであり、有利な時期に契約を締結していることがわかる。 3. いちごグリーンの特長 いちごグリーンの特長は、様々な取り組みを通じて業績の安定性を確実なものとし、安心して投資できる環境を整えていることである。主要な特長は以下の7つである。 (1) 地域分散投資 いちごグリーンの発電所は、北海道から沖縄まで全国各地に所在している。これは、ある地域で日照不足が発生しても、別の地域ではその影響を受けず、全体としてリスクを回避することができる。 (2) 一定の日射量から計算される売電収入を保証 いちごグリーンとオペレーターの契約には、発電所毎の日射量が極端に少なくなった場合にオペレーターが売電収入を最低保証する制度が設けられている。具体的には、100年のうち85年は達成可能な日射量を下回るような日射量不足が起こった場合に、このスキームが適用される。また、各発電所は火災保険、利益保険、損害賠償保険を付保しているほか、必要に応じて地震保険も付保しており、何重にもリスク回避策が取られている。 (3) 建築のプロによる堅固な発電所 いちごには一級建築士など建築のプロが多く所属しており、太陽光発電所の設計に当たってもグループのノウハウを活用し、気候や地形に対応したきめ細かい個別設計により高い発電効率を獲得している。例えば北海道では、積雪対応のために架台を高くし、パネル角度を30度(通常平地で10度)にする。沖縄では、台風対応のために、綿密な荷重計算を行い、最大風速60mの強風に耐えられる設計にする。いちご桐生奥沢ECO発電所においては、国際的な第三者検査機関であるテュフラインランドジャパン(株)の総合認証取得(国内第2号)を取得し、その高い信頼性が評価された。 (4) 統合監視システムによる発電ロスの最小化 太陽光発電所のオペレーションおよびメンテナンスの要諦は、故障したパネルを早期に発見し対策を講じることにより、発電ロスを最小化することである。一方で、1MW規模の発電所には4,000枚以上のパネルが設置されており、緻密な管理には労力がかかる。いちごグリーンでは、欧州で導入が進むストリング監視システム(直列の18枚程度のパネル列を管理する仕組み)を導入し、リアルタイムで各発電所の稼働状況および故障や劣化の状況が把握しており、発電ロスが最小化されている。 (5) 投資主への還元策 いちごグリーンの強みは、発電から得られる安定した現金収入(FFO)にある。但し、保有する資産の大半が発電設備であることから、毎期、減価償却費として費用が計上され、営業利益が減少する。この減価償却費は会計上の費用であり、実際には現金支出を伴わないことから、いちごグリーンの手元資金として残ることになる。いちごグリーンでは、この資金の約40%程度を目処に投資主に積極的に還元する方針としており、これが利益超過分配金として、投資主に分配される。この投資主への還元策もいちごグリーンの大きな特長のひとつである。 (6) 10か年長期業績予想(史上初) いちごグリーンでは、インフラ投資法人固有の安定性(FIT制度による売電価格の確定など)とともに、様々な安定的な運用を可能にする取り組み(前述のオペレーターによる保証制度など)により、向こう10年の長期業績予想を公開している。2017年6月に修正された10年予想では、2018年6月期に巡航分配に達し、創業費用等の償却を終える2023年6月期に分配金はピークに達し、その後は発電効率が年々わずかずつ下がっていくという予想である。この予想は現状(15発電所体制)を継続した場合のもので、言わば現状維持シナリオである。実際には数倍以上の発電所を所有する投資法人への成長を目指しており、都度計画は修正されることになるだろう。いずれにしろ、10か年の業績予想の公開は史上初であり、その業績の安定性への自信がうかがえる。 (7) リアルタイム発電開示による高い透明性 いちごグリーンは、個々の発電所の発電量、CO2削減量、Webカメラによる現地の様子をホームページでリアルタイムに公開している。発電量のリアルタイム開示は、売電収入のリアルタイム開示に等しく、月間の発電量においても、1か月の発電量を翌月3営業日前後に集計結果が開示される。世界トップクラスの透明性を確保することにより、安心して投資口を保有できる環境を整えているのもいちごグリーンの特長の1つだ。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫) 《HN》