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ダイナムジャパンHD Research Memo(2):縮小する市場で同社の存在感が増す

2016/12/26 15:04 FISCO
*15:04JST ダイナムジャパンHD Research Memo(2):縮小する市場で同社の存在感が増す ■パチンコホール業界の現状 ダイナムジャパンホールディングス<06889/HK>が属するパチンコホール業界については、現状3つの問題がある。すなわち、1)市場の縮小トレンド、2)小規模分散型の市場構造、3)規制強化の動き、の3点だ。一般論として言えばこうした問題点はパチンコホール事業にとってはマイナス要因でしかない。一般に、事業環境が厳しくなると淘汰の動きが強まり、経営力や体力に優れた事業者にとっては、逆に成長のチャンスとなる。これはパチンコホール業界でも同様だ。同社は、厳しい環境を自社の成長エネルギーに転化できる数少ない企業の1つというのが弊社の理解だ。同社の今後の成長戦略を理解するうえでも、業界環境の正確な理解は不可欠だと考えている。 (1)縮小が続くパチンコホール業界 パチンコ・パチスロの参加人口は2013年に970万人にまで落ち込んだのち、2014年と2015年は1,000万人台を回復し、下げ止まり傾向が見える。しかし市場規模(パチンコホールのグロス売上高に相当する“貸玉収入”の総額)は、2015年は23兆2,290億円となり、前年から5.2%減少した。 市場規模の縮小が続くことを反映し、全国のパチンコ・パチスロの店舗数もまた、減少が続いている。ここ数年は年間200~300店のペースで減少が続いており、2015年12月時点では1年前から317店減少して11,310店となった(警察庁データ)。これは過去20年で最低の数値であり、いずれ1万店を割り込むという見方もある。 パチンコ市場の縮小の原因は時代によっても異なるが、ここ数年はスマートフォンの影響が大きいとみられている。余暇時間をパチンコで消費していた層が、スマートフォンで時間を消費するようになったということだ。また、若年層を主体とする新規ユーザーの取り込みにおいても、スマートフォンの普及が影響を及ぼしているとみられる。その結果、参加人口が減少し、市場規模の低下へとつながっているとみられる。 経済情勢や規制もまた、パチンコホール業界にとってはマイナス影響を及ぼす。2014年4月の消費税引き上げでは、夏場に急速に客足が落ちたことは記憶に新しい。2015年秋からは射幸性について規制が強化され、射幸性の高い機種が減少していく流れとなっている。これもまた、客足にはマイナス要因となると懸念されている(詳細は後述)。 (2)小規模分散型の市場構造 前述のように、パチンコ・パチスロの店舗数は、20年前の18,000店以上の水準から2015年末には11,310店にまで減少した。そうした状況にあってもなお、パチンコホール事業者は3,600社近くが存在している。その保有店舗数内訳を見ると、20店舗以上を運営する企業は全体のわずか1.3%にとどまり、81.7%は1~3店舗を運営する小規模企業となっている。 業界環境が厳しくなると、体力のない小規模企業から淘汰されていくと考えられ、その過程ではM&Aの動きが活発化すると予想される。しかし、上記のような業界構造を考えると、受け皿と期待される大手企業の数が非常に少ないということがわかる。加えて、パチンコホール業界は他の業種と異なり、上場企業が非常に少ないという特徴がある。これは資金調達面では極めて不利な状況だ。 (3)規制強化 パチンコ業界は機械メーカーからホール運営企業まで、監督官庁や業界団体から、様々な規制を受けている。パチンコホール業界にあっては、現在は、射幸性を抑制する取り組みが行われている。 射幸性は機種ごとの大当たりの確率で表現され、確率が低い機種のほうが大当たりの際の出玉数が多くなる。現状は確率別に大きく、1/100タイプ、1/200タイプ、1/300タイプ、1/400タイプ(MAX機とも呼ぶ)の4種に分かれており、1/400タイプが最も射幸性が高い機種となっている。現在進められている取り組みは、この1/400タイプや1/300タイプを徐々に減少させていくというものだ。大当たり確率の下限は現在の1/400から1/320へと引き上げられ、2015年11月以降は1/400タイプは新台として導入できなくなっている。これに加えて、検定機と性能の異なる可能性のあるパチンコ機の回収(パチンコホールからの撤去)が進められている。撤去リストには、1/400タイプや1/300タイプの高射幸性の機種も多く、高射幸機の減少ペースを加速させている。 パチンコホールの経営という視点から見ると、最も収益性が高いのは現状では1/400タイプであり、射幸性が高いほど収益性が高いということができる。現在進められている射幸性についての規制強化は、高射幸機を求めるファンの来店数の減少と、パチンコ機の機種ミックスの悪化とが、重層的にパチンコホールの経営に影響を及ぼすことが懸念される。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之) 《TN》