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ラクーン Research Memo(2):日本最大級の中小小売店向け仕入れECサイト事業を運営

2015/1/7 17:19 FISCO
*17:19JST ラクーン Research Memo(2):日本最大級の中小小売店向け仕入れECサイト事業を運営 ■事業概要 ラクーン<3031>の事業セグメントは、従来EC事業と子会社化のT&Gが手掛ける売掛債権保証事業の2つの事業で区分してきたが、2015年4月期よりEC事業の中に含まれていたPaid事業(BtoB売掛決済サービス代行事業)を切り分けてセグメント開示を行っている。事業別セグメント構成比はグラフのとおりで、EC事業が売上高、利益の65%以上を占める主力事業となっている。各事業の概要は以下のとおり。 (1)EC事業 BtoBのeコマース関連サービスを展開しているEC事業には、「スーパーデリバリー」事業と2014年3月よりサービスを開始した「COREC」事業が含まれる。 ○スーパーデリバリー 同社の主力事業である「スーパーデリバリー」は、アパレル・雑貨を中心とした中小小売店向けの仕入れECサイト事業である。2014年10月末時点での会員小売店数は42,603店舗、出展企業数1,043社、商材掲載数444,078点となっており、BtoBに特化した専門サイトとしては日本最大級となる。 会員小売店舗数が年々拡大している一方で、出展企業数に関しては2014年4月期まで減少していたが、これは質の高いECサイトを構築するために、出展企業の審査を厳格化した影響による。直近ではこうした審査の厳格化による減少が一巡しており、再び出展企業数も増加に転じている。 会員小売店は同サイトを利用することにより、距離的な問題で今まで仕入れる機会がなかったサプライヤーとの取引が可能になるといったメリットを享受できる。一方、出展企業(メーカー・卸業者)にとっては、新規取引先開拓にかかる営業費用及び販売代金回収のための決済コストを、同サイトを利用することによって削減できるというメリットがある。特にここ最近は、企業における人材不足が顕在化していることもあり、ECサイトを活用するメリットは今まで以上に大きくなっていると思われる。 「スーパーデリバリー」の収益構造は、会員小売店、出展企業の両者から利用料金を徴収するバランスのとれたビジネスモデルとなっている。定額収入としては出展企業から得る出展基本料(月額4万円)と、会員小売店から得る小売店月会費(月額2千円)がある。また、変動収入として出展企業から会員小売店に卸した商品代金の10%をシステム利用料として徴収している。 実際のモノの流れとしては、出展企業が直接会員小売店に商品を送る格好となるため、同社は介在していない。しかし、代金の流れとしては、同社が出展企業の代わりに会員小売店から回収し、出展企業に支払う格好となる。このため、2014年4月期までは「スーパーデリバリー」の売上高として商品代金を、また売上原価には商品仕入高を含める格好で計上する総額表示方式を採用してきたが、2015年4月期より商品代金及び仕入高を除いた額を計上する純額表示方式に変更した。商品代金と仕入額は同額であるため、営業利益に与える影響はない。 競合状況について見ると、アパレル分野のBtoBの卸サイトとしては、楽天<4755>やディー・エヌ・エー<2432>などが自社サービスの一部としてBtoB用のメニューを立ち上げているが、これらサービスでの出展企業や会員小売店の属性は多岐に広がっており、サイトのコンセプトそのものが異なっている。また、建築・産業・農業用資材のBtoBサイトをMonotaRO<3064>が運営しているが、こちらも対象市場が異なっており、同社と競合していない。このため、同社では既存の卸売企業を競合先として位置付けている。 ○COREC 2014年3月よりサービスを開始した「COREC」とは、BtoB における受発注処理業務を、Web 上で一元管理するクラウド型の受発注ツールの提供サービスのことである。受発注処理のコスト削減、効率化を目的として開発された。現状、7 割以上の企業が受発注の手段として、FAX やメールなど複数の形態を取引先ごとに使い分けながら行っており、非常に煩雑な作業となっている。こうした課題を解決したものが「COREC」のサービスとなる。 バイヤー側から見ると、従来は取引先ごとにFAX やメールなど異なる手段で発注作業を行っていたものが、「COREC」を使うことですべての発注処理をWeb 上で行うことが可能となり、取引先ごとに予め設定された手段(FAX、メールなど) で発注書が送信されるシステムとなっている。このため、取引先が「COREC」の会員でなくても発注書が従来どおり届くことになる。 「COREC」のもう1つの特徴は、会員が自己増殖的に増える仕掛けを作ったことにある。 具体的には、会員であるバイヤーの発注書には「COREC」の広告がついており、非会員の取引先に「COREC」のサービス認知が進むほか、会員サプライヤーからバイヤーに送信する受注フォームにも「COREC」の広告がついており、同様に認知度が向上する仕組みとなっている。このため、広告費を大きくかける必要もなく、自己増殖的に会員数が拡大していくことが期待できる。 当初は無料サービスで会員を増やしていく戦略で(2014年9月より一部、有料サービスも開始)、10月末時点の会員数は1,110社となっており、1ヶ月で100社を超えるペースで会員数が増加している。会員は「スーパーデリバリー」の会員以外の企業が大半を占めており、バイヤーとサプライヤーの比率は6:4となっている。なお、「COREC」の仕組みに関して同社はビジネスモデル特許を申請中である。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《FA》
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