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システム ディ Research Memo(4):中規模事業者層及び既存顧客の成長余地は大きい
2016/2/5 19:27
FISCO
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*19:27JST システム ディ Research Memo(4):中規模事業者層及び既存顧客の成長余地は大きい ■中期経営計画の概要と進捗 (1)中期経営計画の全体シナリオ システムディ<
3804
>は2014年10月期から2016年10月期までの3ヶ年中期経営計画に取り組んでいる。本中期経営計画における事業戦略のスローガンとして同社は「Value & Volume Business」を掲げている。 同社はこれまで、規模的・資金量的に中間的な層(中規模事業者)をメインターゲットとし、この層に対して業務特化型のパッケージソフトを開発・販売することで業容を拡大させてきた。同社では、顧客の属性を詳細に見ると、IT投資に対する余裕度において顧客が3つに大別できるとの認識を有している。すなわち、従来から同社が顧客としてきた中間層を真ん中に、IT投資に対して資金的に余裕を持つ大規模事業者と、反対に資金に乏しい小規模事業者という分化だ。これは学園ソリューション事業やウェルネスソリューション事業など、同社の事業ドメイン全般において見られることだ。 こうした顧客の実情に対応して出てきたのが、「Value & Volume Business」戦略である。端的に言えば、同社の潜在顧客層を、従来からの中規模事業者層に加えて、両翼に存在している大規模事業者と小規模事業者へと拡大させ、そこでのビジネス拡大を成長につなげようというものだ。ただし、両翼を攻略するに当たっては、資金量やニーズへの差に対応して、これまでとは内容を変える必要がある。Valueビジネスは、資金に余裕のある層を対象に、カスタマイズニーズへ対応して高付加価値のサービスを提供することを目指すモデルだ。一方Volumeビジネスは、資金に乏しい顧客に対して、従来のパッケージソフトのサービスをクラウド化することで導入のハードルを下げ、低価格ながらも安定したストック収入の拡大につなげるモデルだ。 注意が必要な点は、従来からターゲットとしてきた中規模事業者層及び既存顧客においても成長余地は依然として大きいということだ。具体的な成長シナリオは、まず第1に既存顧客における更新需要とサポート・メンテナンス収入の拡大がある。機能追加やバージョンアップは顧客囲い込みや、単価アップに貢献すると期待される。さらに、第2として既存事業に関する新規顧客開拓、第3として新規事業の展開を挙げることができる。同社は3つの顧客ゾーンのすべてにおいて成長することで、収益水準の一段の底上げを狙っている。 (2)計数目標と進捗状況 2015年10月期は今3ヶ年中期経営計画の2年目に当たるが、売上高2,676百万円(前期比10.4%増)、営業利益157百万円(同16.8%減)、経常利益150百万円(同16.2%減)、当期利益145百万円(同21.4%減)で着地した。売上高は過去最高となったものの、利益面では前期比減益となった。期初の業績計画との対比では、売上高165百万円、営業利益95百万円、それぞれ未達となった。 業績未達の要因は大きく3つだ。最大の要因は、公会計ソリューションにおいて、主力の「PPP」の販売が伸びなかったことだ。詳細は後述するが、公会計市場の停滞の影響で需要が次年度に先送りされたことが背景にある。そのほかに、学園ソリューション事業において大規模案件の納品が期中に完了せず、翌期に持ち越しとなったこと、ウェルネスソリューション事業における「Weldy Cloud」の需要立ち上がりが想定よりも遅れていることがある。これらはそのまま利益面においても未達の原因となった。 2015年10月期決算は計画に対して未達となったものの、悲観は一切不要であると弊社では考えている。前述の要因はいずれも、単なる収益化のタイミングの問題であるためだ。同社も、2015年10月期において狙っていた主要案件についての失注(受注失敗)はないとコメントしている。このような収益化の期ズレという状況を反映して、同社は2016年10月期の業績予想を、従来の中期経営計画の業績計画から大きく変更してきている。売上高は2,980百万円から3,361百万円へと引き上げられた。一方、営業利益は403百万円から314百万円へと引き下げられた。 営業利益見通し引下げの理由について弊社では、公会計ソフト「PPP」や「Weldy Cloud」の販売先送りの影響でストック収入の絶対額が予想を下回る見通しになったためとみている。ストック収入は利益率が高いという特徴があるが、同社はこれまで、2016年10月期のストック収入を916百万円と計画してきたが、このたび682百万円へと引き下げた。同社のストック型収入は、まずパッケージソフトの販売が先に立ち、その後に保守・メンテという形でストック型収入へとつながるタイプが多い。したがって「PPP」の需要先送りは、売上高は翌期にすぐに取り戻せても、利益の想定ラインへの回復は翌々期になってしまう傾向がある。 2015年10月期までの同社の事業全般の進捗状況は順調に推移しているというのが弊社の評価だ。学園ソリューション事業においては、学校法人会計制度変更を受けての既存顧客のリプレースメント需要が一段落した状況にあるが、大規模大学でのカスタムメイド案件の獲得などが順調に進んでいる。ウェルネスソリューションでは「Weldy Cloud」の立ち上がりペースこそ予想よりも遅れてはいるが、トヨタ自動車<
7203
>など大口顧客の獲得に成功しており、今後の飛躍に期待が持てる状況だ。ソフトエンジニアリング事業では顧客数の順調な拡大に加えて金融機関向け新製品の収益貢献が期待される状況にある。公教育ソリューションでは2016年10月期に入って新たに3県の県教育委員会から受注もしくは試験運用(将来の受注につながる可能性が高い)の獲得に成功している状況だ。総括すれば、2015年10月期は外部要因による期ズレによって業績計画が未達となったものの、実体面では順調な推移が続いていると言えよう。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之) 《HN》
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