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アンジェス MG Research Memo(2):現在の事業ステージは研究・開発期間としての位置付け

2015/12/18 16:12 FISCO
*16:12JST アンジェス MG Research Memo(2):現在の事業ステージは研究・開発期間としての位置付け ■会社概要 (1)会社沿革 大阪大学医学部において1984年に発見されたHGF(肝細胞増殖因子)遺伝子の研究成果などをもとに、1999年に設立された創薬ベンチャーである。2002年9月には東京証券取引所マザーズ市場に大学発の創薬ベンチャーとしては初めて株式上場を果たした。HGFは、肝臓のみならず、血管、神経など生体の様々な臓器・組織の形成、再生に効果があることがわかり、創業者であり同大学の当時助教授でもあった森下竜一(もりしたりゅういち)氏(現 大阪大学大学院 医学研究科 臨床遺伝子治療学講座 教授)が、血管新生作用に着目して、末梢性血管疾患分野の治療薬として開発を進めてきたのが、現在の主力開発品となっているHGF遺伝子治療薬となる。 2001年に国内販売に関して、第一製薬(株)(現 第一三共<4568>)と提携を結び、治験を進めながら2008年に重症虚血肢を有する閉塞性動脈硬化症及びバージャー病を適応症とした製造販売承認申請を行った。ただ、2010年にPMDAより更なる追加データが必要との見解を得て、申請を一旦取り下げている。現在は医師主導臨床研究によって、国内で再度承認申請を行うべく取り組みを進めているほか、2014年10月からはグローバル治験も開始している。なお、第一三共との提携関係は解消しており、代わりに田辺三菱製薬と2012年に米国市場、2015年に国内市場での独占的販売権許諾契約を締結している。 また、もう1つの主力開発品である核酸医薬品のNF-κBデコイオリゴは、アトピー性皮膚炎(顔面で中等症以上の患者が対象)の治療薬として治験が進んでいる。2005年にアルフレッサファーマ(株)と共同開発契約を締結したが、開発方針の転換により2008年に共同開発契約が終了。2010年に塩野義製薬<4507>と契約を締結している。また、2012年よりメディキットとNF-κBデコイオリゴを薬剤とした薬剤塗布型バルーンカテーテルの共同開発及び臨床試験を行っており、現在は国内での製造販売承認申請に向けた準備を進めている段階にある。 その他、2006年には希少疾病であるムコ多糖症VI型治療薬「ナグラザイム」の国内での販売権を米バイオマリン ファーマシューティカル社から取得し、2008年より販売を開始したほか、2013年には韓国バイオリーダース社と子宮頸部前がん病変(CIN)治療ワクチンの国内外における開発製造、販売の独占的実施許諾契約を締結し、現在は国内で医師主導臨床研究が行われている。 なお、連結子会社としては3社あり、米国の子会社はHGF遺伝子治療薬の開発拠点として、イギリスの子会社は欧州地域における情報収集やライセンス活動の拠点として事業を行っている。 (2)事業の特徴とビジネスモデル アンジェス MG<4563>の事業の特徴は、遺伝子の働きを活用した遺伝子医薬に特化していること、及び「難治性疾患」や「治療法がない疾患」を対象として開発を進めていることにある。また、こうした事業方針と合致する他社開発品や大学等の研究機関からの導入も一部あり、国内で開発を行っている。 同社は開発に特化した会社で、原薬の製造や治験等については外部に委託、「ナグラザイム」を除き販売についても開発品、地域ごとに大手製薬メーカーと販売許諾契約を締結している。このため連結従業員数は2015年6月末時点で58名と小規模となっている。現在、商品として販売しているものはバイオマリン社から導入している「ナグラザイム」のみであり、自社開発品について上市実績はない。 同社のビジネスモデルとしては、遺伝子医薬の開発を行い、開発の課程で販売権許諾契約(または共同開発・販売権許諾契約)をパートナー企業と締結することで得られる契約一時金収入、開発の進捗に応じて得られるマイルストーン収入、及び上市後の製品売上高に対して一定料率で発生するロイヤリティ収入で収益を獲得していくモデルとなる。臨床試験の規模や期間は対象疾患によって異なってくるが、第1相から第3相試験までおよそ3~7年程度かかると言われており、臨床試験の結果が良ければ、その後規制当局に製造販売の承認申請を行い、概ね1~2年の審査期間を経て問題が無ければ承認、上市といった流れとなる。 同社は現在開発ステージのため、収益も赤字が続いているが、開発品が上市されれば黒字化も視野に入ってくることになる。特に主要開発パイプラインであるHGF遺伝子治療薬やNF-κBデコイオリゴについては、自社主導の開発と先行投資を行っているため、ロイヤリティの条件も一般的な水準よりも高く設定されており、上市後の収益へのインパクトも大きくなることが予想される。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《HN》
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