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ウィルグループ Research Memo(5):3つの成長戦略が着実に進展、セクター比で高い成長率を維持

2015/7/9 17:12 FISCO
*17:12JST ウィルグループ Research Memo(5):3つの成長戦略が着実に進展、セクター比で高い成長率を維持 ■独自の成長戦略 ウィルグループ<6089>は、投資家に対し、中期的に2ケタの増収・増益を目指すことを表明している。2015年3月期もこの言葉は守られた。しかし、2ケタの増収・増益を継続することは容易ではない。それができた理由として、同社が掲げる「シェア拡大」「エリア拡大」「新規事業の拡充」という3つの成長戦略が着実に進展していることが挙げられる。さらに、景気回復による昨今の人手不足から人材確保のためのコストが増加するリスクがあるなかで独自のコスト削減戦略を進め、増収増益を維持している点も重要である。以下にこれらについて説明する。 (1) 3つの成長戦略の進展 a)シェア拡大 同社の最大の特徴は、「ハイブリッド派遣」と呼ばれる特殊な派遣方式にある。これは同社の社員(フィールドサポーター)が派遣スタッフとともに派遣先に常駐・就業する。社員が一緒に働きながらマネージメントをすることで、派遣スタッフの士気が高まり、業務効率が高まるほか、社員と派遣先の現場責任者とが密な関係を築くことができ、増員計画など、クライアントのニーズに素早く対応できる。 これに加えて同社は、業種特化型にすることによって、総合的なサービスを提供している大手企業に比べて、さらに手厚い対応ができている。特化する業種は大手があまり手掛けたがらない分野が多く、競争の少ないニッチ市場である。しかも、ニッチとはいえ、人材不足が深刻化している業種であり、今後かなりの市場拡大が期待できる。同社はそういった分野を発掘しているという点も大きな特長と言えよう。 しかし、同社が成長戦略に掲げるシェア拡大とは、実はハイブリッド派遣を増やすことによって、シェアを他社から奪うことではない。一般派遣からハイブリッド派遣や業務請負へ、あるいは、ハイブリッド派遣を業務請負へとクライアントからの受注形態を最終的には業務請負に移行させることを指す。なぜならば、一般派遣、ハイブリッド派遣、業務請負のうち、もっとも利益率が高いのは業務請負だからである。 実はハイブリッド派遣は一般派遣と比較し、利益率が高いというわけではない。しかし、他社からシェアを奪うのに有効であるだけでなく、信頼関係を深めることによって、業務を丸ごと引き受ける業務請負に受注が移行する可能性が一般派遣とは比較にならないほど高くなるという優位性がある。 2015年3月期は、この移行が着実に進んだ。業務請負の売上高が前期比23.8%増の8,760百万円となった。業態別の売上高構成比率も同0.5ポイント増の26.9%となった。 一方、業務請負の“予備軍”とも言えるハイブリッド派遣や一般派遣も拡大した。ハイブリッド派遣の売上高は前期比13.1%増の11,727百万円、一般派遣の売上高は同25.8%増の10,907百万円となった。ハイブリッド派遣の業態別の売上高構成比率は前期比4.4ポイント減の36.0%、一般派遣の同比率は同5.1ポイント増の33.5%となった。ハイブリッド派遣が業務請負に着実に移行した一方、特にコールセンターアウトソーシング事業で新規顧客の獲得に注力した結果、一般派遣も大きく増加したという構図である。今後は新規獲得した案件の継続的な取引及びシェアの拡大を進められるかも大きな注目点となろう。 受注形態の移行の割合が数値的にわずかとする見方もあるかもしれないが、潜在需要があっても、すべてをあえて受注しないのと同様、急激に業務請負が増加すれば、人材確保のコストが利益を大きく圧迫する恐れがある。移行はシェア拡大と利益確保を同時に実現しながら行う必要があり、同社によれば、今回の移行の割合は理想的なペースという。 ちなみに、受注形態には、これらの他に人材紹介があるが、これに関しては、3つの成長戦略のうちの「新規事業の拡充」で詳しく説明する。 b)エリア拡大 同社は支店の拡大による事業規模の拡大を進めている。2015年3月期末の国内支店は、前期末に比べ8拠点増の50拠点となった。 同社への取材によれば、主要3事業とその他の事業の両方で国内の空白エリアがまだたくさん存在しているという。そのため、引き続き拠点の拡大については積極的に行うとしている。特にファクトリーアウトソーシング事業における工場近辺などで地方拠点の更なる上積みを図ることを掲げている。また、その他の事業に関して大都市圏で介護職派遣の拠点拡充を進めるとしている。 このような拠点整備戦略に基づき、2016年3月期は9支店と1営業所を新設し、計60拠点へ拡大する計画を立てている。具体的には、セールスアウトソーシング事業で長野市と岡山市、コールセンターアウトソーシング事業で北海道旭川市と千葉市、ファクトリーアウトソーシング事業で新潟市(当初は営業所後に支店に昇格予定)と福岡市、その他の事業のうち介護職派遣で京都市、神戸市、広島市、東京・北千住に設置する計画となっている。 c)新規事業の拡充 同社は、新市場の創出と利益率の向上を目的に経験を積んだ派遣スタッフを派遣期間終了とは関係なく派遣先などに正社員として紹介する人材紹介業に力を入れている。人材紹介の利益率はその他の業態に比べて格段に高いのがその理由である。2015年3月期における売上高は前期比75.8%増の979百万円と大きく拡大し、業態別の売上高構成比率は前期比1.0ポイント増の3.0%となった。派遣と請負に加えて新たな市場として着実に成長している。 同社の人材紹介は、派遣スタッフとしての就業状況を見極めた上での紹介のため、顧客にとってもミスマッチのない採用が可能になるというメリットが期待できる。しかし、同社にとっては、せっかく育成したスタッフを手放す行為になるという見方もあろう。利益率は高いかもしれないが、フロービジネスであり、収益の安定という側面からも疑問視する派遣会社も少なくない。しかし、同社は、将来、正社員として働けるかもしれないという期待が持てることによって、逆に派遣スタッフの確保がしやすくなるうえ、定着率も向上すると考え、注力する戦略の1つに位置付けている。その他の新規事業については後に詳しく触れる。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 柄澤 邦光) 《SF》
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セールスアウトソーシングやコールセンターアウトソーシングなど領域特化型の人材ビジネスを展開。家電量販店への販売員派遣に強み。建設技術者派遣等を強化。26.3期売上高1700億円目標。正社員派遣の拡大図る。 記:2024/05/03