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萩原工業 Research Memo(4):合成樹脂加工製品の製造・機械製品の販売で高収益のビジネスモデルを確立(2)

2017/7/13 17:10 FISCO
*17:10JST 萩原工業 Research Memo(4):合成樹脂加工製品の製造・機械製品の販売で高収益のビジネスモデルを確立(2) ■事業概要 4. 海外展開 創業後4年目で、フラットヤーン製造装置を輸出した。1976年にインドネシア国営肥料会社に製袋一貫大型プラントを供給した。1995年に、現地子会社「P.T.HAGIHARA WIHARTA INDONESIA(現P.T.HAGIHARA WESTJAVA INDUSTRIES)」を設立しており、合成樹脂加工製品事業に従事している。中国には、2002年に青島に合成樹脂加工製品事業を行う「青島萩原工業有限公司」を設立した。さらに、2005年に上海に機械の設計・部品調達・組立を行う子会社「萩華機械技術(上海)有限公司」を設けた。現在は、いずれも萩原工業<7856>の実質100%子会社になっている。上海子会社に新たに営業部署を設置するなど営業強化し、中国国内だけでなくフィリピンや台湾へテリトリーを拡大し、フィリピンでの受注に成功した。 2016年10月期の海外売上高は5,976百万円、構成比は26.6%に上がった。 海外向けは、競争力の強い製品をピンポイントで販売する戦略を取っている。代表的な製品として、タンクライナーがある。同製品は、貯水タンクの内側に貼るインナーシートになる。オーストラリアやアメリカでは、雨水、農業用水、工業用水の貯水のため、干ばつ地帯を中心に大型タンクを使用している。長年使用すると、錆が発生し劣化が進む。同社のタンクライナーを鉄製タンクの内側に貼ることで、タンク本体の劣化を防ぐことができる。競合の塩化ビニール製に比べて、同社製品はポリオレフィン系素材を使用しているため、軽くて強いという特長がある。オーストラリアに加え、今後は塩化ビニール製品が多く使われている北米市場での展開を拡大する。また、同市場では広大な耕地面積と収穫量のため、農業用シートでも大きな期待を持っている。 5. 戦略製品群 トップシェア、高い収益性、成長性などの観点から、戦略製品を選定する。現在は、「バルチップ」「粘着テープ原反」「その他高機能化製品」「フィルムスリッター」が相当する。全社の売上総利益率は28.0%(2016年10月期)だが、戦略製品群は30%超となり、同社の「金の成る木」(cash cow)になる。2016年10月期の戦略製品群の売上高構成比は、前期比2.1ポイント増の48.3%であった。2017年10月期の構成比は48.9%を見込んでいる。 (1) バルチップ−海外は大型案件が一段落、内需を伸ばす 「バルチップ」(BarChip)は、期待の戦略製品だ。同社が長年培ってきたプラスチック繊維延伸・製造技術から開発された、モルタル・コンクリート用ポリプロピレン補強繊維である。同社がバルチップを発売して20年以上経過したことから、参入者が出てきた。サプライヤーが増えることは、市場拡大を加速させるメリットがある。補強繊維(国内)市場では、同社が約7~8割の圧倒的なシェアを持つ。同社の強みは、コストアドバンテージ、太さの違うファイバーを持つ品ぞろえと用途開発などトータルメリットにある。 当初はアスベストの代替品として誕生し、1995年の発売以来、瓦、外壁材などの補強材として建築分野で実績を上げ、高い評価を得ている。製品の特徴は、少ない量で補強効果が得られる、はく離・はく落防止、曲げタフネスの向上、耐食性に優れるなどである。日本では、市場規模が建築と土木工事の割合が7:3であるが、バルチップの売上高では3:7と割合が逆転している。建築分野は、建築法や消防法が壁となり新工法の浸透を妨げている。特に、公共工事で、その傾向が著しい。しかし、繊維のJIS化、工法としての採用を目指し、建築分野への取り組みを強化している。 土木用では、オーストラリアの鉱山や日本の東京外環道路が知られている。オーストラリアの鉱山向けは、中国経済の成長率鈍化や資源価格の下落により、需要が減少傾向にある。一方、用途開発が進んでおり、民間建築や社会インフラ整備にも使用されるようになった。リオ五輪に関連した需要も取り込んでおり、今後は東京オリンピック関連のビジネスに期待している。鉄道の軌道用として枕木の高さ調整コンクリートの補強、コンクリート道路の補強、トンネル覆工用モルタル・コンクリートのはく落防止・ひび割れ抑制補強に使用されている。 2003年に、NEXCO(旧日本道路公団)の「トンネル施工管理要領」においてトンネル覆工コンクリート用補強繊維「パルチップJK」の使用が可能になった。コンクリートに添加した繊維の架橋効果により、コンクリート片の落下を防止し、第三者被害の予防に寄与することが確認された。 東京外環道路をはじめ首都圏を中心に交通プロジェクトが目白押しとなっており、バルチップの需要が旺盛だ。 日本では施工と施工後の開放時間が短い、排水性と静音性が良いなどの理由から、アスファルト舗装が圧倒的に多い。海外では、コンクリート舗装の長寿命を評価しており、中南米で普及しつつある。コンクリートのひび割れ抑制に、バルチップが使われる。 建築用途では、バルチップが土間床用コンクリートに使用されることで、わずらわしいワイヤーメッシュの設置が省略でき、コスト削減と工期短縮が図られる。工事現場の最優先事項は人手確保であり、バルチップを混入するメッシュレスコンクリートは省人化・省力化の点で評価が高い。 新製品「新(arata)」は、連糸形状の超繊維を使用する。コンクリートの爆裂を抑制する特性に優れ、航空機エンジンから噴射される高熱に対応するため、滑走路などの用途に適している。米国の基準をクリアーした。 (2) メルタッククロス − 全米最大のプロデュースバッグメーカーが採用 4年前に海外市場で発売し、昨年、全米最大のプロデュースバッグメーカーとの長期契約締結に成功した。オランダの大手食品用包装材会社とも取引が始まっている。要望に応えて試作を繰り返してきたため、顧客満足度が高まってきた。 欧米では一般的に使用されているプロデュースバッグは、フィルムとネットのコンボバッグで、通気性があることから、野菜や果実の新鮮さを保つのに適している。同社が提供するネットは、加工性能に優れる上、糸が細く、軽く柔らかいものの、強度が強く、糸目がずれないという特長を有する。また、豊富な色をそろえているため、中身の野菜や果実に応じてネット部の色を選ぶことができる。従来品は、同社製品と比べ、糸が太く、硬く、重い。同社製品は、特にオレンジやアボカドなどの表面に傷が付くことを嫌う果実に適している。 メルタッククロスは、延伸強化された複合ヤーンをタテヨコに使っており、タテ糸とヨコ糸が熱融着されているためズレやほつれが起こりにくい。同社の独自製造技術を使用していることから、まったく同じものを他社がつくることは難しい。売価は、競合先と同等レベルを提示した。まだ、量産を開始したばかりだが、今後、用途拡大を図り、生産量の拡大によりコストダウンを進める。同製品は、日常生活で大量に消費されるものに使用されることから、大きなポテンシャルがある。 (3) 機械製品事業 フラットヤーン製造技術を応用して、幅広い用途向けにスリッター(裁断機)を開発、製造・販売している。レジ用紙ロールのスリッター、偏光フィルムを裁断するスリッター、タッチパネル用フィルムのスリッターなどでトップシェアを持つ。リチウムイオン電池(LiB)のセパレータ用のスリッターも手掛ける。大気汚染に悩む中国は、プラグイン・ハイブリッドカー(PHV)や電気自動車(EV)などのエコカー普及のために補助金政策をとっており、同国内におけるリチウムイオン電池の生産増加、ひいてはセパレータ用スリッターの需要拡大が見込まれる。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健) 《HN》
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時価総額 21,736百万円
合成樹脂加工製品メーカー。ブルーシートで国内首位。スリッターなどの機械も。24.10期1Qは価格改定効果で合成樹脂加工品の採算が改善。前期苦戦の機械も上向く。収用補償金特益は剥落。通期二桁営業増益を計画。 記:2024/04/12