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ダイナムジャパンHD Research Memo(4):パチンコを「時間消費型レジャー」へ変革する方針
2015/6/23 17:30
FISCO
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*17:31JST ダイナムジャパンHD Research Memo(4):パチンコを「時間消費型レジャー」へ変革する方針 ■2014年度の業界環境 ダイナムグループの課題 同社グループは、業界全体が苦境にあるなかで、店舗数第1位という規模及び経営体力、そしてチェーンストア理論に基づくローコストオペレーションのノウハウを生かして、一気にライバルを引き離しにかかっている。しかし、同社グループにはまだいくつかの課題が残されていると弊社では考えている。1つは新規出店の問題であり、もう1つは低貸玉店舗戦略の問題である。弊社自身はこれら2つの問題点に対する回答を持っているわけではない。しかしこれらの問題点を抱えていることは同社グループの中長期成長戦略に直接影響を及ぼしてくることであり、これらの問題点をダイナムジャパンホールディングス<06889/HK>が解決できれば、同社グループが中長期的には持続的成長を成し遂げる可能性は一段と高まってくると弊社では考えている。 (1)新たな出店戦略への挑戦に期待 パチンコ人口の減少ひいては来店客減少は、同社グループの新規出店にも影響を及ぼしている。同社グループは、新規出店について、「標準モデル」によって出店コストの的確な管理及び投資回収を行っている。これはチェーンストア経営の一環で行われてきたもので、これまでは標準モデルがきちんと機能してきた。しかしながら、2014年3月期ころから初年度の収益が標準モデルで想定しているラインに届かない新規店舗が目立ち始め、2015年3月期はその傾向が一段と強まったものとみられる。 同社グループの標準出店モデルはかなり練り込まれていて、他社と比較してもより低コストでの出店が可能となっている。この点の優位性は変わらないにしても、問題は開店後の客足が、同社グループの投資回収モデルの想定を下回っているということである。ここではリニューアル戦略は使えない。顧客への還元を増加するという方策も、新規出店は店舗営業利益率の低い低貸玉店舗であるため限界がある。 全体のパイのサイズが大きくならないなかでシェアの奪い合いという状況が続くとするなら、それを前提とした出店・回収モデルに修正するか、出店そのものの取りやめも含めて出店戦略を見直すことが必要になってくるのではないかと弊社では考えている。しかし、同社はそうした根幹的な課題に対応するだけの体力及びノウハウがあると弊社では考えており、今後の同社の対応に期待している。 (2)高貸玉店舗及び低貸玉店舗の構成の再検討 同社グループは高貸玉店舗及び低貸玉店舗の大きく2つのタイプの店舗を展開しているが、ここ2006年以降は低貸玉店舗の展開に注力している。新規出店は基本的に低貸玉店舗であり、高貸玉店舗から低貸玉店舗へのシフトも積極的に進めてきた。2015年3月末の総店舗数393店舗の内訳として、高貸玉店舗は172店舗、低貸玉店舗は221店舗となっている。 同社グループが低貸玉店舗へのシフトを強めた背景には、パチンコを「時間消費型レジャー」へ変革しようという点で、監督官庁が目指す業界像と自社の目指す方向性が一致したということがある。また、低貸玉店舗は単純に店舗営業利益率が下がるので、ローコストオペレーションに自信を有する同社としては、低貸玉店舗とすることで競合域内の高貸玉店舗から客足を奪うという競争戦略を採ったことも要因の1つである。 しかしながら、店舗の費用構造を比較すると、低貸玉店舗は高貸玉店舗よりも構造的に採算性が低い状況にある。同社グループはローコストオペレーションの強みを生かして、薄利多売ながらも客数を増やして利益額を確保する戦略を採用してきたわけであるが、足元のパチンコ参加人口の減少は、同社グループの薄利多売戦略について、再検討を迫るレベルなのではないかというのが弊社の懸念である。同社は理念を持って低貸玉店舗を推進してきただけに、一気に高貸玉店舗へシフトする方策は取りにくいのではないかと推察するが、同社グループは393店舗のすべてに低貸玉機を導入済みである。要は、高貸高店舗及び低貸玉店舗の差は高貸玉機と低貸玉機の構成差の違いである。そうであるならば、機種構成をこれまでよりも柔軟に変化させることで、各店舗の利益率の向上を図る余地は大きいのではないかと弊社では考えている。 (3)新しいパチンコ・ファンの開拓 根本的な解決法として重要なことは新たなパチンコ・ファンの創出である。同社グループを含めパチンコ各社は大なり小なりその努力を行っているが、パチンコ人口の流出に歯止めがかかっていないのが現実である。パチンコ人口の減少の理由としてスマホの普及が挙げられる。それはパチンコに対する顧客ニーズが景品交換を主目的にしたものから、遊戯時間そのものを楽しむ時間消費型レジャーに移行するなか、スマホとパチンコとを対立の構図で捉えているが、スマホをパチンコの集客に使うという試みがどの程度なされているのであろうか。 例えばO2Oマーケティングというものが注目を集めている。通行人がパチンコ店の前に差し掛かった時に、そのスマホに対して今の出玉状況及びキャンペーン、割引クーポンなどの情報を流せば、一定の集客効果があるようにも想像される。すでに似たような取り組みはされているものと推察されるが、最も根本的な対策である、新しいパチンコ・ファンの開拓について、斬新な手法の採用も含めて、同社グループの一層の奮起を期待したい。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之) 《HN》
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