*16:03JST アップル Research Memo(1):“FORWARD THE FUTURE”を着実に
アップルインターナショナル<2788>は、中古車輸出のパイオニアとして1996年に東南アジア諸国への中古車輸出事業を開始した。以来、東南アジア諸国の現地海外ディーラーを通じてクルマ社会の発展に貢献し、広く社会からの信頼を築き上げてきた。同社は、2003年12月に東京証券取引所マザーズ市場に上場し、2015年5月に市場第2部に変更となっている。
現在の事業は、中古車輸出事業と日本国内における中古車買取・販売事業の2本柱で構成される。車買取専門店のフランチャイズチェーンである「アップル」の加盟店舗数は、2015年12月期末で238店舗となった。2015年のオリコン日本顧客満足度ランキング「車買取会社」部門で、アップルは2年連続して第1位を獲得した。
2004年より欧州車を中心とした新車ディーラー業務を開始した中国事業は、2009年12月期に売上高が270億円へ拡大した。しかし、2008年のリーマンショックなどを契機に事業環境が大きく変わった。2013年に、創業者でありオーナーの久保和喜(くぼよしのぶ)氏が会長兼社長に復帰。売上規模から利益追求へ体質を転換する改革に取り組み、中国関連事業の売却、撤退を行った。2016年2月に債務保証をしていた日本子会社の全株式を売却したことから、グループ再編は実質上終了した。コーポレートスローガンの“FORWARD THE FUTURE”を掲げた。
2015年12月期の業績は、中国事業が連結対象から外れたため、連結売上高は前期比37.5%減の25,460百万円となった。整備保証を付けるなど中古車輸出事業の付加価値を高めたことから、営業利益は前期比2.4倍の1,322百万円となった。経常利益は、黒字に転換し、1,339百万円と12期ぶりに過去最高益を更新した。
2016年12月期第2四半期は、為替が6月に1米ドル当たり100円割れと2013年11月以来の円高となり、海外輸出事業に打撃を与えた。主要輸出先のタイでは、年頭から自動車物品税の増税があり、市場が混乱した。2Q実績は売上高が前年同期比37.9%減の6,878百万円、経常利益が同52.2%減の203百万円と期初予想をそれぞれ29.0%、62.9%下回った。通期予想が据え置かれたのは輸出先の規定が不透明なためであり、状況が明確になった時点で見直すことになろう。
今後の成長戦略として、タイをハブとして中古車輸出事業の拡大を図る。2015年末にASEAN経済共同体(AEC)が設立・始動したことで、域内の物・金・人・サービスなどの移動が活発化することが期待される。タイは、1トンピックアップトラックの一大生産拠点となっており、同社は“メイド・バイ・ジャパン”の中古車輸出にも注力する。また、タイの合弁会社である“Apple Auto Auction”は、同国のオートオークション市場でトップクラスになっている。タイで築いた資産や知見を活用して、近隣諸国でも同様のビジネスモデルを展開する計画でいる。
■Check Point
・中国事業撤退により、リスクを排除、財務安全性を回復
・成長戦略はタイをハブ拠点とした事業展開
・2016年12月期2Qは一時的要因で大幅減収減益
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
《HN》