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ヒマラヤ Research Memo(7):既存店売上高は暖冬の影響で3社とも前年同月比をやや下回る

2016/5/9 15:42 FISCO
*15:42JST ヒマラヤ Research Memo(7):既存店売上高は暖冬の影響で3社とも前年同月比をやや下回る ■同業他社比較 スポーツ用品小売で同業大手のゼビオホールディングス<8281>、アルペン<3028>との直近の経営数値の比較をまとめてみた。 まず、既存店売上高の前年同月比伸び率推移を見ると、2015年11月以降は記録的な暖冬の影響により、3社とも前年同月をやや下回る水準で推移している。なかでもヒマラヤ<7514>の減少率は他社よりやや大きくなっている。この要因としては、商品販売戦略の違いによるものと弊社では考えている。同社は前述したように適時適量仕入によるきめ細かい在庫コントロールとプロパー販売に注力しており、バーゲン販売を極力抑える取り組みを進めてきた。このため、価格にセンシティブな消費者層が他社に流れたと見ることができる。ただ、従来よりもバーゲン販売が減ったため、在庫処分による売上総利益率の悪化も最小限で食い止めたとも見て取れる。また、売場面積については3社ともに出店数の増加に伴い拡大傾向が続いているが、同社の拡大ペースは大手2社と比較して若干緩やかなペースとなっている。 収益性について比較すると、売上総利益率は3社の中でアルペンが40%台と最も高く、ゼビオ、同社がほぼ同水準で推移している。ただ、アルペン、ゼビオに関してはその他事業(クレジットカード事業等)が含まれている影響で、総利益率は1ポイント前後かさ上げされた格好となっている。同社の売上総利益率は、2014年前半まで大手2社と開きがあったが、これは売上規模の違い(大手2社の売上高は2,000億円超と同社の3倍弱の水準)による仕入価格交渉力の差や、PB商品の売上構成比の違い(同社が約13%、他2社は20~30%)が要因と考えられる。ただ、前述したように適時適量仕入やプロパー販売力の強化によって、2014年後半以降はその差も縮小傾向となっている。2016年1月−3月については、同社の利益率が大きく落ち込んでいるが、これは同社の第2四半期が2015年12月−2016年2月と暖冬によるマイナスの影響を最も受けた期間に当たったためだ。アルペンとゼビオの1月−3月期の決算発表はこれからだが、状況としてはほぼ同様の傾向になっているとみられる。 在庫回転率(売上原価÷期中平均在庫)を見ると、新規出店用の在庫積み増しや売上高の季節変動要因などにより、同社の場合は四半期ごとにバラつきが出るものの、平均で見ればゼビオと同社がほぼ同水準で、アルペンがやや低い水準で推移している。同社の2月末の在庫水準は21,412百万円と前年同期比で2,378百万円の増加となり、在庫回転率は0.59回から0.54回に低下した。在庫の増加要因を見ると、約10億円が店舗数の増加に伴うもの、約7億円がスキー・スノーボード用品の販売不振に伴う積み残し、残り約7億円が一般スポーツ用品の中で春物衣料品の早期仕入に伴うものとなっている。従来、春物商品は3月から仕入れていたが、アパレル業界全体で春物商戦の立ち上がり時期が早くなっていることもあり、今期は1ヶ月前倒しで仕入れを開始した。同要因を除けば一般スポーツ用品の在庫は適正水準となっている。 販管費率に関しては各社ともここ数年は若干ながら上昇傾向となっている。3社の比較ではアルペンの水準が高くなっているが、これはほか2社に対して人件費率の水準が高いことが要因と考えられる。売上規模が同じゼビオとの比較で見ると、全従業員数が1割以上多いほか、正社員数の比率も高いことが要因だ。全従業員に占める正社員の比率は同社とアルペンが約37%であるのに対して、ゼビオは約25%と低水準となっており、店舗でのアルバイト従業員比率が高くなっていることが特徴と言える。同社では、販管費率について今後も現状の水準を維持していく考えだ。プロパー販売力の強化や「接客力」を向上するための社員の教育・研修費用、顧客サービス向上のための店舗内設備に対する投資に注力することで他社との差別化を図り、競争力を強化していくことが狙いだ。なお、同社の販管費率は第1四半期(9月−11月期)に高くなる傾向にあるが、これは季節要因で第1四半期の売上高が最も低くなることに加えて、新規出店が比較的集中することが要因となっている。 2011年度以降の営業利益率で見ると、同社は3〜4%の水準で安定して推移する一方で、アルペン、ゼビオの収益性が低下傾向となっている。2015年度に関しては記録的な暖冬の影響もあって、3社とも2%台の営業利益率となる見込みだ。大手2社は2014年度に大幅な在庫処分を実施したことで大幅減益となった反動で、2015年度は増益に転じる見込みだが、収益力についてはほぼ同じレベルになっていると言えよう。ここ数年同社で取り組んできた収益力の強化施策が寄与しているものと考えられる。同社では売上高経常利益率で4%程度の水準を当面の目標に、今後も収益向上施策を実行していく方針だ。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《HN》
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