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アイビーシー Research Memo(11):「サービス品質の向上」を新たなビジョンとし、オンリーワン企業を目指す

2017/1/18 8:32 FISCO
*08:32JST アイビーシー Research Memo(11):「サービス品質の向上」を新たなビジョンとし、オンリーワン企業を目指す ■アイビーシー<3920>の中期成長戦略 (1)持続的成長を推進しながら顧客に求められるオンリーワン企業を目指す 従来掲げてきた「システム稼働品質の向上」を、さらに発展させて「サービス品質の向上」を新たなビジョンとし、持続的成長を推進しながら、顧客に求められる製品やサービスを提供するオンリーワン企業を目指している。またネットワーク性能監視ソフトウェア「System Answer G2」シリーズのブランディング及び認知度向上、情報システムインフラのライフサイクルに応じたコンサルティングサービスの積極展開による事業領域拡大、顧客満足度の向上とソリューション強化、人材の確保と育成強化なども推進する方針だ。 目標とする経営指標については、売上高及び利益の絶対額の成長とともに、高付加価値サービスの継続的提供の観点から、売上総利益率を経営指標として重視している。 そして中期成長に向けた事業戦略としては、アライアンスも活用したサービス領域拡大や成長分野進出、パートナー企業との連携強化による販売促進やサービス型販売促進、次期製品開発への取り組み(情報監視機能への対応)などを掲げている。 (2)サービス領域拡大 同社はアライアンスも積極活用してサービス領域拡大を推進している。 2016年3月には、統合ログ管理市場で豊富な実績を誇るインフォサイエンス(株)の「Logstorage」と連携して「System Answer G2 ログオプション」の提供を開始した。ログオプションが加わることによって性能情報とログ情報の統合管理を行うことが可能になり、障害予兆検知、障害時の迅速な調査、障害通知分析、セキュリティ証跡、事後のレポート作成など新たな付加価値を提供する。 同年4月には「System Answer G2」の追加機能として「System Answer G2 Quality Analyzer オプション」の提供を開始した。通信種類ごとの品質を継続的に可視化することで、品質低下の予兆検知が可能になる。また影響のあるユーザーやアプリケーションの特定に大きな効果があるため、問題発生時の原因分析工数を大幅に削減することが可能になる。 また同月には(株)アットマークテクノとIoT(Internet of Things)を活用した製造ラインの統合管理ソリューションで協業した。IoT取り組みの第1弾としてアットマークテクノのIoTゲートウェイ「Armadillo-IoT」と連携し、より統合的な状態・性能監視を提供する。 5月にはNRIセキュアテクノロジーズ(株)とセキュリティソリューション連携による協業を開始した。NRIセキュアテクノロジーズのアクセス管理製品の販売を開始するとともに、ネットワーク診断ノウハウを活かしたセキュリティコンサルティングサービスを提供する。 8月にはマネージドサービス強化を目的に(株)スカイアーチネットワークスと協業開始した。スカイアーチネットワークスが提供するマネージドサービスのサーバーモニタリングサービスの利用者に対して「System Answer G2」を活用したレポーティングサービスを提供する。Webサービスの品質把握や予兆保全、キャパシティ計画への活用が可能となる。 9月にはアプリケーションパフォーマンス管理分野で「Dynatrace」の国内総販売元であるラック<3857>と提携して「Dynatrace」の販売を開始した。「Dynatrace」と「System Answer」シリーズを連携し、ネットワークインフラの性能情報とアプリケーションのトランザクションを可視化する。アプリケーションパフォーマンス管理市場へ参入し、金融やエンターテインメント業界などを中心に連携ソリューションを提供する。 11月には「System Answer」シリーズと日本アイ・ビー・エム(株)がエンタープライズ向けに提供するIBMクラウドを組み合わせて、企業のハイブリッドクラウドへの展開を支援するため、エンタープライズ領域のビジネス拡大に向けた技術検証を実施したと発表している。エンタープライズで特に需要の高いBCP(事業継続計画:Business Continuity Plan)対策やDR(災害復旧:Disaster Recovery)対策、及びセキュリティ対策についての有効性を確認した。 また同月にはエンタープライズのマルチクラウド展開を支援する新サービスとして、特化型クラウドインテグレーションサービス「Specific Cloud Integration(SCI)」の提供を開始した。昨今のクラウドサービス普及により、クラウド環境構築の選択肢が大幅に増えたことで、自社に適した利用形態やサービス事業者を選択するには幅広い知識と経験が必要になっている。このためSCIでは、特定のベンダーに依存せず、数多く存在するクラウド基盤、インテグレーター、アダプターの中から顧客ごとの環境に最適なマルチクラウド環境を選択して提供する。導入前コンサルティングからクラウド環境構築、運用監視、セキュリティまでのITシステムのライフサイクルを一元的に提供する。 さらに同月には(株)リンクとの協業によるベアメタル型クラウドサービス「SCIクラウド」の販売を開始した。リンクが提供するクラウドサービス「ベアメタル型アプリプラットフォーム」のOEM提供を受け、特化型クラウドインテグレーションサービス「SCI」のクラウド基盤の一つとして「SCIクラウド」を販売する。 なお同月、アマゾンウェブサービス(AWS)のパートナープログラムである「AWSパートナーネットワーク(APN)テクノロジーパートナー」に認定された。 (3)成長分野進出 成長分野への進出では、IoT(Internet of Things)、ブロックチェーン(分散型台帳技術)分野への展開姿勢を強めている。さらにAI(人工知能:Artificial Intelligence)分野への展開も視野にあるようだ。 2016年7月、iBeed(株)を完全子会社化した。ブロックチェーンなどの技術開発を目的として(株)Skeedと2016年4月に合弁で設立したが、両社がそれぞれ独自の経営方針に基づいて事業展開していくことで一致したため合弁を解消し、iBeedの全株式を取得して完全子会社化した。 8月にはブロックチェーン技術専門企業であるコンセンサス・ベイス(株)と、ブロックチェーン分野で業務提携した。より進んだ業務提携の形として、資本提携も視野に入れブロックチェーン事業を推進する方針だ。 (4)パートナー企業との連携強化及びサービス型販売の促進 パートナー企業との連携強化では、今後の需要拡大が予想される官公庁や自治体などの公共系システム案件や大企業案件向けを中心に、自社単独販売だけでなく多くの有力パートナー企業との連携を強化して、同社製品を組み込んだトータルソリューションをパートナー企業と一体となって提供していく方針だ。 サービス型販売の促進では、必ずしも自社ブランドでの販売にこだわることなく、販売先の要求やパートナー企業の戦略に柔軟に対応し、SaaS型や運用サービス型など多様なビジネスモデルによってソリューションを展開することで、販路の更なる拡大を図る方針だ。 2015年6月には、ITホールディングス(株)グループのTIS<3626>が提供するSaaS型性能監視サービスに「System Answer G2」が採用された。新たにSaaS型サービスとして提供することで、手軽な導入と低コストでの性能監視を実現する。 同年10月には、TISが提供するITインフラ管理・運用支援マネージドサービス「MOTHER」の性能分析サービスに「System Answer G2」が採用された。TISは性能監視システムとして「System Answer G2」を数多く導入してきたが、これはマネージドサービスのコンポーネントの1つとして新たに提供された。 また同月には(株)ネットフォースと連携して、「System Answer G2」の保守サービスを24時間365日体制で提供開始した。夜間・休日を問わずネットワークシステムの監視及び安定稼働維持の必要性が高まっているため、累計1万台以上のサーバー運用実績を誇り、データセンター運用保守サービスを24時間365日体制で提供するネットフォースの協力を得て、顧客満足度向上や新規顧客獲得につなげる方針だ。 (5)「情報監視」機能を備えた次期製品は2017年4月中旬販売開始予定 次期製品の開発に向けた取り組みも重要課題としている。同社製品は創業以来、システムが正しく動いているかどうかを監視し、問題が発生した際にどこで発生したのかを検知・把握する「死活監視」「状態監視」のための「保守ツール」から、性能上問題がないかどうかを分析し、障害が発生する前に問題点を検知して適切な対処を施す「性能監視」のための「収集ツール」へと発展してきた。 そして今後は、コンピュータやネットワークシステムを維持・改善するための根拠ある「判断ツール」として活用できる「情報監視」機能を備えた製品が求められると考えている。 情報監視とは、コンピュータやネットワークシステム運用時に発生する数々の問題を、的確に判断するための情報や根拠をいち早く把握するための監視手法である。具体的には、機器の履歴管理、高負荷時の影響度把握、監視の見落とし防止、派生アラートの集約、監視の自動化、仮想化監視機能の強化、API機能(自動レポーティング機能、外部プログラム連携機能)の強化などを取り入れた付加価値の高い後継製品の開発に取り組んでいる。 そして2016年12月に「System Answer」シリーズ後継製品のロードマップを発表した。後継製品のコンセプトは「性能監視から情報監視へ」として、監視機能の自動化、監視の見落とし防止、派生アラートの集約、仮想化監視機能の強化、IPMI(Intelligent Platform Management Interface)によるハードウェア監視、動的しきい値(ベースライン)監視の強化などの機能が盛り込まれている。また監視システム自体の構成として、監視エンジンの自動負荷分散、データベースの冗長構成、アラートのリアルタイム処理などの新機能が実装される。これまでの性能監視からさらに高度な情報監視へと発展することにより、監視対象を個別の機器からネットワークシステム全体に広げることが可能になる。 なおロードマップは、2016年12月にβ版、2017年1月に某データセンターにてβ版の実証テスト開始、2017年4月上旬に詳細情報を公開し、2017年4月中旬に販売開始予定としている。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展) 《TN》
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