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ソフトバンテク Research Memo(3):利益率の高いストックビジネス拡大で限界利益が増加
2015/9/28 16:07
FISCO
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*16:07JST ソフトバンテク Research Memo(3):利益率の高いストックビジネス拡大で限界利益が増加 ■2016年3月期第1四半期決算 b)利益分析 営業利益の増加は、利益率の高いストックビジネスの売上高が拡大したことが大きな要因の1つである。限界利益は前年同期比10.5%増の2,478百万円、EBITDA(減価償却前営業利益)も同12.8%増の417百万円となった。これは、人員の効率的な配置を行うと同時にスキルアップへの取組みも積極的に進めたことによって、利益率の高いビジネスを拡充できたためと考えられる。効率的な配置では前期に実施したサイバートラスト(株)の営業社員の出向によるセキュリティ分野の営業部門の一体化、スキルアップへの取組みではプロジェクトマネジメントオフィサー(PMO)の人員拡充などが実施され、着実な成果を出している。 さらに、第1四半期決算では、固定費の伸びが抑制された点にも注目すべきである。ソフトバンク・テクノロジー<
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>は人員拡充によって外注比率を落とすと同時にM&Aによって自社サービスを拡大してきた。その結果、重要指標に掲げる限界利益は構造改革後に着実に上昇を続けてきた。しかし、一方で人件費が増加し、限界利益の上昇以上に固定費が拡大してしまい、営業利益が伸び悩んでいた。固定費のコントロールは同社の大きな課題の1つであった。 第1四半期においても、固定費は、前年同期比9.0%増の2,298百万円と引き続き上昇している。主な増加要因は、前年同期比205百万円増加となった人件費である。しかし、M&Aや従業員採用を進めている中で、2015年3月期第1四半期の伸び率が52%に及んだことに比べると、伸び率が大きく抑制されたことが分かる。このことから、コストコントロールによって固定費全体の伸びを抑えることに成功したといえるだろう。活動経費も、前年同期比で14百万円の減少している。 なお、同社の連結従業員数は、第1四半期末時点で約880人となっており、2014年7月に行ったミラクル・リナックス(株)のM&Aによる人員増も加えて、前年同期比で140人ほど増加している。事業拡大に伴い、第2四半期以降も人員の増加が進むとみられるが、同社は今回成功したコストコントロールで固定費の上昇を継続して抑制していく予定だ。 C)事業別の業績及びトピックス 次に事業別の業績について説明するとともに、トピックスに触れる。 デジタルマーケティング事業 デジタルマーケティング事業の売上高は、前年同期比10.8%増の5,254百万円、限界利益は同36.1%増の869百万円となった。 内訳は、ECサービス事業の売上高が前年同期比7.1%増の4,738百万円、限界利益が同29.6%増の667百万円となった。ECサービス事業の主力であるシマンテックストアが堅調に推移、子会社のフォントワークス(株)のWebフォントサービスも売上・利益ともに伸びた。当社としては想定どおりの着地と言えよう。また、シマンテックストアの運営に関しては、構造改革の進展とともに効率化を進めた結果、人員のスリム化に成功しているという。同事業は米・シマンテック・コーポレーションの意向に強く左右される側面があるものの、できる範囲での事業効率化を進め、利益貢献している点も評価に値すると言えよう。 注力事業であるデータアナリティクス事業の売上高は前年同期比62.2%増の516百万円、限界利益は同63.1%増の202百万円と大きく伸びた。特に継続した利益を確保できるストックビジネスの売上高が前年同期比40.3%増の311百万円と大きく増加した。今後、ストックビジネスへの移行が期待されるフロービジネスの売上高も、前年同期比で約2倍の205百万円と大幅な伸びを示した。顧客数も前年同期比9.0%増の109社と増加している。売上規模はまだ小さいものの、ビッグデータに代表される成長事業であり、利益率も高く、今後の拡大が期待される。 同事業のトピックスとしては、デジタルマーケティング営業部の新設が挙げられる。人材の「適材適所」を進める一環で、販売戦略の立案やイベントの積極参加などに専門に取り組む部隊となっており、事業の認知度向上と事業拡大を加速させる。 また、自社サービスが拡充された点も大きなトピックスの1つと言えよう。具体的には、4月にリリースされた、公共機関向けのWeb解析ツール「みやすい解析」、5月にリリースされた、広告効果測定サービス「AdMetrics」及び「デジタルマーケティング基盤の構築支援サービス」などである。 プラットフォームソリューション事業 プラットフォームソリューション事業の売上高は前年同期比22.4%減の2,259百万円、限界利益は同2.2%増の892百万円となった。 内訳は、注力事業のセキュリティソリューション事業の売上高が前年同期比8.3%減の656百万円、限界利益が同8.6%減の344百万円となった。ストック売上高は、子会社であるサイバートラストが提供しているSSLサーバー証明書の売上が、海外企業のサービスとの競争激化などで減少したものの、前年同期比6.1%増の521百万円となった。 同社では、漸減傾向となったSSLサーバー証明書ビジネスの対応策を既に取っており、サイバートラストが米国のDigiCert(デジサート)社(本社:米国ユタ州リーハイ市)と7月に業務提携した。DigiCert は、エンタープライズセキュリティサービスを約180カ国、115,000社以上の顧客に提供しており、企業認証付SSLサーバー証明書の市場では世界第2位のシェアを持っている。グローバルスタンダードの実績を誇るDigiCertのSSLサーバー証明書、コード署名証明書などのセキュリティサービスを日本及びシンガポールを中心とした東アジア地域で販売する。7月22日から第1弾として、主要なプラットフォームすべてに対応した「EVコード署名証明書」を発売、スピード感を持った巻き返しにより、海外企業のサービスとの競争を勝ち抜く考えである。 同事業におけるその他のトピックスは、自社サービスの拡充が挙げられよう。5月に公開窓口向け標的型メール対策サービス「PEP(Public opened Email Protection)」、Webセキュリティサービス「Imperva Incapsula(インパーバ インカプスラ)」、7月には標的型攻撃検知・出口対策サービス「FireEye + i-FILTER連携ソリューション」をそれぞれリリースした。 さらに、セキュリティにおける啓蒙活動も加速させた。同社の辻伸弘(つじのぶひろ)・シニアセキュリティエバンジェリストを中心に2014年10月から「脆弱性調査レポート」の発表をホームページ上で開始し、2015年4-7月で累計11本を掲載した。これらのレポートは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)やマイクロソフトのテクニカルホームページなど、専門家が頻繁に検索するサイトに掲載されるなど、業界内では大きな注目を浴びている。 一方、プラットフォームソリューション事業の売上高は、前年同期比27.0%減の1,602百万円、限界利益は同10.3%増の548百万円となった。既に触れたが、ソフトバンクグループ向けの機器販売が減少したことが要因である。しかし、利益率の高いシステムの保守・運用などのストックビジネスの売上高は前年同期比19.2%増の1,076百万円となり、限界利益は上昇した。 システムインテグレーション事業 システムインテグレーション事業の売上高は前年同期比18.8%減の1,687百万円、限界利益は同1.9%減の716百万円となった。 内訳は、注力事業のマイクロソフトソリューション事業の売上高が前年同期比11.7%減の584百万円、限界利益が同17.9%減の136百万円となった。前年同期に大口の新規顧客を獲得した反動減でフロービジネスであるライセンス販売の売上高が前年同期比20.4%減の360百万円と減少した。しかし、同事業では、ストックビジネスの伸びを重視しており、ストックビジネスの売上高は前年同期比95.5%増の131億円となった。同社の戦略から見ると、この結果は想定どおりと言えよう。 トピックスとしては、ストックビジネスの拡大にもみられるとおり、ユーザー数が堅調に拡大している点が挙げられよう。「Office 365」の累計ユーザー数が前年同期比84%増の約40万ユーザーとなったほか、独自開発のクラウドサービスの累計ユーザー数も同94%増の約35万ユーザーとなった。この高い導入実績が評価され、マイクロソフトより「Office 365」部門で高い成果を出した営業職を表彰する「Office 365 セールス賞」、米国の移行ツールベンダーであるBitTitan社より、アジア・中東・アフリカ地域におけるパートナーの中で「Google Apps」から「Office 365」への移行実績が優れていたことを顕彰する「Territory Partner of the Year Award」をそれぞれ受賞した。 一方、システムインテグレーション事業の売上高は前年同期比22.2%減の1,102百万円、限界利益は同2.8%増の580百万円となった。既に触れたが、ヤフーを始めとしたソフトバンクグループ向けの受注減少が売上減少の要因である。しかし、内製化が進んだことで、限界利益は上昇した。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 柄澤 邦光) 《HN》
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