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利下げの露払い【フィスコ・コラム】
2024/3/17 9:00
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*09:00JST 利下げの露払い【フィスコ・コラム】 主要国のほとんどが年内に政策金利を引き下げる見通しですが、先陣を切るのはどこの中銀でしょうか。メルクマールの米連邦準備制度理事会(FRB)は市場観測の6月から徐々に遠のいている印象で、現時点であまり目立たない「あの国」が最初かもしれません。 パウエルFRB議長は今月の議会証言で利下げ方向を認め、どちらかといえばハト派寄りの見解を示しました。ところが、12日に発表された米2月消費者物価指数(CPI)は総合が前回と予想を上回り、コア指数は前回を下回ったものの予想より強い内容でした。前月比も含めると、インフレ再加速が顕著に。政策金利の引き下げ時期は市場コンセンサスの6月から後ずれする可能性も浮上しています。 利下げが最も現実的とみられている欧州中銀(ECB)は、今月7日の理事会で据え置きを決定。今年の成長率とインフレ率を下方修正したものの、ラガルド総裁は利下げを「議論していない」と述べています。ECB内では当局者がタカ派とハト派に二分され、現時点でのメインシナリオである7月実施は不透明です。ユーロ・ドルの方向感を欠く値動きは、揺れ動く欧米中銀の政策運営を反映しているようです。 そのほか、カナダ銀行は国内経済の減速懸念の後退で、イングランド銀行は利上げ余地により、利下げ時期はそれぞれ年後半にずれ込んでいます。逆に、豪準備銀行は雇用情勢がやや悪化し、インフレ指標も想定ほど伸びず、今月19日の定例会合での政策スタンスが注目されます。NZ準備銀行も少し前までは利上げの可能性に言及していましたが、やはり利下げに舵を切るとの見方が強まっています。 ほとんどの主要国の消費者物価指数(CPI)が前年比で+3%を上回るなか、スイスの伸び率は昨年6月に+2%を割り込み、0-2%の中銀物価目標内に低下。直近は+1.2%と2021年10月以来の低水準に落ち着いています。ここ数年のインフレを克服するため、スイス中銀はフラン高政策を推進してきましたが、すでにその必要はなくなりつつあります。むしろ、輸出に有利なフラン安を模索しているもようです。 FRBとECBの利下げ時期の遅れでドルとユーロが堅調地合いとなり、フランは年初からドル、ユーロに対して弱含む展開です。市場参加者はスイスの6月利下げを見込んでいますが、予想外に低下のペースを速めたCPIを受け、今月21日の可能性も高まってきました。2022年6月の利上げの決断はサプライズでしたが、利下げのサプライズにも警戒する必要がありそうです。 (吉池 威) ※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。 《TY》
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