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アンジェス Research Memo(2):遺伝子の働きを活用した遺伝子医薬の研究開発に特化

2016/4/5 16:23 FISCO
*16:24JST アンジェス Research Memo(2):遺伝子の働きを活用した遺伝子医薬の研究開発に特化 ■会社概要 (1)会社沿革 アンジェス MG<4563>は1999年に設立された大阪大学発のバイオベンチャーである。創業者であり、当時同大学医学部の助教授であった森下竜一(もりしたりゅういち)氏(現 大阪大学大学院 医学研究科 臨床遺伝子治療学講座 教授)らの研究チームが、1995年にHGF遺伝子(肝細胞増殖因子)の投与による血管新生作用を発見し、この研究成果を事業化することを目的に設立された。 2001年にHGF遺伝子治療薬について第一製薬(株)(現第一三共<4568>)と独占的販売権許諾契約を結び、2008年に重症虚血肢を有する閉塞性動脈硬化症及びバージャー病を適応症とした製造販売承認申請を行った。ただ、2010年にPMDAより更なる追加データが必要との見解を得て、申請を一旦取り下げている。現在は国内において6例の患者を対象とした医師主導臨床研究が実施されており、2014年秋に施行された早期承認の制度の下で再度承認申請を行うべく取り組みを進めているほか、2014年10月からはグローバル治験も開始している。なお、第一三共との提携関係は解消しており、代わりに田辺三菱製薬と2012年に米国市場、2015年に国内市場での独占的販売権許諾契約を締結している。 また、もう1つの主力開発品である核酸医薬品のNF-κBデコイオリゴは、アトピー性皮膚炎(顔面で中等症以上の患者が対象)の治療薬として治験が進んでいる。2005年にアルフレッサファーマ(株)と共同開発契約を締結したが、開発方針の転換により2008年に共同開発契約が終了。2010年に塩野義製薬<4507>と契約を締結している。2016年3月に国内で第3相臨床試験が完了し、現在は解析に向けて各データの回収を進めており、良好な試験結果が得られた場合には、製造販売承認申請を行う予定である。また、2012年よりメディキットとNF-κBデコイオリゴを薬剤とした薬剤塗布型バルーンカテーテルの共同開発も進めており、2015年9月に臨床試験が終了している。現在はデータの回収及び解析作業中で、良好な試験結果が得られた場合には、国内での製造販売承認申請を行う予定である。 このほか、2006年には希少疾病であるムコ多糖症VI型治療薬「ナグラザイム」の国内での販売権を米バイオマリン ファーマシューティカルから取得し、2008年より販売を開始したほか、2013年には韓国バイオリーダースと子宮頸部前がん(CIN)治療ワクチンの国内外における開発製造、販売の独占的実施許諾契約を締結し、現在は国内で医師主導臨床研究が行われている。 なお、連結子会社は3社あり、米国の子会社はHGF遺伝子治療薬の開発拠点として、イギリスの子会社は欧州地域における情報収集やライセンス活動の拠点として事業を行っている。 (2)事業の特徴とビジネスモデル 同社の事業の特徴は、遺伝子の働きを活用した医薬品である、遺伝子治療薬、核酸医薬、そしてDNAワクチンを遺伝子医薬として定義し、その研究開発に特化していることにある。開発の対象疾患は、社会的な使命であると同時に確実な需要が存在する「難治性疾患」や「有効な治療法がない疾患」としている。また、自社オリジンの開発品だけではなく、こうした事業方針と合致する開発候補品を海外のベンチャーや大学等の研究機関から導入し、開発パイプラインの強化とリスク分散を行う方針である。 同社は開発に特化した会社で、原薬の製造や治験の実施等については外部の専門機関に委託、「ナグラザイム」を除き販売についても開発品、地域ごとに大手製薬メーカーと販売権許諾契約を締結しており、上市後も自社販売は行わないことを基本戦略としている。このため連結従業員数は2015年12月末時点で64名と小規模となっている。現在、商品として販売しているものはバイオマリンから導入している「ナグラザイム」のみであり、自社開発品について上市実績はない。 同社のビジネスモデルは、遺伝子医薬の開発を行い、開発の課程で販売権許諾契約(または共同開発・販売権許諾契約)をパートナー企業と締結することで得られる契約一時金収入、開発の進捗に応じて得られるマイルストーン収入、及び上市後の製品売上高に対して一定料率で発生するロイヤリティ収入で収益を獲得していくモデルとなる。臨床試験の規模や期間は対象疾患等によって異なってくるが、第1相から第3相試験までおよそ3~7年程度かかると言われており、臨床試験の結果が良ければ、その後規制当局に製造販売の承認申請を行い、おおむね1~2年の審査期間を経て問題がなければ承認、上市といった流れとなる。 同社は現在開発ステージのため、収益も赤字が続いているが、開発品が上市されれば黒字化も視野に入ってくることになる。特に主要開発パイプラインであるHGF遺伝子治療薬やNF-κBデコイオリゴについては、自社主導の開発と先行投資を行っているため、ロイヤリティの条件も一般的な水準よりも高く設定されており、上市後の収益へのインパクトも大きくなることが予想される。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《HN》
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