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イグニス Research Memo(3):第4四半期会計期間の売上高は過去最高
2016/12/27 17:13
FISCO
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*17:13JST イグニス Research Memo(3):第4四半期会計期間の売上高は過去最高 ■決算動向 (1) 2016年9月期の業績 イグニス<
3689
>の2016年9月期の業績は、売上高が前期比130.9%増の5,585百万円、営業利益が1,474百万円(前期は38百万円の損失)、経常利益が1,465百万円(同148百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益が1,087百万円(同306百万円の損失)と、4度の増額修正を伴う大幅な増収により黒字転換を実現した。特に、第4四半期会計期間の売上高は過去最高(四半期ベース)を更新しており、業績が一旦後退した前期からのV字回復を果たしたと言える。 売上高は、「ぼくとドラゴン」が年間を通じて好調を維持したことで「ネイティブソーシャルゲーム」が大きく拡大し、業績の伸びをけん引した。一方、中・大規模アプリの開発へシフトを進めている「無料ネイティブアプリ」はわずかに減収となったが、第4四半期会計期間だけを取り上げると、前年同期比及び前四半期比で大きく伸びてきており、いよいよ新たな成長軸が立ち上がってきた。 損益面では、「ぼくとドラゴン」にかかる広告宣伝費及びプラットフォーム手数料の増加により販管費が大きく拡大したが、増収により吸収したことで大幅な増益となり、売上高の落ち込みや先行費用により営業損失に陥った前期からの黒字転換を果たした。また、関連会社(M.T.Burn)株式の売却益(590百万円)を特別利益に計上した一方、純投資先(ゲーム開発会社)に対する投資有価証券評価損(122百万円)及び貸倒引当金(50百万円)を特別損失として計上している。 なお、当初計画から売上高、利益ともに大きく上回る結果となったのは、売上高については、「ぼくとドラゴン」が想定よりも高い水準で好調に推移したことが要因である。また、利益については、テレビCMの全国放映を見合わせたことが大きく影響した。したがって、言い換えれば、効率的な広告宣伝を展開したことにより、費用をかけずに売上高を伸ばすことができたという見方ができる。 貸借対照表の状況については、売上高の拡大や関連会社(M.T.Burn)株式の売却による「現金及び預金」の増加や、U-NOTEの買収に伴う「のれん」の増加、ネイティブソーシャルゲームの追加開発に伴う「ソフトウェア」の増加により総資産が4,332 百万円(前期末比120.3%増)に大きく拡大した。一方、自己資本も内部留保の積み増しにより2,431百万円(前期末比96.8%増)に拡大したが、自己資本比率は56.1%(前期末は62.8%)に低下した。また、有利子負債は長期借入金を中心に523百万円(前期末比260.9%増)に拡大しているが、流動比率は220.0%の高い水準にあり財務の安定性に懸念はない。 事業別の業績及び活動実績は以下のとおりである。 a)「無料ネイティブアプリ」の売上高は前期比1.7%減の753百万円とわずかに減収となった。前期から取り組んでいる収益構造改革を進めるなかで、注力する更新型アプリの収益貢献が下期まで開始されなかったことから減収となったが、第4四半期会計期間だけを取り上げると260百万円(前年同期比37.0%増、前四半期比50.5%増)と大きく伸びている。2本目の収益の柱として期待される「with」が立ち上がってきたことと、「U-NOTE」の急速な拡大に成功したことが要因である。 「with」は、2016年3月にiOS版をリリースして以来、国内SNSの売上ランキングが順調に上昇しており、後発参入であるものの、登録会員数で業界3番手グループ※にまで伸びてきた。同社独自の心理学及び統計学的アプローチが差別化要因となっていると言える。また、「U-NOTE」についても、同社が培ってきた広告展開におけるノウハウを注入したことにより足元で大きく伸びている。特に、若手ビジネスパーソンにターゲットを絞ったことにより、20代から30代男性向けの広告が好調のようだ。 ※Facebook認証型の婚活サービス上位には、「Pairs」、「Omiai」、「ゼクシィ恋結び」などが存在する。 b)「ネイティブソーシャルゲーム」の売上高は前期比192.5%増の4,832百万円と大きく伸びた。2015年5月にリリースした「ぼくとドラゴン」が年間を通じて好調に推移した。定期的なオリジナルイベントに加え、人気コンテンツとのコラボイベントを実施したことが奏功した。とりわけ、「進撃の巨人」とのコラボイベントでは、開催期間中の売上ランキングがiOSで最高15位を達成するなど盛況であった。Android版でも売上ランキングで40位前後に定着しており、持続的な伸びを実現することで、ロングセラーゲームとして長期的な収益貢献に向けた基盤が確立されてきた。また、新規ユーザー獲得についても、コラボイベントなど有効なチャネル施策により効率的に行えることが実証されたことから、テレビCM等のマス広告は当面見合わせることとし、今後ともイベント実施等に注力して売上拡大を目指す方針である。 (2)四半期業績推移 2014年9月期第1四半期からの四半期業績推移を見ると、売上高は中・大規模アプリへの転換期となった2015年9月期の第1四半期から第2四半期に大きく落ち込んだが、第3四半期に順調に立ち上がった「ぼくとドラゴン」(ネイティブソーシャルゲーム)が同社の業績の伸びをけん引する形で、再び成長軌道に乗り始めたことが分かる。2016年9月期の第4四半期は過去最高の売上高(四半期ベース)を更新した。 なお、「ぼくとドラゴン」は2015年9月期の第4四半期に大きく伸びたが、その後は好調を維持しながら安定的に推移するとともに、2016年9月期の第3四半期以降は再び着実な伸びを示している。また、第4四半期は、「with」や「U-NOTE」による業績寄与も上乗せ要因となった。 損益面では、2015年9月期の第3四半期以降、「ぼくとドラゴン」にかかる広告宣伝費及びプラットフォーム手数料が大きく増加している。これらは売上拡大に連動した費用として捉えるのが妥当である。なお、2016年9月期の第3四半期以降、本格的なテレビCMは当面見送りとしたものの、「ぼくとドラゴン」を中心とした既存事業のステップアップの時期と位置付け、ネットを中心とした重点的な広告展開を実施している。また、開発スタッフを中心とした人件費は2014年9月期の第4四半期に先行投資的に大きく拡大したものの、その後は落ち着いた動きをしており、戦略的な投資をしている広告宣伝費を含め、コストコントロールはうまく機能しているものと評価できる。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫) 《TN》
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